前回は「中学入試と教育 1」の話でした。
大学進学実績ランキング上位校が、カラー・独自性ある中学入試試験を実施しない理由。
それは、大学進学実績と大学受験の試験内容による話でした。
東京大学で、推薦入試が実施されたのは、2016年からです。

推薦入試創設のきっかけは、後期入試の廃止でした。
この時、同大学は「学部学生の多様化を図る」のが目的と話しています。
後期試験廃止は良い方向で、筆記試験ばかり何度もやるよりも、異なる選抜方法が良いでしょう。
推薦入試合格者数が全体に占める人数は、3%に満たないです。
この人数は、「もともとが後期入試枠」であることが、その理由です。
この人数をもう少し増やして、推薦入試合格者数を10〜20%にすれば、大学受験は変わると考えます。
また、2022年度の推薦入試の結果が、下記に出ています。

2022年度の推薦入試合格者数88名中、女子は38名で、占める割合は43.2%となりました。
これは好ましい状況と考えます。

東京大学では、昔から女子が20%を下回る状況が続いています。
威人紀行で取り上げた山崎直子さんも、「非常に女子が少ない」状況に驚いた話をしています。
この事実は、東大に入学した後に、男女共に感じる「強烈な違和感」です。
海外のハーバード大学、スタンフォード大学、ケンブリッジ大学などの大学では、学生における女子の比率は50%程度です。
これは、海外の方から考えれば「当然のこと」でしょう。
人間の半分は女性だからね。
対する東大などの、20%を下回る女子率。
えっ?なんで?
海外の方から見れば、日本国内大学の状況が「異常」なのでしょう。
東京大学も「男女共同参画室」などで、しきりに女子の東大受験を推進していますが、ほとんど状況は変わりません。
「男女共同参画室」が「女子の比率アップ」を推進している以上、推薦入試枠での「女子率の高さ」は同大の方針でしょう。
それによって、「合格基準に多少の差異」が生じていると考えますが、それは「大学ごとの判断」であると考えます。
東大等の大学における、非常に低い女子率。
この状況は、どう考えても異常で、不健全です。
「男女共同参画室」が「女子率を上げたい」と言っても、ここ30年変化がないのですから、大きくは変わらないでしょう。
そして、日本では少子化が異常な速度で進行し、人口がどんどん減少してゆきます。
この異常で不健全な状況を変えるためにも、「推薦入試枠の拡大」は一つの選択肢でしょう。
試験の方法を大きく変えることも、選択肢に入るでしょう。
それは大学受験業界に大きな変化を与え、中学受験の状況も大きく変わると考えます。
次回は、中学受験の方向性を考えます。