子どもの未来・大学受験とペーパー試験〜「自分の考えを見せる」記述式試験の姿勢・東大入試数学で教授陣が驚く「想定外の解法」〜|中学入試と中学高校の教育4

前回は「「ペーパー試験軽視・将来性重視」の米アイビーリーグの大学入試〜各大学の独自カラーで選抜する米大学・筆記試験中心の日本の大学・「書いてみる」ことを積極的にやってみる・◯Xを意識しすぎない〜」の話でした。

目次

子どもの未来・大学受験とペーパー試験

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シャボン玉(新教育紀行)

中学受験・高校受験・大学受験、いずれの受験生の方々も、「どう成績を上げるか」が主眼になります。

もっともっと
成績を上げないと・・・

どうしたら、
算数の点数が上がるかな・・・

これは当然のことであり、「成績=点数」によって基本的に合否が判断される受験。

受験生本人の視点から考えれば「点数が全て」という思考になるのは、やむを得ないことです。

この場合、「受験を突破するために勉強し点数を上げる」が目的となりがちですが、本来は「合格すること」が目的です。

受験勉強の目的

・自分の目標とする志望校に「合格したい」という強い気持ち

・「点数・偏差値・成績を上げる」ことは目標へのプロセスの一つ

2000年頃から、日本の受験においてAO入試や特殊入試が盛んになりました。

それでもまだまだ、「ペーパー試験による一発勝負の一般入試」が主体の日本の受験界。

対して、米国の大学受験では「高校生活で何をしてきたか」やエッセーが重視されます。

もともと「ペーパー試験軽視」の姿勢だった米国の超名門校・アイビーリーグでは、

SAT(日本の大学共通試験のような試験)の
点数は提出必須とはしない!

という動きが明確に出てきました。

具体的に「どの程度SAT(ペーパー試験)の成績不要」なのかは、大学にも寄ると考えます。

つまり、米国アイビーリーグなどの大学は、

今持っている「ペーパー試験で測れる学力」は
大事だが・・・

それよりも、志願者の人間性・個性の方が
もっと遥かに大事ではないか・・・

そして、大学入学時点の学力よりも、
「大学でいかに一生懸命学ぶか」が遥かに大事だ・・・

という姿勢を明確に打ち出しました。

この米国の大学入試の方法によると、「高校生活全体が大学受験に関わる」ことになります。

日本の多くのペーパー試験「一発勝負」とは、「完全に反対の姿勢」であり、賛否両論あります。

「学生の適性を測る」上では、米国の姿勢の方が合理的であると考えます。

一方で、オリンピック競技の本番なども「一発勝負」です。

そのため、「一発勝負」が悪い・劣るわけでもなさそうです。

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京都大学(Wikipedia)

京都大学の特殊入試で、2026年度から「女性枠」設立が決定しました。

この「特殊入試」は一般入試とは異なる試験方法ですが、大学共通試験等ペーパーテストは必須です。

子ども達の未来は様々で、「進学する大学」が必ずしも決定的影響を与えるわけでもありません。

子どもが進む方向によっては、様々な選択肢があります。

それでも、「進学する大学」は「出身校」として一生つきまとう存在になります。

海外の大学へ進学することも大いに良いことなので、一つの選択肢と考えると良いでしょう。

一方で、日本の大学進学を考えるとき、「ペーパー試験での突破力」は当面は避けては通れなさそうです。

東大入試数学で教授陣が驚く「想定外の解法」

新教育紀行
東京大学(Wikipedia)

今回は「学校側の視点」から合格への道を探ります。

以前、東京大学の入試数学の採点担当者の方から、面白い話を聞きました。

20年以上前で「かなり昔」ですが、状況は大きくは変わらないと考えます。

年度によりますが、東京大学の数学の入試問題は、基本的にかなり難しいです。

年度によっては、「易しい問題(一定の学力を持つ方にとって)ばかり」の年もあるようです。

時には、「難しすぎて点差がつきにくい」問題も出題されます。

記述式の採点を慎重に行なって、「出来ているところ」までは点数を与えいます。

ここまでは
出来ているから、5点・・・

この「難しい数学」で高得点を挙げることができる志願者は、

物理でちょっと
勘違いをしてしまった・・・

出願先にもよりますが、概ね他の科目で多少ミスを起こしても、

でも、なんとか
合格できた・・・

合格するのでしょう。

「難しい」といっても「問題のタネ・ネタ」はあり、高度な数学定理などが裏に隠れています。

そして、教授たちは高校生向けに翻訳し、少しひねって、

この問題は
解ける?

と志願者達に問うわけです。

問題を作っている側は「タネ」を知っていますし、出題者は数学のプロです。

基本的な解答方針や「想定される別解」も、ある程度は頭にあります。

それでも、教授たちが採点していると、時々

おおー!
この解き方は!

と「歓声が上がる」ようです。

この歓声の理由は、

なに!
こんな考え方があったのか!

この解法は
思いつかなかった!

みたいな、「全く想定していない解法」があるそうです。

そういう答案をつくってくる学生がいて、その答案を見た教授陣。

教授たちが、

これはすごいな・・・
一本取られたな・・・

こんな切り口が
あったのか!

と「むむ〜!」と唸るそうです。

こういう志願者が、必ず年に数人はいるようです。

「自分の考えを見せる」記述式試験の姿勢

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空と雲(新教育紀行)

中学受験において、採点に関する話はなかなか漏れ伝わってこないです。

それだけ、きちんと情報の管理をしているのでしょう。

内容としては、大学受験数学の方が中学受験算数より難しいです。

中学受験は手法が「算数に限定されている」中、解くのが難しい問題は多々あります。

見方によっては「大学受験の問題よりも難しい」問題も多々あります。

解答欄が「答えだけ」の試験が多い中、記述式や「一部の考え方を記載する」形式の試験が増えています。

そして、記述式ではなくても「考えている思考の痕跡を書く欄」がある試験形式もあります。

「答えだけ」なら「答えを採点するだけ」になりますが、記述の場合は採点方法は多岐に渡りそうです。

ここでは、記述式またはそれに準じた形式の算数の試験に関して考えてみます。

中学受験の算数の問題において、教師が「唸る」まで行かなくても、

なるほど!
これは面白い考え方だ!

ちょっと意外な
考え方だな・・・

と思うような答案を作成する人が、「時にはいる」のでしょう。

算数で極めて優れた解法を示し「算数の優れた資質がある」と考えられるけど、

この子は、算数は素晴らしいのだが、
総合点が今一つだな・・・

ということもあるでしょう。

他の科目で多少点数が低く「合格最低点に達していない」場合でも、

これは中学高校で
伸びる才能かもしれない・・・

合格とすることはあるのではないでしょうか。

逆の立場=中学校側であれば、そういう「特殊な能力を持っている可能性のある」志願者は、

こういう子は
ぜひ入学してほしい!

と考えるでしょう。

小学生に対して、算数・数学的センスを図るのは、非常に困難なことです。

小学生の時に素晴らしい能力・センスを見せつけていた子が、高校生頃には平凡になってることがあります。

一方、小学生の時は「それほど目立つことがなかった」のに、

なんか、最近数学が
楽しすぎるぞ!

中学・高校で開眼して、素晴らしい能力を見せつける子もいるでしょう。

特に記述式で、「持てる能力を全て答案用紙に表現する」ことが大事です。

それは、採点者に「才能・能力の片鱗」を見つけてもらえるかもしれません。

積極的に「自分の考えを表現」して、一歩でも二歩でも志望校への合格に近づきましょう。

そして、「記述式が出題されない」タイプの試験を受験する方も、時には「簡単にまとめる」のが良いでしょう。

「少し書いてみる」と思考がまとまって、総合的学力が上がるでしょう。

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