前回は「3つの食塩水のてんびん算を「使えない」から「なぜ?」を分かりやすく考えるコツ〜文章題の流れを図解して理解・大事なポイントと量・考える対象を3つから2つへ絞る・考える対象が3つの時も同じ・問題 12解法〜」の話でした。
問題 12

3つの重さがある「てんびん」

3つの食塩水を混ぜるので、「3つの食塩水をまとめて、てんびん算で考える」をやってみましょう。

2つなら分かるけど、
3つもおもり(食塩水)があって出来るの?
てんびんの原理・てんびん算は、「おもり(食塩水)がいくつあっても考えることは同じ」です。
「3つの重さ」が出てきた「てんびん」を、いつも通り考えてみます。
「てんびんのつり合い」を回転する力(モーメント)を計算して考えましょう。

「左回りの回転する力(モーメント)」と「右回りの回転する力(モーメント)」をそれぞれ合算します。
これだけ
なの?
対象が3つになって、難しく見えるかもしれませんが、考えることは同じです。
これなら、
出来そう!
食塩水が3つより多い、例えば4つ以上の食塩水でも考えることは同じです。
・原理をしっかり理解していれば、数が増えても考えることは同じ
・数が多いので難しく感じられる場合は、落ち着いて「何が大事か」を考える

「てんびんがつり合う」ことは、「これらの二つの回転する力(モーメント)が等しい」です。

関係式が立式出来ました。
これを解けば、
いいんだね!
計算なら一生懸命
練習したから、大丈夫!
計算は出来るだけ簡単にする:約数を考えて計算ミスを減らす

ここで、ちょっと待ってください。
えっ、
なんで?
ちょっと大変そうな計算式です。
小数点以下があり、事実上3桁の数字を掛け算するのは、少し時間がかかります。
そうかも・・・
でも、計算はたくさん練習したよ!

「計算力があること」は、とても良いことです。
こういう時は「計算が簡単にならないかな」と考えましょう。
なぜ?
計算した方が早いけど・・・
このように3桁(小数も含めて)の計算で、1/2もあると「計算ミス」の可能性があります。
確かに
そうかも・・・
「答えだけ」だったら、
計算ミスしたらX(バツ)になるし・・・

17.5、12.5、72.5を掛けますが、これら「掛ける数」には共通点がありそうです。
少し複雑な計算は「約数を考える」ようにしましょう。

これら3つの数は、全部「2.5の倍数」です。
分かった!

それぞれが「2.5x〜」なので、

左右の辺で「共通の2.5を割って、消去」出来ます。
随分簡単に
なったね!
このように、ただの計算問題だけではなく、文章題でも「計算の簡略化」を考えるようにしましょう。
算数において、こういう「省力化」と「ミスを防ぐ」姿勢は大事です。
・複雑な数字が出てきたときは、すぐに計算しないで約数を考える
・約数は少数であることもあり、小数点以下もまとめて考える
未知数を比較

ここで、問題文の「食塩水Bと食塩の差が90g」に注目します。

これで、分からない数(未知数)二つの関係が分かりました。
こういう問題では「〜は〜より90g大きいです」ということが多いです。
この問題は「二つの差が90g」とうところが少し難しいところです。
おそらく「食塩の重さ」の方が小さいです。
確かに、
そんなに食塩の量が多いことはなさそう・・・
ただ、これは「おそらく」なので、しっかり考える必要があります。
以下の部分は少し難しいので、最難関校志望の方向けです。

二つの大小関係を考えるときは、「仮にどうか」を考えます。
「どちらかを考えて(仮定して)おかしい(矛盾する)」ことを考えましょう。

おそらく「食塩の重さ①の方が小さい」ので、「①の方が大きい」と考えます。
そして、「おかしい結論になる」かどうか考えましょう。

大小関係から、上のように「□と◯の大小」が「◯の大小」のみの式になります。

これで、「①がどのくらいか?」が分かりました。

①は「ある数より小さい」で、これを計算してみましょう。

450と51は「3が公約数」ですが、「51=3 x17」で17は素数ですから、計算が小数点以下になります。
これは計算が大変そうです。
ちょっと
大変だけど頑張る!
大小関係は大まかに考える

この計算をそのまま実行して、「①<〜」と考えても良いですが、大まかに考えてみましょう。
「〜=〜」という等号関係ならば、計算する必要があります。
「〜<〜」などの大小関係は「大小が分かれば良い」のです。

ここで、「450を割り切れて、51より少し小さい数」を考てみましょう。
すると、50があるので、上のようになります。

これなら、暗算でできるくらい簡単な計算です。
なるほど!
これなら簡単だ!
いつも計算して、
大変だったけど・・・
大小は、こう考えると
とても簡単ね!

ここで、おかしなことが発生しました。
①は「90より大きく、18より小さい」ので、あり得ないことです。

そこで、「□の方が◯より大きい」ことが分かりました。
「だいたい〜」を考える大事さ

算数・理科で、「だいたい〜」と考えることは非常に大事な姿勢です。
「厳密に分かる」のが望ましいですが、世の中「厳密には絶対に分からない」ことが多いのです。
理科の実験問題でも、「だいたいの大小関係」や「だいたい、こんな感じ」と考えると良いでしょう。
「大体こうかな?」から分かることが多いでしょう。
対して、暗記は「しっかり覚える」必要があります。
その時、「語呂合わせ」でも「丸暗記」でも「暗記できれば良い」です。
「だいたい〜」と考えることも大事です。
社会・歴史の「年号並び替え問題」は、「年号が分かった方が良い」のです。
分からなくても推測して考えてみましょう。
この「推測」は「だいたい〜」ということです。
「入試に出るすべての年号を暗記する」のは、ほぼ不可能です。
大事な年号は覚える必要がありますが、「細かな知識」が出題される可能性があります。
そこで、歴史に限らず暗記も「流れ」を理解しながら直前期頑張ってゆきましょう。
着実に計算する力

ここまできたら、あとは「しっかり・着実に」計算しましょう。

二つの関係式から、一つの文字を消去して、代入します。
「代入」というと「少し難しい」と感じるかもしれませんが、文字通り「代わりに入れる」のです。
代わりに入れるから、
「代入」っていうんだね!
そう考えれば、
難しくないかも!

足し算や引き算が中心ですが、しっかり計算してゆきましょう。


これで①が分かりました。


□も分かりました。
あと一つだけです。

前半と同じように、「食塩水Bの半分」と「食塩水Cの半分」を考えます。

水は「濃度0%の食塩水」ですから、上のようにてんびんが完成します。

・食塩水の濃度は0%から100%まで連続的に変化する
・塩は「濃度100%の食塩水」で、(真)水は「濃度0%の食塩水」
もう、ここからは
出来るよ!

濃度の差を考えましょう。

ここで、「食塩水Cの濃度を未知数」としても良いですが、「支点=4%との差を未知数」としましょう。
なぜ、食塩水Cの濃度ではなく、
「4%との差」を未知数にするの?
これは、その方が「計算が楽だから」です。
「食塩水Cの濃度を未知数」として計算しても良いでしょう。
具体的に「回転する力(モーメント)」を計算しましょう。

回転する力(モーメント)のつり合いから、式が求まります。
ここで、少し立ち止まって「簡単に出来ないかな」と考えましょう。
約数を
考えるんだね!

60の倍数が、たくさんあります。

「両辺を60で割る」と、一気に式が簡単になりました。

これで、△が分かったので、食塩水Cの濃度が分かりました。
以上から、

これで、問題12の答えが求まりました。
少し長かったですが、これで長い、複雑な文章題を考える力もつくでしょう。
・状況を簡単な絵や図に描く
・状況をしっかり理解することが解く第一歩
・大事な量・長さなどを見落とさない