前回は「中学入試の新潮流と教育 3」の話でした。
様々な中学校が、中学入試において独自カラーを出した試験方法を始めている話でした。
筆記試験においても、学校ごとのカラー・独自性はありますが、上記で紹介されている学校は、「全く異なる試験」です。
「異なる試験方法」は、学校ごとのカラー・独自性創出において、非常に好ましいことだと思います。
「独特な試験方法」を課した場合、筆記試験よりも、採点基準にバラツキが出るでしょう。
より、採点者の判断・意向が強く反映されます。
一面それは、「不平等」とも言えますが、学校独自の採点基準があって然るべきと考えます。
この「独自の試験方法」を開始している学校に、いわゆる「大学進学合格者ランキング」に入っている学校が、非常に少ない点が特徴です。
それは何故なのでしょうか。

それは、「各校が大学受験の合格者実績を非常に気にしている」からであると考えます。
各中学・高校が「独自性のある教育」を行なっていますが、大学進学実績ランキング上位校は、「大学進学実績を最優先している」のが実態でしょう。
そのため、中学入試も筆記試験主体となります。
それは、「大学入試で合格しやすい人材に入学して欲しい」という学校側の意向があるのでしょう。
毎年、様々なメディアで、日本の中高の「大学進学実績ランキング」が出ます。
今回は、「東大合格者ランキング」を考えてみましょう。
東大合格者ランキングと中学受験の偏差値ランキング(中学受験のない学校を除く)は、非常に強い相関性があります。
それは、各学校の教育にもよりますが、受験は塾などの力も大きいのが実態です。
すると、「中学受験の筆記試験で高い点数を確保できる」人物は、「大学受験の筆記試験で高い点数を確保できる」可能性が高くなります。
東京大学では、推薦入試枠を広げています。
2022年度は、合格者数3,085人中、推薦入試合格者は88人でした。
推薦入試合格者数の割合は、88/3,085=約2.9%です。
つまり、「3%にも満たない人数が推薦入試で合格」しているのです。
推薦入試以外は、一般入試であり、筆記試験です。
東大以外の国立大学も、似たような傾向にあるでしょう。
結局、「筆記試験で高得点を取る人物」が東大等の大学に合格できる実態があります。
東京大学などの大学受験で求められる能力は、独自試験と相反する「一般的な筆記試験」の能力となります。
そのため、「大学進学実績ランキング」上位校は、独自試験ではなく「筆記試験による」傾向が高いと考えます。
次回は、大学受験実績の傾向と、各中高の取り組みを考えます。