独自の入試問題と学校独自の採点基準〜「独自の試験方法」の学校と「大学合格者ランキング」・筆記試験主体の日本の大学受験と各中学高校の考え〜|中学入試と中学高校の教育1・中学受験

前回は「中学入試の新潮流と教育 3〜大学進学実績と中学受験・教育理念とカラーを具体的に表現・特徴的な入試形式を試みる学校と大学進学実績が高い学校〜」の話でした。

目次

独自の入試問題と学校独自の採点基準

新教育紀行
武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

様々な中学校が、中学入試において独自カラーを出した試験方法を始めてます。

筆記試験においても、記述問題などで学校ごとのカラー・独自性はあります。

いくつかの学校の入試問題は「全く異なる試験」です。

「異なる試験方法」は、学校ごとのカラー・独自性創出において、非常に好ましいことだと思います。

「独特な試験方法」を課した場合、筆記試験よりも、採点基準にバラツキが出るでしょう。

そのため、各学校の校風・教育理念や採点者の判断・意向がさらに強く反映されます。

一面それは、「不平等」とも言えますが、学校独自の採点基準があって然るべきと考えます。

むしろ「画一的基準」で採点されることが「おかしい」ことであると考えます。

「採点基準に学校ごとのカラー・校風」が反映されてこそ、面白いと思います。

そして、大学進学実績や偏差値なども気になりますが、

僕はA中学の雰囲気が
いいな!

私はB中学の
校風が好き!

子どもたちがこんな風に感じて、一生懸命勉強することが最も望ましいと思います。

「独自の試験方法」の学校と「大学合格者ランキング」

新教育紀行
空と雲(新教育紀行)

この「独自の試験方法」を開始している学校には、一つの大きな共通点があります。

それは、いわゆる「大学合格者ランキング」に入っている学校が非常に少ない点が特徴です。

一体何故なのでしょうか。

それは、「各校が大学受験の合格者実績を非常に気にしている」からであると考えます。

各中学・高校が「独自性のある教育」を行なっています。

大学進学実績ランキング上位校は、「大学進学実績を最優先している」のが実態でしょう。

そのため、中学入試も筆記試験主体となります。

AO入試が増えてきているとは言え、日本の大学入試は「筆記試験主体」であるからです。

そして、

大学入試で
合格しやすい人材に入学して欲しい・・・

「独自試験」も良いけど、
大学入試が「筆記試験」だから、大学入試に合わせる・・・

という中学・高校側の意向があるのでしょう。

筆記試験主体の日本の大学受験と各中学・高校の考え

新教育紀行
東京大学(Wikipedia)

毎年、様々なメディアで日本の中高の「大学進学実績ランキング」が出ます。

今回は、「東大合格者ランキング」を考えてみましょう。

「東大合格者ランキング」と「中学受験の偏差値ランキング」という二つの指数。

この二つの指数には、非常に強い相関性があります。

大学受験に対する、それぞれの中学・高校の教育方針・勉強方針があります。

各学校の教育にもよりますが、受験は塾などの力も大きいのが実態です。

いずれにしても、「中学受験の筆記試験で高い点数を確保できる」人物の傾向はあります。

それは、「大学受験の筆記試験で高い点数を確保できる」可能性が高くなります。

東京大学では、推薦入試枠を広げています。

2022年度は合格者数3,085人中、推薦入試合格者は88人でした。

推薦入試合格者数の割合は、88/3,085=約2.9%です。

つまり、「3%にも満たない人数が推薦入試で合格」しているのです。

推薦入試以外は一般入試であり、筆記試験です。

東大以外の国立大学も、似たような傾向にあるでしょう。

結局、「筆記試験で高得点を取る人物」が東大等の国内トップ校に合格できます。

東京大学などの大学受験で求められる能力は、独自試験と相反する「一般的な筆記試験」の能力です。

そのため、「大学進学実績ランキング」上位校は、

「独自試験」によって、志願者を選抜したところで、
大学入試が単なる筆記試験なんだから・・・

大学入試の選抜傾向に合わせた方が、
その適性を持つ子が入るだろう・・・

独自試験ではなく「筆記試験による」傾向が高いと考えます。

次回は、大学受験実績の傾向と、各中学・高校の取り組みを考えます。

新教育紀行

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