前回は「図形問題の解き方・ポイント・コツ 1〜補助線・図形全体を描く・センスよりも勘を磨く〜」の話でした。
図形の何に着目するか:辺の比・面積比・きれいに分割

辺の比、または面積比に注目することが多い図形問題。
最も多いのは、相似形を見つけて辺の比を考えて、解いてゆく解法です。
最終的に「面積比を求める」問題も多いですが、「面積比を利用する」問題は少数派かもしれません。
その中、算数実践 3でご紹介した解法は「面積比」に着目するとスッキリ解けました。

上のように補助線を日本引くと、「いくつかの三角形に分割」出来て、きれいに面積比が分かります。

そして、問題の問いの「AS : SP」が求まりました。
「辺の比」から「面積比」や「辺の長さ」を求めることが多い中、この解き方は少し違います。
この解き方見たら、
考え方は、分かるよ・・・
でもさ、辺の比と面積比の
どちらを考えたら良いのか、どう考えれば良いの?
この問題では、「図形問題の王道:平行線を引いて、辺の比を考える」が上手くいきませんでした。

それは、「AS : SP」を求めるために「平行線を引く」と、
ここで、「△ASPと△PS〜が相似」
ってやりたいんだけど・・・
△PS〜の〜が、
辺SQの途中にあって、分からない・・・
となってしまうのです。
そう・・・
だから、「辺の比でつまづいたら、面積比」なの?
そのような考え方もあるかもしれません。
この問題の一つのポイントは、二本の補助線で「図形をきれいに三角形に分割できる」ことでした。
つまり、上の「相似形を考える」時に「辺の途中の分からない」点のような点が登場しないことです。
・図形の中に補助線を1,2本引いたら、三角形・四角形にきれいに分割する
・きれいに分割できたら、それぞれの面積を辺の比から考える
・面積比から、求めたい辺の比を求める
補助線が1本ではなく2本であるのが、少し難しく感じるかもしれません。
ここで、ポイントは「問題の図形が、三角形・四角形にきれいに分割」できることです。
このように、「図形を小さく・きれいに分割」できそうな時は、面積比を考えてみましょう。
なるほど・・・
「きれいに分割」がポイントだね。
相似形・辺の比で考えるポイント・図形の外へ飛び出す

先ほど、お話ししました通り、「相似形・辺の比」で解こうとすると、手が止まりがちな状況です。
じゃ、
相似形・辺の比では解けないんだね。
図形問題では、「解けない補助線・方法」はありますが、「解けない考え方」は、ほぼないです。
「考え方」は、相似形・辺の比・面積比など基本的な考え方です。
それでは、
どうやって、この問題を辺の比で考えるの?

「ABと平行で、Pを通る直線」を引くと、上手くできない雰囲気がありました。
そこで、図形の外に飛び出してみましょう。
色々な線・点が増えて、
難しくなるのでは?
「考える対象が増える」と難しくなりそうですが、少しずつ相似形を発見してゆきましょう。

新しい線・点に加えて、相似形もたくさん登場しますが、「順に考えてゆく」ようにします。

少し、対象とする三角形が多くなり、計算が多いですが、答えにたどり着きました。
ここでは、かなり簡略して表現しているので、詳しくは下記をご覧ください。
やっぱり、この問題は
「面積比」の方が簡単だね。
「辺の比」でも
解けたけど、ちょっと大変・・・
辺の比と図形全体:図形を描く


二つの解法は、「三角形の面積に着目する」か「相似三角形から辺の比に着目するか」です。
いずれも大事な考え方です。
個人的には、後者の方が応用範囲は広いように思います。
そうなの?
でも、「こういう問題は、こう解く」と考えた方が良いのでは?
こういう問題は、こう解くから、
このパターンを理解して。
と教わる方もいるかもしれません。
算数では「こう考えなければ、解けない」ということは、少ないです。
実際には、「様々な考え方で解ける」のです。
そこで、「こういう問題は、こう」ではなく「こういう考え方もある」と学ぶと良いでしょう。

いずれの解法も「自分で図形全体を描く」ようにしましょう。
図形全体を描いてみると、問題の全容が見えてきます。
描かなくても、
見れば分かる!
とは考えず、描いてみましょう。
中学受験・高校受験・大学受験の方は、ぜひこの「図形全体を描く」をやってみましょう。
高校受験の中学生は、図形問題で円が多く登場します。
「円をフリーハンドできれいに描く」のは難しいので、少し歪でも良いので描いてみましょう。
そして、「描くこと」に慣れてゆくようにしましょう。
描いているうちに、慣れてきたりコツがつかめてくるでしょう。
そして、描く時間が短くなり、本質的なことが分かるようになってきます。
図形全体を描いてみること=全体像を見ること
「少しでも時間が欲しい」中学受験生〜大学受験生。
こういう遠回りなことをすると、
やることが、
たくさんあるよ・・・
描くと、
時間がもったいない・・・
と、思うかもしれません。
ぜひ一度やってみましょう。
上記の問題でも、塾や参考書の問題でもいいです。
描いてみると「頭で分かっていたつもり」のことが、より具体化して「見えてくる」感じになります。
この「図形全体を描いてみる」ということが、問題解決のキッカケになることがあります。
図形全体を描いてみることは「全体像を見る・つかむこと」につながります。
手を止めないで、手を動かして考える
解くキッカケがつかめないで、ウンウン悩んで時間が経過してしまうことがあります。
うん。
そういう経験たくさんある・・・
「図形を描く手間と時間」があっても、解けた方が良いでしょう。
そして「手を動かして一生懸命考えている痕跡」は、記述式試験において、大いに効果があるでしょう。
図形問題に限らず、文章題でも「描くこと」は効果を発揮します。
この解法例では、りんご、みかん、かきを入れる箱は書きませんでした
ぜひ、自分で箱を書いてみて、
これがりんごで、
これがみかんで・・・
と、手を動かしてみましょう。
こういう時の「箱」は、斜め上から見た立体の絵でも、□の平面の絵でも良いです。
どっちが
いいの?
立体の絵を描くより、平面の箱を□で表現した方が、早く描けます。
一方で、
私は、「箱」は立体的に
描いた方が、わかりやすいけど・・・
という方は、少し時間がかかっても「立体的に描いた箱」にしましょう。
それでも
いいの?
「どういう考え方が良いか」を考えがちですが、「どう言う考え方が好きか」も大事です。
それもまた「それぞれの方の個性」次第です。
・「どういう考え方が良いか」より「どういう考え方が好きか」
・自分に合った考え方を、しっかりと理解する
この箱の絵を「平面か立体か」でかかる時間の違いは、10秒〜20秒程度でしょう。
一方で、算数で「考えて思考が停滞する」とき、20秒は一瞬で経過します。
「自分の好きな方法」だと、描く効果も高まります。
そして、具体的イメージがハッキリして、思考が進むでしょう。
「こういう時は、こうする!」ばかりではなく、
僕は、こうしてみるのが
好きだな・・・
というのがあれば、その「好きなこと・方法」を延ばして、学力を上げましょう。
手を動かして脳を活性化・イメージ膨らませる
手を動かすことは、脳が活性化します。
悩んでしまって、手が止まってしまうよりも、手を動かして考えてみましょう。
その際は、イメージを膨らませてみるのも良いでしょう。

この時は僕は手描きで書きました。
500gと200gの食塩水をおもりに見立てる時、おもりの直径が食塩水の量に比例するように描きました。
実際は量=面積と考えられるので、直径が500/200=2.5倍で描くと面積が2.5×2.5=6.25倍になります。
厳密には左側のおもりのサイズ(直径)は右のおもりのサイズ(直径)の「2.5の平方根倍」になります。
量の違いはイメージできた方が良いので、大きい方を大きめに書いてみました。
慣れてくると「同じ大きさ」で、おもりを描くと思います。
このように量や大きさが大きいものを実際に大きく描いてみると、イメージが膨らみます。
算数と理科が横断的に繋がって、理解力が深まります。
てんびんの釣り合い位置は、掛け算(モーメント)で考えます。
感覚的にも大体下記のような感じだと分かります。

図形でも文章題でも、自分がイメージ膨らむようにどんどん描いてみましょう。
そして、解法のキッカケを、自分の手でどんどんつくってゆくようにしましょう。