「ペーパー試験軽視・将来性重視」の米アイビーリーグの大学入試〜各大学の独自カラーで選抜する米大学・筆記試験中心の日本の大学・「書いてみる」ことを積極的にやってみる・◯Xを意識しすぎない〜|中学入試と中学高校の教育3・中学受験

前回は「独自試験による「校風に合う生徒」選抜のメリット〜東京大学入学試験における推薦入試・東京大学における異常に低い女子の割合〜」の話でした。

目次

「ペーパー試験軽視・将来性重視」の米アイビーリーグの大学入試

新教育紀行
ハーバード大学(Wikipedia)

米国アイビーリーグなどの大学受験が、大きく変わりました。

GPA・SATなどの成績重視から、「多様な試験」へ大きく舵を切ったのが米国のトップ大学でした。

日本の教育界で、

子どもに詰め込み教育は
良くない!

子どもにはもっと「ゆとり」を持って
学ばせるのが良いのだ!

と言う謎の「ゆとり教育」なる大変な大失策をおこなった時代が近年ありました。

これは、日本の教育界で根強い「暗記中心・ペーパーテスト中心」の学びへの「大転換」の予定でした。

それは、「暗記中心・ペーパーテスト中心」の学びを変えようとする姿勢は正しかったのです。

ところが、その実現として「単に子どもたちの勉強内容を大幅削減」した手法に大問題がありました。

Japan as No.1(エズラ・ボーゲル著 CCCメディアハウス)

日本では、昭和の高度成長期からバブル期にかけて「Japan as No.1」と言われた時代がありました。

このため、日本の教育は1990年頃までは、

確かに「詰め込み教育」だけど、
No.1だからいいのではないか?

と言う声があったのでしょう。

その後、バブル崩壊が発生し、

やはり日本の「詰め込み教育」は
早急に改めるべきだ!

と様々な試みが行われていますが、バブル崩壊後30年を超えた今に至るまで、教育改革は中途半端な状況です。

新教育紀行
東京大学(Wikipedia)

2016年に開始された、東大の推薦入試合格者数。

もともと後期試験の人数枠を回した推薦入試。

これは東大の「新たな形式の試験」ですが、全合格者の3%に満たないのが現実です。

科類女子比率(%)
文科I類30.5
文科II類20.4
文科III類40.6
理科I類8.3
理科II類27.1
理科III類24.7
全体22.3
東京大学の各科類合格者の女子比率(2023年)(Y-SAPIX)

そして、まだまだ東大における女子率が少ない状況がずっと続いています。

東大の中でも文系はまだ良いですが、理科I類に至っては女子率はわずか8.3%という驚異的数字です。

もはや、消費税率を下回る状況になりました。

この数字から比較すると、「理科II類、III類の25%前後の女子率がとても高い」と感じてしまいます。

当然のことながら、それは「大きな錯覚」であって「女子率は50%程度」が本来の姿でしょう。

最も女子が多い文科III類で40.6%というのは、どう考えても不自然な状況です。

現に欧米のトップ校では男女半々程度の割合が多く、日本の国立大学の異常な環境が目立ちます。

この意味において、東大の「男女共同参画室」が、

東大の女子率を
上げたい!

と考え、推薦入試における女子率が高いことは、賛否あるでしょうが好ましいことだと考えます。

各大学の独自カラーで選抜する米大学:筆記試験中心の日本の大学

新教育紀行
空と雲(新教育紀行)

今年から、学力テスト以外の入試を大きく推進した米国のアイビーリーグなどの大学。

「試験の多様化」により、GPA・SATなどの成績重視から大きく舵を切った米国の大学。

かつては合格するはずだった優等生が、

私、X大学に絶対合格する
成績だったのに、落ちた・・・

僕は、最難関とは言えY大学合格に
かなりの自信を持っていたのだけど・・・

次々とアイビーリーグなどの大学入試に落ちている事実があります。

これらの優等生たちが、多くの大学で上手く行かなかった理由。

これは、「試験の多様化」と同時に「合格基準の多様化」によると考えます。

「かつて合格するはずだった人物が不合格」という事態が起きたという事実。

それは、逆に「かつて不合格であるはずだった人物が合格」という事態も、起きている可能性があります。

「必ずしも優等生ではなくても、独特の能力を持つと判断できる」人物を、

SATの点数はやや低いが、
Essayが抜群に良い!

SATは、まあまあ高ければよく、
大事なのは「何を考えているか」だ・・・

この子は
合格ね!

各大学が合格としているのでしょう。

これこそが、世界でイノベーションで群を抜いてトップたる、米国の姿勢です。

そもそも、この「独特の能力を持つと判断」するのは、どうやっているのでしょうか。

それは、大学入試の際のエッセイ等により、各大学・入試担当者の判断によるのでしょう。

米国では入試が多様化して、志願者が多様化し倍率が急速に上がった事実があります。

数多くの志願者を、筆記試験などの成績によらずに合否を判断している大学。

それが、米国アイビーリーグ等の名門大学です。

その合否判定の実態や基準は、明らかにはなっていません。

むしろ、「明らかになっていない」のが当然であり、大学ごとのカラーで判断していると考えます。

我が校の
合格基準?

そんなものを明らかにする
必要はないでしょう!

我が大学の雰囲気やカラーを
見て、合格基準は想像して頂きたい!

これら名門アイビーリーグの大学受験担当者たちは、こう考えているでしょう。

「書いてみる」ことを積極的にやってみる:◯Xを意識しすぎない

新教育紀行
種子島の海(新教育紀行)

世界に逆行するように、筆記試験による画一的な試験方法を頑ななまでに変更しない日本の大学受験。

筆記試験中心の大学入試の形式を
変えた方が良さそうだが・・・

具体的に、どう変えるのが
良いのか・・・

米国のようにエッセイなどを非常に重視する姿勢は
良さそうだが・・・

そもそも、日本の教育界で「何かを書いてもらう」
エッセイなどをやってないからな・・・

海外では小学校から中学・高校の教育において、「自分の意見」を発言する機会が多いです。

対して、日本の教育では、

今日は微積分の問題を
解いてみましょう!

こういう問題では、
ここに着目して、微分して・・・

こう先生が板書して、生徒たちはひたすらノートにとる教育が続いています。

そのため、突然大学受験で「エッセイを書いてください」と言われたら、

えっ・・・?
何を書けばいいの?

大学受験生たちは、大いに困惑するでしょう。

そして、その影響を非常に強く受けざるを得ない、各中学・高校の教育の場。

さらに、その各中学・高校の教育の場に入れる生徒を選ぶ、中学受験もまた、強い影響を受けます。

日本の大学受験が、米国のように大きく変われば、日本の教育・受験界も大きく変わります。

ところが、これまでの日本の流れから、すぐに大きくは変わることはないでしょう。

すると、「一定の筆記試験の枠組の中で」高い点数を取る勉強も大事になります。

大学受験につながる筆記試験の中で、各中学が独自性を出そうと考えます。

そこで、記述式試験などの、「個性を問う」試験の比率が大きくなる可能性が高くなると思います。

暗記ばかりではなく「本質を理解する」ことを目指すのが、良いでしょう。

そして、「記述も暗記型の問題もある程度出来る」のが望ましいです。

これまで、記述対策
してなかったけど・・・

具体的には、時事問題などを「まとめる」ことから始めましょう。

その際、「まとめる」だけではなく、「何を感じたか」を子どもに考えてもらいましょう。

えー、
難しいよ・・・

難しく考えずに、「僕は、こう思う」で良いのです。

間違ってたら、
どうしよう・・・

本来、「考えること」「感じること」に、◯もXもないのです。

たしかに、
そうよね。

私の感じたこと、
でいいのかな?

それが「学校のカラー」で判断されると、一定の判定が出ます。

志望校のカラーと、受験生自身の個性が合っていれば、その判定も良いでしょう。

その姿勢は、長期的に子どもの将来に良い影響をもたらすと考えます。

様々な分野で多様化が強い勢いで進行する海外の教育。

「ただ学ぶ」のではなく、「書いてみる」ことを積極的にやってみましょう。

新教育紀行

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