前回は「アインシュタイン 9〜逃避行〜」の話でした。

イタリア・ミラノへ


軍隊なんか、
大嫌いだ!
ビスマルクの元、軍国主義に近い帝国主義へまっすぐ向かっていたドイツ。
そのドイツで窒息しそうになったアインシュタイン。





ドイツの雰囲気は
僕には合わない・・・
16歳になったら強制的に兵役につかされることは、



何がなんでも
嫌だ!!
根っからの自由人的発想だったアインシュタインには、兵役などもってのほかでした。
そして、一人置いてかれたドイツから、家族のいるイタリアへ向かったのでした。
ヨーロッパの「精神的中心」と言われるイタリア。
現在では「ヨーロッパ」というと、まずは「英独仏」の三強が挙げられます。


イタリアは、どうしても四番目という位置になります。
一方で、昔から「ヨーロッパの文化の中心」とも言えるローマの存在が光ります。
そして、ルネサンスの中心地であるフィレンツェもあるイタリアは、ヨーロッパの方々にとって「花の都」なのです。
そのイタリアに駆け込むようにして逃げたアインシュタイン。



ドイツと
全然雰囲気が違う!
軍国主義で覆われたドイツに比べて、自由な雰囲気のイタリアで伸び伸びします。
生まれた国の国籍を放棄:無国籍へ
イタリアに来た16歳のアインシュタイン少年は、重大な決断をします。
なんと、



もう、ドイツの
国籍はいらない!
ドイツ国籍を放棄してしまいます。
当時、国籍放棄の手続きは難しいことではなかったようです。
しかし、他国の国籍を取得するのは容易ではありません。
「他の国の国籍があるから、ドイツ国籍を手放す」のなら、まだ分かります。
しかし、当時のアインシュタイン少年は「ドイツ国籍しか有していなかった」のです。
「無国籍」となったアインシュタイン。
これを16歳にして決断したアインシュタイン少年は、よほど思い切りの良い子だったのでしょう。
例えば、あなたが日本人で「日本国籍を有する」時、様々な意味であなたを日本国が守ってくれます。
日本にいる間は「日本国籍を有する人間」として適切に処遇される権利があります。
あるいは、外国に滞在している時に思わぬことが起きた時、日本大使館や総領事に駆け込めば、
日本の国籍を
持つ方ですね。
日本政府が
お守りしましょう。
と現地の外交官などの方が守ってくれます。
それが、「無国籍」となると親や親族が守ってくれても、「守ってくれる大きな存在=国」がなくなります。
これは、非常に心細いことです。
まして、ドイツの国外であるイタリアにいるアインシュタインにとって、「無国籍」は辛い立場のはず。



でも、
無国籍でいいの!
パスポートが強い国
良い面もあれば、悪い面もたくさんある日本。
欧米と比較すると画一的な教育といわれ、「引かれたレールを歩く」ことを求められる面も多いです。
「国籍」というと、真っ先に関係があるのがパスポートです。
外国に行った経験がある方は分かりますが、海外に行ったら「まずはパスポート」となります。
到着した空港などで、まずパスポートを差し出して、「私は〜人(国籍)です」と申告する必要があります。
各国の外交関係によって、「Visaの取り扱い」が異なり、国によって「パスポートの強さ」があります。
それでは、日本は「どの程度パスポートが有効な国」なのでしょうか。


2023年は「世界2位」です。


近年、「世界で最もパスポート強い国:1位」にも何度かなった実績のある日本。
2023年はシンガポールに抜かれて2位となりましたが、それでも「菊の紋章」のパスポートは非常に強いのです。
雑誌TIMEの「有志以来の100人」に一人も入らない日本。
世界中を揺るがせているウクライナ戦争では、欧米・ロシア・中国などの話ばかりで、日本は「蚊帳の外」です。
それでも、「パスポートで自由に行ける国が非常に多い」のは非常に大きなことです。



僕は
無国籍・・・
ドイツ国籍放棄後、5年ほどの間「無国籍」であったアインシュタイン少年。
16歳から20歳くらいの間、不安だったに違いないでしょう。
若くして、「自らの道をゆく」大いなる決断しました。