前回は、「身近な「なぜ?」から、やる気へ〜育む好奇心〜」でした。
中学受験算数のコンセプトの一つ、「てんびん算」はご存知ですか。
ご自身が受験された方はご存知の方が多いと思いますし、小学校高学年のお子様は塾などで習っているかもしれません。
今回は「てんびん算」のご紹介です。
中学受験の算数においては、「比」や「図形」など、数学的に本質的な事柄もあります。
一方で「てんびん算」や「旅人算」などのように、「解法テクニック」的な考え方もあります。
僕は「テクニック」は、テストにはある程度有効ですが、長期的視点からは弊害もあると考えています。
「コンセプト」や「アイデア」などの言葉で表現したいと思います。
「てんびん算」のコンセプトは非常に本質的で、直感的であり、問題の解法としては非常に優れていると思います。

例えば、食塩水を混ぜる問題で、
A:8%の濃度の食塩水500gとB:15%の濃度の食塩水200gを混ぜたら何%の食塩水になりますか?
という問題があります。
基本的な考え方は
Aの食塩は 500×0.08=40gで、Bの食塩は 200×0.15=30gで合計70gになるから、70/700=0.1
→ 答えは10%
です。
もちろん「正しい」です。
「てんびん算」の考え方は、次のようになります。
本質的には「混ぜること」=「バランスをとること」
てんびんを描いて、8%の濃度のところに500gの大きなおもりを、15%の濃度のところに200gの小さなおもりを置きます。

これらの天秤が、「どこでつりあうのか」を考えると、てこの原理(モーメント)で、下記のようになります。
ですから、8%と15%の間の7%を按分して、下記の通り10%になります。

この考え方は、混ぜる食塩水の数が3つになったり、濃度がわからない場合など、非常に効果的に解くことができます。
解法としてわかりやすく、時間も短くできますが、この考え方は「物事のバランスを取る」ことで、非常に本質的です。
実社会で取引をしたり、協議したりする場合でも、「バランスを取る」ことは大事です。
てんびん算で「バランス感覚」養いつつ、問題解決能力も高めみましょう。