前回は「合格のポイント・視点〜合格ライン・合格最低点・中学校側が考えていること〜」の話でした。
合格最低点のライン
誰しも気になる「合格最低点」のこと。
この「合格最低点」の点数が「各科目の単純合算でない場合もある」話をご紹介しました。
入試における基本的姿勢は、単純合算である。
特に合否ラインは単純合算で合格・不合格とはしていない。
例えば、
・数学は抜群にできるけれども、デッサンが下手すぎて「流石にもう少し上手く描けないか」という人
・デッサンは抜群に上手だけれども、数学や物理がほとんどできてなくて「もう少し出来てて欲しい」と感じる人
を「合格にすること」がある。
それは、合否ラインにいて「全ての科目が、まあまあ出来る」人よりも、良い面がある。
こういう「一芸に秀でた人」の方が、成長が見込めるからだ。
さらに、単純な合計点によって入学者(合格者)を決めるよりも、こういう人がいた方が、全体として良い。
多様性が高まって相互で切磋琢磨する過程が面白い。
その切磋琢磨の過程で優れたセンスをお互い発揮して、成長してゆくことを期待している。
同様なことは、他の学部や大学もやっている可能性があります。
「合格最低点」は公表され、それぞれの点数が明らかにされ、それによって合格・不合格が決まっています。
その場合は、「点数を補正」しているのでしょう。

入学試験の性質
入学試験は「学校が採用したい人を決めるため」の試験です。
試験を作っているのは学校で、試験の点数を決めるのは学校側の責任かと思います。
模試は「受験生の学力を測定する」と「学力を偏差値に置き換えて、合格判定を出すための試験」です。
この二つの試験は、似ているようで全く異なるものです。
・入学試験:志願者のその時点の学力をもとに、その将来性を測る
・模擬試験:志願者のその時点の学力を測り、偏差値に置き換えて合格判定を出す
試験の点数が「飛び抜けたところ・非常に優れた才能が認められる」と加点されること。
それは、点数の単純合算だけではないでしょう。
各学校が考える「学生に対する理念」に適合する学生を「合格としたい」「入学して欲しい」と考えているでしょう。

偏差値と合格判定:問題と採点基準
各学校の「偏差値」があります。
偏差値は「その学校の難易度の具体的な数値」とも言えます。
「同じ試験」における子どもの成績もまた偏差値という「具体的数値」となります。
その数値同士を比較して「合格の可能性=判定」が出てきます。
この「偏差値=具体的数値」というのは「受けた試験」に対する数値であることです。
1. その試験が志望校の入試のカラーに適合しているか
2. 採点の仕方が志望校・特にカラーの強い有名校の採点方法・基準に適合しているか
の二点が適合していなければ、偏差値の意味合いは小さくなります。
1は、志望校型模試で各塾が研究を尽くして、ある程度整合性があるでしょう。
2は各校極秘の内容で、各塾は「推定する」しかありません。
推定ができるとしても、1のように「入試にほぼ近づける」のは、ほぼ無理なことです。
模試の採点は、多くの方が行います。
「同一の採点・審査基準」を採用するとなると、どうしても「学校ならではのカラー」は出せません。
政治や経済、あるいは実社会において、数字は「一人歩きしやすい」ものです。
ひょっとすると、目前の「数値=偏差値」は、あまり意味がない数字かもしれません。
親が
この偏差値と判定は、
我が子にとって、どのような意味があるのか?
を冷静に判断しましょう。
「模試の偏差値が、入試本番の結果と異なる」理由には多くの理由が考えられます。
本人の体調なども大きな理由ですが、この「採点方法・基準の相違」も原因の一つであります。
「偏差値を上げる」よりも大事なこと。
それは、子どもを「志望校に合格させる」ことをより深く考えることでしょう。