前回は「合格のポイント・偏差値への向き合い方〜中学校側が考えていること・偏差値・合格判定・採点基準〜」の話でした。
合格への道:減点主義と加点主義
今回は、受験における「中学受験の出題者・採点者は考えていること」から合格への道を考えます。
試験は基本的には「減点主義」です。
想定される模範解答というのがあり、算数などで「少し違う切り口の解法」などはあるでしょう。
基本的には「満点となる回答例」があり、それから逸脱した部分・欠けている部分が減点されて点数が出ます。
100点満点であれば、出来なかった部分が減点されてゆき、「減点の合計点」が100点から引かれて点数が出ます。
世の中で「優れた業績」「優れた研究」などは、基本的に加点主義となります。
サイエンスにしても、絵や建築などの芸術にしても、「想定されている満点」というのはありません。
「想定されていないこと」を達成した人が「素晴らしい」と認められて、大きな賞などが与えられることになります。

数値化できること
偉業で「想定できること・数字」はあります。
例えば、野球の世界で素晴らしい実績をあげた方。
これは打率やホームラン数などで、ある程度は賞賛されるに相応しい「想定される数値」等があるとは思います。
目標値がある場合がありますが、基本的に偉業は加点主義です。
中学受験の算数を考えてみましょう。
比較的定型タイプの問題が数多く並んでいて、「答えのみ書きなさい」という形式の学校。
その学校は「子供の学力を計測して点数化する」ために問題を出しています。
この考え方ですと「減点主義」になると考えます。
大問形式で記述式中心の中学校の出題者は、「学力を計測・点数化」以外にも、大事なことを考えているでしょう。
それは、
志願者の現時点の学力だけではなく、
将来性はどうだろうか?
あるいは、
志願者の子と
当校の校風・カラーは、どの程度合うだろうか?
などをかんがえているでしょう。
採点時間と採点方針
受験の採点は短時間で実施しなければなりません。
さらに「採点者による点差が出ないようにする」ために、基本的に各大問の出題者と採点者が一致しているはずです。
受験者数が少なければ「一人で採点」か「補佐役がもう一人」でしょう。
受験者数が多い場合は数名で行うかもしれませんが、中心となる「取りまとめ役」がいるはずです。
そして、その中心人物が採点の方針を決定するのでしょう。
親の方で算数・数学が好き・好きでない方、様々いらっしゃると思います。
ご自分の好きなことで「自分が出題者だったら」を考えてみて下さい。
自分が好きなことは、考えることが楽しいです。
記述式の学校の数学科の教員は、数学・算数が大好きで数学科出身の方が多いです。
また、勤務先の中学校の校風・考え方に共鳴しているから、その学校で教鞭を取っているのでしょう。
「自分が好きなことの出題者だったら」を想像してみましょう。
そういう想像力もまた、合格へ結びつく大きな力となります。