記述の多い学校対策〜苦手意識を克服・書き方〜|中学受験・理科・社会・国語

前回は「記述問題への対策〜コツ・勉強法と練習〜」の話でした。

目次

記述問題の考え方

「自分で書く」というのは意外と難しいですが、「考えてみる」話をしました。

今回は、「記述の多い学校」を志望している方向けに、具体的に「どうのように考えるか」の話です。

武蔵中で「教育格差の例を一つ挙げ、どのような対策が取られているか知っていることを書きなさい」という出題がありました。

これは、いかにも武蔵中らしい問題です。

このように「ある対象に対して、例を一つ挙げ、対策は?」をいう問題。

まず、例を知らないと
始まらないのかな。

「知っているか。知らないのか。」を聞きたいなら、選択式問題でも良いのです。

あえて記述問題にしているのは、受験生の「考える力」や指向性を知りたいからです。

「知らなければ、考える」は、
分かるけど、どう考えれば良いの?

一つの具体的な方法をご紹介しましょう。

それは、問題になっている事柄の「当事者になったつもりになる」ことです。

ここでは、家庭の経済力による「教育格差」が問題になっています。

そもそも、中学受験をする皆さんは、「経済力による教育格差」を感じにくい立場なのです。

なぜ?

そもそも、塾へ行ったりたくさんの参考書を買ったりするのも、「ある程度の経済力」が必要です。

そして、国立は公立と同程度ですが、私立中高の場合、学費が公立よりはるかに高いのです。

そうなんだ。

こういうことは、子どもはなかなか実感できないでしょう。

それはまた仕方のないことです。

皆さんは、志望している中学校・高校に「合格したい」のですが、「合格して学費を支払う経済力」が前提です。

それがなければ、合格しても「登校できない」のです。

具体的に「自分が〜だったら」と想像する

この問題では、「教育が家庭の経済力で左右される」ということを考えます。

ならば、具体的に「格差」を考えてみましょう。

ある家庭とある家庭で、経済力の格差があるとします。

この時、「どうなるんだろう?」と考えます。

この「どうなるんだろう?」という視点は「第三者の視点で考える」ことになります。

ある意味、「客観的視点」であります。

「客観的視点」は大事なのですが、記述問題では、この視点はやめましょう。

そして、「自分の立場で考える」をやってみましょう。

そして、対象とする事柄の「不利な場合」に自分があった時を考えてみましょう。

この場合は「自分が経済力が弱い家庭にいたら、どうなるだろう?」と考えるのです。

「自分が、こっちの
家庭だったら」ということだね。

その場合、どうなるでしょう。

皆さんが楽しんだり、ちょっと嫌な時もある塾や模試を受ける機会も減ります。

とても不利だわ。

すると、「家庭の経済力によって、学習の平等が損なわれている」ことが想像できます。

知らなくても、考えたら
分かるね。

「対策」も知らなければ、考える

これら経済格差による「教育・学習の不平等の懸念」に対する対策を考えましょう。

これは、
分かったよ。

解答例では、「奨学金」「公立中高一貫」を挙げました。

「経済力の格差」を埋めるには、やはり「経済力で補填」するのが効果的です。

そこで、「経済力→お金→奨学金」という流れで、想像できます。

これは知ってたけど、
そう考えると分かるかも。

他にはないでしょうか。

出題した武蔵中でも他の学校でも、奨学金を書けば大体良い点が付きます。

「公立中高一貫」まで書ける方は少ないでしょう。

出題者・採点者の「想定する解答」は、大体この二つです。

ですから、「他にないか?」を考える必要はないのですが、考えてみましょう。

解答例以外にないか?を考える

経済格差を埋めるのは経済力ですが、少し想像してみましょう。

自分が「経済力の劣る家庭」なら、どうなるでしょう。

僕がやっている
この問題集も買えないのかな・・・

私のこの分厚い参考書も
結構お金がかかるのね・・・

皆さんが「好き」な参考書や問題集もあるかもしれません。

しかし、最初は分厚い参考書や問題集を見たら、大抵の方は「えっ?これ全部?」と思うでしょう。

受験生なら誰でも知っている分厚い参考書があります。

非常に細かなことが記載されていて、しかも結構重いです。

分厚くて、フルカラーの本は、結構値段が高いです。

この参考書、
やるの大変だったけど・・・

これがなかったら、
僕、困っていたかも・・・

例えば、中学・高校・・・と進んでいった時に、経済力で「教育の機会が制限される可能性」があります。

「教育の機会」は学校・塾などの「学びの場」だけではなく、本なども大事です。

この場合、どのようなことが考えられますか?

この参考書を
無料でくれたら嬉しい。

「買えない時」でも、
もらえたら一生懸命頑張る!

そのように考えた時、「経済力の劣る家庭に、無償で参考書・問題集等を配布する」も考えられます。

やってるの?

これは、出版社によっては、やっているかもしれませんが、分かりません。

「絶対ない」とは言えないことではあります。

「絶対ない」とは言えないものの、実際問題としては「非常に難しい」問題です。

なぜ?

この「無償提供」をするとなると、「経済力の格差のボーラーラインはどこか?」の設定が難しいのです。

そして、「経済力の証明は?」となると、大変なことになってしまいます。

確かに難しいわね。

じゃ、こういう対策は
「ない」から答えにならないんじゃない?

「ない」のか「ある」のか?

確かに、このように「教育格差をなくすために、ある参考書・問題集を無償配布」は良いことだと思います。

しかし、上記のような問題点があります。

さらに、「無償配布がある出版社の独断」であれば良いのです。

しかし、そこに公金が入ると「どの出版社に?」となり、政治的判断が発生して「決まらない」のです。

じゃ、やっぱり「ない」から
「答えにならない」でしょ。

この「経済格差による教育不平等をなくす」ために「書籍の無償配布」はなさそうです。

しかし、「絶対にない」と言い切るのは、大変なことなのです。

算数では「計算上ない」がありますが、世の中で「絶対にない」は、なかなかないのです。

それはわかる。

もし、「なさそうだけど、あるかも」の対策を
書いたら、採点はどうなるの?

これは、採点者の判断であり、独断でしょう。

出題の意図とは少しずれますが、「あったら良い対策」が答案に書かれていたら、バツにはしないでしょう。

この「対策」は
「なさそう」だけど・・・

発想は面白いね。

・・・・・

ちょっと点を
あげようかな。

こういうこともあるでしょう。

他の学校は分かりませんが、武蔵中の発想ならありそうです。

武蔵中志望の方は「分からないから白紙」ではなく、考えて書いてみましょう。

白紙なら、採点者は0点しかつけようがないのです。

新教育紀行

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