前回は「受験と時事問題〜何を知っておくべきか・開戦前のロシアとウクライナの戦力・ウクライナとロシアの国力・ウクライナ戦争の行方・西側諸国の強力な支援〜」の話でした。
ウクライナ戦争

非常に痛ましい事態が続いている、ロシアによるウクライナ侵攻とウクライナ戦争。
日本にとっても極めて重大な事態ですが、やはりウクライナは遠い国です。
ヨーロッパ諸国にとっては、「すぐそこ」で大規模な戦争が行われているのが現実です。

(ア)-中国(中華人民共和国)
(イ)-モンゴル
(ウ)-ロシア(ロシア連邦)
(エ)-カザフスタン
(オ)-ウクライナ
(カ)-ベラルーシ
(キ)-フィンランド
(ク)-米国(アメリカ合衆国)
(ケ)-英国(イギリス)
(コ)-フランス
上の地図ではウクライナは「オ」の国です。
今回は、中学入試・高校入試・大学入試に出題される可能性がある「時事+歴史」を考えてみましょう。
ロシアとウクライナの戦力・国力を比較すると、

ウクライナとロシアでは
「巨人と少年」のようなもので・・・
CNNなどでは「巨人と少年」と形容されることもあります。
「ある国」とロシアの比較:「ある国」とウクライナ
項目 | ある国 | ロシア | ロシア/ある国 |
人口(万人) | 4,600 | 12,000 | 2.6 |
現役兵力(万人) | 100 | 200 | 2.0 |
歳入(億円)(GDP) | 2.5 | 20 | 8.0 |
火砲(門) | 636 | 2,260 | 3.6 |
艦船(トン) | 25 | 80 | 3.2 |
石油産出量(万バレル) | 200 | 44,500 | 222 |
上の表は、現代ではありませんが、過去にロシア(旧ソ連)と戦争した国のロシアとその国の戦力・国力比較です。
情報源が様々で、数字の精度も少しバラツキがありますが、「およその目安」と考えてください。
上の表でロシアと比較した「ある国」は、ウクライナと同じような状況です。
少し昔なので、「歳入」は現代では「GDPと同等」と考えて良いでしょう。
ロシアが資金源が8倍、兵力が2倍、陸軍の兵器の火砲は3.6倍、海軍艦船は3.2倍あります。
大きな差は、石油の算出量でありロシアが222倍あります。
算数・数学で「222倍」は意味があるかもしれません。
「国家間の比較で222倍」は、事実上∞(無限大)と考えて良いレベルです。


前回考えてみたウクライナとロシアと比較してみましょう。
項目 | ウクライナ | ロシア | ロシア/ウクライナ |
現役兵力(万人) | 19.6 | 90 | 4.6 |
装甲車(両) | 90 | 200 | 24.8 |
航空機(機) | 3,309 | 15,827 | 10.5 |
ヘリコプター(機) | 132 | 1,391 | 17.2 |
潜水艦(隻) | 0 | 49 | ∞(無限大) |
防衛費(億ドル) | 4.7 | 45.8 | 9.7 |
項目 | ウクライナ | ロシア | ロシア/ウクライナ |
GDP(億ドル) | 112 | 1,578 | 14.1 |
原油産出量(億バレル) | 0.6 | 112.6 | 204.7 |
天然ガス生産量(km3) | 20 | 634 | 31.7 |
粗鋼生産量(千t) | 21,366 | 75,970 | 3.6 |
「ある国」とウクライナを比較すると、「ある国」はロシアに対してはGDPは比較的似た状況です。
兵力や兵器を比較すると、「ある国」はウクライナよりはるかに状況が良く、直接対峙する戦力は良い状況です。
資金源であるGDP(歳入)もウクライナより状況が良いですが、問題は物資面です。
原油生産量の状況はロシアと比較して似た状況で、戦争を継続するパワーの状況も類似しています。
そして、ウクライナは天然ガスを豊富に算出し、粗鋼生産量が非常に大きい状況です。
「ある国」とロシアが戦争した時代は、天然ガスがあまり算出されず、粗鋼生産量のデータはありません。
国力・戦力としては、ロシアに対して「ある国」とウクライナは「似ている状況」と言えます。
「ある国」とはどの国?


それでは、ある国はどこの国でしょうか?
ヒントは、上の国旗の国です。



この国旗、
見たことないよ。



どこの国
かな?
「見たことがない」方が多いかもしれません。
現在もこの国旗の国家はあり、この旗も使いますが、あまり見ることはないでしょう。



えっ、この国旗は
今もある国なの?



今もあるけど、
あまり使わないっていうことかな・・・
実は、この国旗は旭日旗といい、日本の国旗です。



日本の国旗って、
いわゆる「日の丸」でしょ?
あの「日の丸」が正式な日本の国旗ですが、現在でも旭日旗は自衛隊などで使われます。
オリンピックなどで、旭日旗が日本の国旗として使われることはないでしょう。



では、なぜ
今でもあるの?
旭日旗を廃止する必要はないのですが、戦前に旧日本軍が使用していたのが旭日旗です。
そのため、旭日旗を使用することは「旧日本軍・軍国主義大日本帝国」を連想させます。
自衛隊など特殊な方々、特殊な時以外で旭日旗が使われることはありません。
大日本帝国と日本:日露戦争でロシアと対峙した大日本帝国


現代の日本の「正式な国旗=日の丸」が、上の写真です。



確かに
似ているね。



以前の旗をシンプルに
した感じかな。
大日本帝国の国旗「旭日旗」と現代の日本の「日の丸」は、類似性があります。
いずれも「太陽」を示しますが、「旭日旗」は「日出る国」のイメージが非常に強いデザインです。
太陽が昇ってきて、パアーっと太陽の光が四方八方に飛んで行くイメージです。





新しい国家となり、
欧米列強と伍する存在へ!
このような「明治新政府・維新の気概」が非常に表れています。
上の「ある国」とは大日本帝国、かつての日本です。



「ある国」って
日本だったの?



そうなんだ・・・
ウクライナと似ている面があるんだね・・・


120年ほど前の1903〜1904年頃の日本を取り巻く状況は、非常に厳しいものでした。



もはやロシアとの戦争は
避けられないのでは・・・



しかし、ロシア相手に
勝てるのか?



それは誰が
考えても難しい・・・



ロシアと大日本帝国では、
国力・戦力が違いすぎる・・・
「ロシアより遥かに国力が劣る」状況だった日本。
項目 | 大日本帝国 | ロシア帝国 | ロシア帝国/大日本帝国 |
人口(万人) | 4,600 | 12,000 | 2.6 |
現役兵力(万人) | 100 | 200 | 2.0 |
歳入(億円)(GDP) | 2.5 | 20 | 8.0 |
火砲(門) | 636 | 2,260 | 3.6 |
艦船(トン) | 25 | 80 | 3.2 |
石油産出量(万バレル) | 200 | 44,500 | 222 |
日露戦争は「過去の出来事」ですが、現代とも大きくつながる出来事です。
上記のような戦力・国力比較をもとに、出題される可能性はあるので、復習しておきましょう。
戦争という非常にセンシティブな内容だけに、出題はされにくいと思います。
上のような内容は「現代と歴史の接点」という意味では、大事なことです。
かつての日本がロシアと大戦争を繰り広げた事実。
一歩間違えれば、日本はロシアに敗北し「日本の一部はロシア領」となったでしょう。
日露戦争は当時「前代未聞の大戦争」で、第一次世界大戦の前なので「第0次世界大戦」とも呼ばれます。
今は平和な日本ですが、たかだか80年ほど前は「世界に冠たる軍事国家」だったのです。
次回は下記リンクです。