前回は「中学入試と教育 3」の話でした。
今回は「学校側の視点」から合格への道を探ります。
以前、東京大学の入試数学の採点担当者の方から、面白い話を聞きました。
年度によりますが、東京大学の数学の入試問題は、かなり難しいです。
点差がつきにくいでしょうから、記述式の採点を慎重に行なって、「出来ているところ」までは点数を与えいます。
この難解な数学で高得点を挙げることができる志願者は、他の科目で多少ミスを起こしても、合格するのでしょう。
「難しい」といっても「問題のタネ・ネタ」はあり、高度な数学定理などが裏に隠れています。
そして、教授たちは高校生向けに翻訳し、少しひねって「この問題解ける?」と問うわけです。
問題を作っている側は「タネ」を知っていますし、出題者は数学のプロです。
基本的な解答方針や「想定される別解」も、ある程度は頭にあります。
教授たちが採点していると、時々「おおー!」と歓声が上がるようです。

それは「なに!こんな考え方があったのか!」「この解法は思いつかなかった!」みたいな、「全く想定していない解法」があるそうです。
そういう答案をつくってくる学生がいて、その答案を見た教授陣。
教授たちが、「これはすごい!」「こんな切り口があったのか!」と「むむ〜!」と唸るそうです。
こういう志願者が、必ず年に数人はいるようです。
中学受験において、採点に関する話はなかなか漏れ伝わってこないです。
それだけ、きちんと情報の管理をしているのでしょう。
内容としては、大学受験数学の方が中学受験算数より難しいです。
中学受験は手法が「算数に限定されている」中、解くのが難しい問題は多々あります。
見方によっては「大学受験の問題よりも難しい」問題も多々あります。
中学受験の算数の問題において、教師が「唸る」まで行かなくても、「なるほど!」と思うような答案を作成する人は、いるのでしょう。
算数で極めて優れた解法を示し、「算数の優れた資質がある」と考えられるけど、総合点が今一つの志願者。
他の科目で多少点数が低く「合格最低点に達していない」場合でも、合格とすることはあるのではないでしょうか。
逆の立場=中学校側であれば、そういう「特殊な能力を持っている可能性のある」生徒は「ぜひとりたい」「ぜひ入学してほしい」のです。
小学生に対して、算数・数学的センスを図るのは、非常に困難なことです。
小学生の時に素晴らしい能力・センスを見せつけていた子が、高校生頃には平凡になってることがあります。
一方、小学生の時は「それほど目立つことがなかった」のに、中学・高校で開眼して、素晴らしい能力を見せつける子もいるでしょう。
「持てる能力を全て答案用紙に表現する」ことは、採点者に「才能・能力の片鱗」を見つけてもらえるかもしれません。
積極的に「自分の考えを表現」して、一歩でも二歩でも志望校への合格に近づきましょう。