前回は「紙の本を読もう 3〜脳への刺激〜」の話でした。

紙の本の方が、電子書籍より「頭に入りやすい」理由。
それは、紙の本の方が「脳に刻まれる情報が多いから」が最も大きな理由でした。
今回も、「月刊致知 2022年8月号」p114に、酒井邦嘉 東大大学院教授の話を参考にさせて頂きます。
酒井氏によると「大学の授業で板書などを、スマホで撮影して、ノート・メモを取らない学生が増えている」ようです。
これは、確かに非常に大きな問題だと思います。
なんと言っても、「写真」に対する意識が、今の子どもたちと僕たちでは全く異なるでしょう。
僕が大学生の頃は、携帯電話が急速に普及した時期でしたが、カメラの機能はあまり充実していませんでした。
解像度も低く画質も悪いので、「撮影には向いていない」レベルでした。
それが、今ではiphoneなどのスマホで撮影した写真は、解像度・画質ともにかなり高いレベルです。
しかも、「無料」であることが大きいでしょう。
デジカメ以前の、いわゆる「カメラ」は、撮影した写真を現像するのに、お金がかかったのです。
それは今でもそうですが、デジカメで撮影して、スマホやパソコンの画面で見て満足する気持ちも分かります。
しかし、それでは実質的には「何も学んでない」のでしょう。

酒井氏の話では、「学習は見聞きしたことについて考え、書き留める」ことで成り立っているのです。
それを、「便利で効率がいいから」と「パシャっと撮影して終わり」では「勉強にならない」でしょう。
そして、「安易にタブレットに頼るのではなく、教科書を何度も読み、ノートで手書きでまとめる習慣が大事」です。
そうした「地道な学習の過程で、脳が鍛えられる」のです。
特に、算数・数学、理科においては、書く・描くのが非常に大事です。
そして、「書く・描くと時間がかかる」のですが、「しっかりと身につく」のです。

電気の説明などで、僕は手書きの原稿をお見せしています。
それは、酒井教授と同様に「手で描くことの大事さ」を感じているからです。
パソコンだと円を描くのも簡単で、コピペすれば「どんどん使いまわせる」のです。
それは、「仕事の効率化」にはなりますが、「学習には非効率」であると考えます。
少し、時間がかかったり、面倒でも書いて・描いてみましょう。