各中学のカラーと校風が反映された試験〜減点主義の試験への姿勢・武蔵中学算数への対策・図形の基本的性質を理解・「考える力」と「知っていること」・気になった算数の問題と今後〜|中学受験

前回は「算数・理科が「出来ない」から「出来る」へ〜「考え方を理解」することを大事に・描いて理解する姿勢・まずは描いてみる・実体験をイメージして理解力アップ・感性を大事に〜」の話でした。

目次

各中学のカラーと校風が反映された試験:減点主義の試験への姿勢

新教育紀行
武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

今年1〜2月に実施された、いくつかの中学校の入試問題を拝見しました。

各校様々な問題があり、カラーも様々で中には面白い問題もありました。

来年受験突破を考えている中学受験生は、自分が受験する中学校の問題を見て、どう感じるでしょうか。

来年、
この問題の65〜70%程度が出来るようにしたい・・・

今やっても、
全然分からない・・・

受験生の方々は、とても大変だと思います。

まだ1年弱ありますから、少しずつ着実に学力を上げて行けるようにしましょう。

各学校には校風と同様に「出題のカラー」があります。

それが実に明白に出ている学校もたくさんあり、

こういう問題を
出して・・・

こういうことを、
我が校の志望者に問いたい。

出題問題を考えている中学・高校の教員の方々の苦労もまた、大変なものでしょう。

テストはどうしても「減点主義」となります。

その中で「校風に合う・能力高い」生徒を選抜しようとする入試。

例年、「麻布カラー」の問題を出し続けている麻布中学の社会。

今年は「皆で支える公共性」の仕組みを考える問題が出され、興味深いです。

社会に関しては、出題傾向や分野などをある程度しっかりと把握しておくことが大事でしょう。

算数に関しては「どういう分野の出題が多いか」があると思います。

「算数の出題傾向」はありますが、社会や理科と異なり、分野などは偏らずに全方位的に学んだほうが良さそうです。

武蔵中学算数への対策:図形の基本的性質を理解

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

今回は、武蔵中学の算数の出題に関して、思ったことと来年の対策です。

武蔵卒の私としては、「武蔵ラブ」でも「武蔵大好き」でもないです。

「武蔵カラー」をもとに個性が形成された僕にとって、とても大きな武蔵中学・高校の存在。

そのため、武蔵中学・高校に対しては、どうしても贔屓目に見てしまいます。

武蔵に対して、褒めること・否定的なこと両方ありますが、共に「少し割り引いて」考えてください。

新教育紀行
問題13:二つの正方形(新教育紀行)

今年の武蔵算数の3番をもとに、算数実践の問題13を考えました。

この問題は非常に面白く、大変良い問題です。

新教育紀行
問題13:二つの正方形(新教育紀行)

武蔵中学の実際の出題は(1)(2)で、 (3)と(4)は僕が考えました。

「既視感のある問題」ですが、正方形の本質を問う問題です。

本来ならば、もう少し掘り下げたところまで行って、大問数を減らすくらいなら尚更良いです。

「短い試験時間で大問4題全て」でなくても、合格するには「3題程度の確保」が欲しい小学校6年生の受験生たち。

その立場に立つ時、出題の仕方としては「これがベスト」なのかもしれません。

正六角形の問題は、2年前に出題されています。

武蔵志望者の方は、「正〜角形」という「図形の基本・重大性質」が見えやすい問題はできるようにしましょう。

他の問題も「武蔵カラー」が非常に強く、面白いと思います。

「考える力」と「知っていること」:気になった算数の問題と今後

武蔵中学・高校の「すすぎ川」(新教育紀行)

褒めた後ですが、非常に気になったのが1番です。

この問題を見た時、

よくぞ、
こんな下らない出題をしたものだ。

と感じ、非常に腹立たしい気持ちになりました。

今年2023年の「2023の約数」に関する問題ですが、2023の約数は全て素数です。

それだけに中学受験界では、

2023の約数の素数は〜と〜
だから、覚えておくように。

という指導もあったでしょう。

すると、「素数を算数的に導く」のではなく「素数(答え)を知っていたかどうか」の試験となります。

これは「算数の試験」としては最悪ではないでしょうか。

「知っていた」ところで、まだ精神年齢が幼い小学生ですから、

あっ、これ知っている
けど・・・

緊張して、
出てこない・・・

と試験中不安になった方もいるかもしれません。

あるいは、

知ってる!
すぐ出来る!

と即答した受験生もいたことでしょう。

「知識を問う」のは社会や理科で十分やっているはずです。

算数は「理解力・思考力を問うべき」であり、「単なる知識を問う」のは「算数ではない」です。

この出題を「受験生が出来るサービス問題」と捉えることも可能ではあるでしょう。

「サービス問題」であるならば、他の「比較的容易に解ける問題」であればよいと考えます。

この問題のように「答えを覚えているか(知っているか)どうか」の出題であるべきではないです。

なぜ、
こんな出題をしたのか、理解に苦しむ・・・

まして、「2023年だから2023」という話は「算数・数学とは無関係」であり実に低レベルと感じました。

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

算数の出題に関しては、いまだに手書きであり「武蔵らしい世間とズレた姿勢」です。

この「世間とズレた姿勢」は武蔵卒としては大いに好感が持てますが、筆跡が異なるのは頂けません。

「試験を受ける側」である受験生の視点に立てば、これは読みづらいでしょう。

手書きであっても最低限「上手な同一書体」による出題であるべきです。

武蔵中学の算数の入試問題作成者には、本年の出題を大いに反省して頂き、来年以降に活かして欲しい。

また、入試問題作成の統括者・責任者もまた、猛省すべきでしょう。

算数・数学の専門家でなくても、例えば社会科の教員であっても即座に分かるでしょう。

本問が「知識を問うだけの、無意味な問題」であることが。

来年、武蔵中学を受験する志望者の方・親は本問のような出題は「来年はない」と考えるのが良いでしょう。

そして、来年は更に「武蔵カラー」が強く、思考力を問う良い問題が出題されることを心より願っています。

「上手な方による同一書体」か、または他の科目同様に印刷された書体で。

それは、武蔵中学・高校の教育を非常に高く評価している一人の卒業生からの「武蔵への激励」です。

新教育紀行

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