難しい図形問題の解き方・ポイント〜三角形の一辺に平行な補助線・補助線の役割・図形の世界を広げる発想・視野を広げる多角的視点・複数の解法を習得して様々な角度から考える姿勢・問題 2〜|中学受験・海城中・算数実践4

前回は「図形問題を「苦手」「嫌い」にならない姿勢〜三角形と相似形の解き方・面積比・辺の比・問題 2〜」の話でした。

今回は、三角形の相似比から考えます。

目次

問題2(再掲載)

下記の三角形ABCにおいて

BP : PC = 4 : 3

CQ : QA =3 : 5

AR : RB = 2 : 3

の時、下記を求めなさい。

(2) AS : SPの整数比

図形問題(新教育紀行)

三角形の一辺に平行な補助線:補助線の役割(2)解法A

図形問題:辺の比に注目(新教育紀行)

辺ABに平行で、点Pを通る補助線を引いて見ましょう。

上の図で水色の二つの図形は
相似形だけど・・・

これでは、
進まない気がする・・・

なかなか「解くキッカケになる相似三角形」が見えません。

この補助線では
解けないのかな・・・

この問題を「辺の比」で解こうとすると、前回の「面積比」で解くよりも「やや難しい」かもしれません。

図形問題:面積比に注目(新教育紀行)

前回、「面積比」で考えた時と今回「辺の比」で考えている時、補助線の大きな違いは何でしょう。

補助線の違いを
考えるの?

今回の「ABに平行で、Pを通る補助線」は、なぜ「解けない感じ」なのでしょうか。

それはね・・・
あ、そうだ!

この補助線が
辺SQの途中でぶつかっているからだ!

そう!
この補助線が、たとえばPQだったら解けそう!

問題に登場していない「新しい点」が出てきたことが、「この補助線」の問題点です。

そのため、「相似形を解くための比が分からない」状況です。

そういうことだね。
では、この補助線では解けないの?

実は、この補助線でも解けるので、考えて見ましょう。

図形の世界を広げる発想:視野を広げる

図形問題:辺の比に注目・図形の外に出る(新教育紀行)

少し視野を広げて、図形の外に飛び出して、新しい三角形を作ってみましょう。

図形問題は「与えられた図形の中だけ」で考える必要はありません。

これは、解くのが
難しくなるんじゃない?

三角形ABCの外に出ると、
図形が複雑になった気がする・・・

「難しい」ように見えるかもしれませんが、一つ一つ「相似形・辺の比」を考えて見ましょう。

RQとBCの延長線の交点をZとします。

これによって、△BRZが現れ、相似三角形が見えてきました。

図形問題:辺の比に注目・図形の外に出る(新教育紀行)

まずは、△BRZにおいて、BP : PC : CZの比を考えましょう。

上図でCからABに平行な直線を引き、水色の相似三角形を考えて、辺の比が求まります。

図形問題:辺の比に注目・図形の外に出る(新教育紀行)

そして、△BRZと上図水色の三角形が相似なので、BZ : CZ =3 : 6/5 = 5 : 2となります。

図形問題:辺の比に注目・図形の外に出る(新教育紀行)

辺BZにおいて比を整理して、BP : PC : CZ= 12 : 9 : 14と求まります。

図形問題:辺の比に注目・図形の外に出る(新教育紀行)

最後に△BRZと上図水色の三角形が相似ですので、辺の比が求まります。

すると、AS : SP= 70:69と求まります。

多角的視点:複数の解法を習得して様々な角度から考える姿勢

図形問題:面積比に注目(新教育紀行)
図形問題:辺の比に注目・図形の外に出る(新教育紀行)

面積比と辺の比の両方の考え方を比較してみましょう。

(2)に関しては解法Bの方が考え方は易しいですが、計算が大変です。

解法Aは丁寧な説明を心がけたため、少し図が多くなりました。

慣れれば、相似三角形を自分でどんどん作れるので、計算は比較的簡単です。

慣れるようになるには、
どうしたら良いの?

慣れるには、「自分でどんどんやってみる」のが一番良いです。

図形問題が出来るようになる方法

・図形全体を描いて、しっかり考える

・自分で補助線を引いてみる

解法Aの方が短い時間で解答に至り、「計算ミスを防ぐ」面でも効果的と思います。

異なる視点で説いてみましたが、解法Aで大事なことは「図形の外に飛び出す」ことです。

問題の世界は、出題者の決めた中で完結しなくても良いのです。

特に図形問題は、「自分で世界を広げて考えてみる」をやってみましょう。

新教育紀行

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