3つの食塩水を「混ぜる」がわかるコツ・ポイント〜3つの重さがある「てんびん」・計算は出来るだけ簡単にする・約数を考えて計算ミスを減らす・大小関係は大まかに考える・問題 12解法〜|中学受験・算数実践80

前回は「3つの食塩水のてんびん算を「使えない」から「なぜ?」を分かりやすく考えるコツ〜文章題の流れを図解して理解・大事なポイントと量・考える対象を3つから2つへ絞る・考える対象が3つの時も同じ・問題 12解法〜」の話でした。

目次

問題 12

3つの重さがある「てんびん」

てんびん算の考え方(新教育紀行)

3つの食塩水を混ぜるので、「3つの食塩水をまとめて、てんびん算で考える」をやってみましょう。

てんびん算の考え方(新教育紀行)

2つなら分かるけど、
3つもおもり(食塩水)があって出来るの?

てんびんの原理・てんびん算は、「おもり(食塩水)がいくつあっても考えることは同じ」です。

「3つの重さ」が出てきた「てんびん」を、いつも通り考えてみます。

「てんびんのつり合い」を回転する力(モーメント)を計算して考えましょう。

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

「左回りの回転する力(モーメント)」と「右回りの回転する力(モーメント)」をそれぞれ合算します。

これだけ
なの?

対象が3つになって、難しく見えるかもしれませんが、考えることは同じです。

これなら、
出来そう!

食塩水が3つより多い、例えば4つ以上の食塩水でも考えることは同じです。

てこ・てんびんなどで3つ以上のおもりが登場した時

・原理をしっかり理解していれば、数が増えても考えることは同じ

・数が多いので難しく感じられる場合は、落ち着いて「何が大事か」を考える

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

「てんびんがつり合う」ことは、「これらの二つの回転する力(モーメント)が等しい」です。

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

関係式が立式出来ました。

これを解けば、
いいんだね!

計算なら一生懸命
練習したから、大丈夫!

計算は出来るだけ簡単にする:約数を考えて計算ミスを減らす

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

ここで、ちょっと待ってください。

えっ、
なんで?

ちょっと大変そうな計算式です。

小数点以下があり、事実上3桁の数字を掛け算するのは、少し時間がかかります。

そうかも・・・
でも、計算はたくさん練習したよ!

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

「計算力があること」は、とても良いことです。

こういう時は「計算が簡単にならないかな」と考えましょう。

なぜ?
計算した方が早いけど・・・

このように3桁(小数も含めて)の計算で、1/2もあると「計算ミス」の可能性があります。

確かに
そうかも・・・

「答えだけ」だったら、
計算ミスしたらX(バツ)になるし・・・

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

17.5、12.5、72.5を掛けますが、これら「掛ける数」には共通点がありそうです。

少し複雑な計算は「約数を考える」ようにしましょう。

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

これら3つの数は、全部「2.5の倍数」です。

分かった!

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

それぞれが「2.5x〜」なので、

3つの食塩水のてんびん算(新教育紀行)

左右の辺で「共通の2.5を割って、消去」出来ます。

随分簡単に
なったね!

このように、ただの計算問題だけではなく、文章題でも「計算の簡略化」を考えるようにしましょう。

算数において、こういう「省力化」と「ミスを防ぐ」姿勢は大事です。

計算ミスを防ぐ姿勢

・複雑な数字が出てきたときは、すぐに計算しないで約数を考える

・約数は少数であることもあり、小数点以下もまとめて考える

未知数を比較

てんびん算の考え方(新教育紀行)

ここで、問題文の「食塩水Bと食塩の差が90g」に注目します。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

これで、分からない数(未知数)二つの関係が分かりました。

こういう問題では「〜は〜より90g大きいです」ということが多いです。

この問題は「二つの差が90g」とうところが少し難しいところです。

おそらく「食塩の重さ」の方が小さいです。

確かに、
そんなに食塩の量が多いことはなさそう・・・

ただ、これは「おそらく」なので、しっかり考える必要があります。

以下の部分は少し難しいので、最難関校志望の方向けです。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

二つの大小関係を考えるときは、「仮にどうか」を考えます。

「どちらかを考えて(仮定して)おかしい(矛盾する)」ことを考えましょう。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

おそらく「食塩の重さ①の方が小さい」ので、「①の方が大きい」と考えます。

そして、「おかしい結論になる」かどうか考えましょう。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

大小関係から、上のように「□と◯の大小」が「◯の大小」のみの式になります。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

これで、「①がどのくらいか?」が分かりました。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

①は「ある数より小さい」で、これを計算してみましょう。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

450と51は「3が公約数」ですが、「51=3 x17」で17は素数ですから、計算が小数点以下になります。

これは計算が大変そうです。

ちょっと
大変だけど頑張る!

大小関係は大まかに考える

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

この計算をそのまま実行して、「①<〜」と考えても良いですが、大まかに考えてみましょう。

「〜=〜」という等号関係ならば、計算する必要があります。

「〜<〜」などの大小関係は「大小が分かれば良い」のです。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

ここで、「450を割り切れて、51より少し小さい数」を考てみましょう。

すると、50があるので、上のようになります。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

これなら、暗算でできるくらい簡単な計算です。

なるほど!
これなら簡単だ!

いつも計算して、
大変だったけど・・・

大小は、こう考えると
とても簡単ね!

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

ここで、おかしなことが発生しました。

①は「90より大きく、18より小さい」ので、あり得ないことです。

未知数を具体的に考える方法(新教育紀行)

そこで、「□の方が◯より大きい」ことが分かりました。

「だいたい〜」を考える大事さ

新幹線の速さ(新教育紀行)

算数・理科で、「だいたい〜」と考えることは非常に大事な姿勢です。

「厳密に分かる」のが望ましいですが、世の中「厳密には絶対に分からない」ことが多いのです。

理科の実験問題でも、「だいたいの大小関係」や「だいたい、こんな感じ」と考えると良いでしょう。

「大体こうかな?」から分かることが多いでしょう。

対して、暗記は「しっかり覚える」必要があります。

その時、「語呂合わせ」でも「丸暗記」でも「暗記できれば良い」です。

「だいたい〜」と考えることも大事です。

社会・歴史の「年号並び替え問題」は、「年号が分かった方が良い」のです。

分からなくても推測して考えてみましょう。

この「推測」は「だいたい〜」ということです。

「入試に出るすべての年号を暗記する」のは、ほぼ不可能です。

大事な年号は覚える必要がありますが、「細かな知識」が出題される可能性があります。

そこで、歴史に限らず暗記も「流れ」を理解しながら直前期頑張ってゆきましょう。

着実に計算する力

てんびん算の計算(新教育紀行)

ここまできたら、あとは「しっかり・着実に」計算しましょう。

てんびん算の計算(新教育紀行)

二つの関係式から、一つの文字を消去して、代入します。

代入」というと「少し難しい」と感じるかもしれませんが、文字通り「わりにれる」のです。

代わりに入れるから、
「代入」っていうんだね!

そう考えれば、
難しくないかも!

てんびん算の計算(新教育紀行)

足し算や引き算が中心ですが、しっかり計算してゆきましょう。

てんびん算の計算(新教育紀行)
てんびん算の計算(新教育紀行)

これで①が分かりました。

てんびん算の計算(新教育紀行)
てんびん算の計算(新教育紀行)

□も分かりました。

あと一つだけです。

てんびん算の考え方(新教育紀行)

前半と同じように、「食塩水Bの半分」と「食塩水Cの半分」を考えます。

てんびん算の考え方(新教育紀行)

水は「濃度0%の食塩水」ですから、上のようにてんびんが完成します。

状況を算数的に考える:食塩水と食塩と水(新教育紀行)
食塩水の考え方

・食塩水の濃度は0%から100%まで連続的に変化する

・塩は「濃度100%の食塩水」で、(真)水は「濃度0%の食塩水」

もう、ここからは
出来るよ!

てんびん算の考え方(新教育紀行)

濃度の差を考えましょう。

てんびん算の考え方(新教育紀行)

ここで、「食塩水Cの濃度を未知数」としても良いですが、「支点=4%との差を未知数」としましょう。

なぜ、食塩水Cの濃度ではなく、
「4%との差」を未知数にするの?

これは、その方が「計算が楽だから」です。

「食塩水Cの濃度を未知数」として計算しても良いでしょう。

具体的に「回転する力(モーメント)」を計算しましょう。

てんびん算の考え方(新教育紀行)

回転する力(モーメント)のつり合いから、式が求まります。

ここで、少し立ち止まって「簡単に出来ないかな」と考えましょう。

約数を
考えるんだね!

てんびん算の考え方(新教育紀行)

60の倍数が、たくさんあります。

てんびん算の考え方(新教育紀行)

「両辺を60で割る」と、一気に式が簡単になりました。

てんびん算の考え方(新教育紀行)

これで、△が分かったので、食塩水Cの濃度が分かりました。

以上から、

てんびん算の考え方(新教育紀行)

これで、問題12の答えが求まりました。

少し長かったですが、これで長い、複雑な文章題を考える力もつくでしょう。

文章が長い文章題の考え方

・状況を簡単な絵や図に描く

・状況をしっかり理解することが解く第一歩

・大事な量・長さなどを見落とさない

新教育紀行

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