記述問題への効果的対策〜「書けない」や苦手を克服・極めてハイレベルな中学受験の記述問題・大人も「書けない」記述・出題者の気持ち・自分が出題者と想像〜|中学受験の算数・理科・社会・国語

前回は「述問題に「楽しく取り組む」ポイント〜私立中学のカラーとボーダーラインの合否判断・エッセーや記述が「当たり前」の欧米の受験制度〜」の話でした。

目次

極めてハイレベルな中学受験の記述問題:大人も「書けない」記述

新教育紀行
シャボン玉(新教育紀行)

これまでに、記述問題に関する幾つかの話をご紹介してきました。

そして、記述問題の具体的な考え方や解答例をご紹介しました。

記述問題は、(ア)とか(1)のような選択肢問題と異なり、「ただ一つの解答」がありません。

そのため、

書いてみたけど、
合っているの?

一応書いてみたけど、
これでいいのかな・・・

と不安になる気持ちは誰しも同じです。

麻布中では、過去に移民に関する記述問題が出題されました。

この問題に、きちんと答えられる大学生や大人は、それほど多くないでしょう。

むしろ、この問題は「国会議員の皆さん全員に出して、きちんと文章で回答してもらうべき」問題です。

この問題に「しっかり自力で答えられる国会議員」は少ないでしょう。

それほど「レベルの高い」問題です。

小学生が「きちんと答える」のは、そもそも無理があるのです。

じゃ、なんで
麻布中の先生は出題するの?

小学生に出来ないことは、
出さないで欲しいけど・・・

この「真の意図」は、麻布中の出題担当者および入試責任者(校長)の方でなければ分かりません。

想像するしかないのですが、おそらく出題者の意図は、

こういう問題にどのように答えるか、
を見たい・・・

なのでしょう。

入試問題を作成する先生方は、非常に真剣です。

我が校にどのような
子どもたちが入学してくれるか・・・

そして、入学する子どもたちを
どのように教育して、成長してもらうか・・・

将来、自分の所属する学校の命運が一人一人の新入生にかかっています。

さらに、中学〜高校という「人生で最も大事な期間」において、

子どもたちをお預かりする
大いなる使命感を感じる・・・

という気持ちもあるでしょう。

各中学校で「どのように入試担当者が決定され、入試問題が作成されるか」は学校ごとです。

それは、各学校において「最高機密」でしょう。

このように「採点基準が不明」である中、中学受験生たちは「記述問題の対策」をする必要があります。

出題者の気持ち:自分が出題者と想像

新教育紀行
屋久島(新教育紀行)

極めて高い使命感や責任感を感じながらも、入試問題を作成する先生方。

その先生方が「何を考えているか」を想像してみましょう。

中学受験生は「勉強、勉強」に追われて大変ですが、少し考えてみましょう。

「もし、自分が問題作成者だったら」と。

科目も分野も、なんでも良いです。

歴史が好きなら「歴史の問題」、理科の生物が好きなら「生物の問題」などです。

これらの「自分の好きな科目・分野の問題」を考えて、「友達に出題する」シチュエーションです。

出題するのは、
難しいよ・・・

なんでもいいのです。

私は、理科の水溶液の問題が
好きだから、酸性とかかな・・・

「難しい」と考えるなら、自分の趣味でも良いでしょう。

あ、それなら出来る!
僕、野球が大好き!

プロ野球選手の
ことなら、問題作れるよ!

そういう問題も面白いでしょう。

僕は、あまりプロ野球は詳しくないので、「選手名」や「〜年の打点王」とかの問題は全然分かりません。

得意な方は、「〜年の打点王」や「〜年の三冠王」など、かなり知っているでしょう。

新教育紀行
長州藩出身の政治家:左上から時計回りに、木戸孝允、伊藤博文、井上馨、山縣有朋(Wikipedia)

例えば、中学受験の歴史の問題を作成するのは、歴史の先生です。

歴史の先生は多くの場合、大学で歴史や歴史に関わる分野を専攻している方が多いのです。

しかも「歴史」という専攻ではなく、日本史や世界史という大雑把な分け方ではないです。

さらに細かくなった分野を深く追求したのが、歴史の先生です。

大学から先になると専門化が進み、どんどん深くなりますが、同時に対象がどんどん狭くなる傾向があります。

中学・高校の歴史の先生は「大まかには全て分かる」方ですが、専攻・得意分野が必ずあります。

ある先生は、「鎌倉時代が専攻・得意」であり、ある先生は「幕末維新が専攻・得意」なのです。

そういう先生方にとっては、歴史は「学問であると同時に趣味」なのです。

ですから、皆さんの中で「野球が好き」と同じように「歴史が好き」なのです。

勉強が好き?
そうなの?

これは、皆さんが大人になると分かるでしょう。

好きな勉強は「趣味」に近い存在になるのです。

もし、あなたが「野球が大好き」ならば、近年の打点王やホームラン王は大体知っているでしょう。

ここ10年は、
全員知ってるよ!

歴史の先生にとって、歴史の流れや年号は、その「趣味で知っていること」と似ていることなのです。

「歴史が趣味」の先生が、
問題を作る、となると・・・

「問題を作る」のは、ひょっとして
「楽しい」のかな?

おそらく、入試問題を作成するのは「仕事であると同時に楽しい」ことだと思います。

入試問題を作成する方々は、ど真剣であると同時に少し楽しみながら作成しているのです。

記述問題への効果的対策:「書けない」や苦手を克服

新教育紀行
国立科学博物館(新教育紀行)

もし、記述問題を「書けない」「難しい」「苦手」と感じている方々の多くが、感じていること。

それは、「正解を書かなければ!」ということです。

それは、
そうでしょ・・・

正解を書かなければ、
点数にならないよね・・・

確かにそうなのですが、「どのように点数になるのか」は、受験生には不明であることが多いです。

基本的には、採点する当事者および入試を統括する方しか分からないのです。

塾の先生や、様々な参考書・過去問の「記述問題解答者」もまた、

おそらく麻布中では
このような出題がされるだろう・・・

「それを想像しながら」作成しているのです。

算数・国語・理科・社会のいずれであっても、「入試問題担当者・採点者」は学内関係者しか知らないことです。

そして、「記述問題採点者」の「採点の仕方」は基本的に担当者に任されているでしょう。

その「採点の仕方」に対して、なんらかの注文をつけられるのは、限られた人物でしょう。

おそらくは、校長・入試統括者など最高幹部だけでしょう。

ふ〜ん、
そうなの?

もし、皆さんが「記述問題を作成して、採点する」としましょう。

その時、

この問題は、
このような基準で採点しなさい。

と言われたら、どう感じますか?

それは
嫌かも・・・・

誰しも「自分がやっていること」に口を出されたり、指示されるのは「嫌」なのです。

まして、入試問題作成者は「その分野の専門家」です。

その方が、入試問題として記述問題を作成したら「採点基準も原則として、その方に任される」のです。

では、「何が正しい」とか
「どう点がつくか」は、その先生の判断?

基本的には、採点基準・方針は「問題作成者の教員・先生の判断」と考えます。

また、それ以外には考えられないでしょう。

確かに
そうかも・・・

中学受験生の皆さんは「得意・不得意な科目・分野」があると思います。

様々な分野がありますが、記述問題を難しく考えるのはやめましょう。

基本的には、その問題を読解したり、「あなたの考え・意見」を書けば良いのです。

「読解」の場合は、ある程度「問題文に対する答え」が限定されます。

一方で、

〜をもとにして、
あなたの考えを書きなさい。

という問題に対して、「考え」を書いたとき、

でも、「僕の考え」が
違ったら、どうしよう・・・

「考え」って
「正しい」とかあるの?

と感じる方も多いでしょう。

どの科目でも、「想定される答えの範囲」があることが多いです。

ところが、それは「ただ一つ」ではなく「ある範囲がある」のです。

出題者としては、

これを書いて
欲しいな・・・

というキーワードや解答の要点があるでしょう。

それを答えられるのが良いのですが、そう考えると「難しくなる」のです。

まずは、出題者の出す問題文を良く読みましょう。

少なくとも2回読んで、キーワードなどは「○で囲む」と良いでしょう。

問題文をよく読んでマーク

・問題文は少なくとも2度読む

・キーワードに線を引いたり、◯で囲む

それに対して「素直に考えたこと・感じたこと」を書きましょう。

出題者が「想定する範囲の答え」ではない「違った答え」を出した時。

それに対して、出題者がどのように対応して採点するかは、

これは
ポイントが合っているな・・・

とか、

これは
ちょっとポイントがズレてるな・・・

その「答え」と「出題者の考え方」によります。

場合によっては、

これは
予想外の回答だな・・・

という答えが、記述では毎年あるのでしょう。

その時、少しでも理にかなっていれば、

ちょっと
違うけど・・・

・・・・・
まあ・・・

こういう考え方も、
面白いなかもな・・・

と出題者が感じれば、

想定していた回答と大分異なるが、
方向性は良いかもしれない・・・

この場合、なんらかの点が入るでしょう。

そのように考えて記述問題への苦手意識を克服しましょう。

意見なども含めて、記述はハッキリと書いて、少しずつ得意になりましょう。

まずは「模範解答を真似て」でも良いので、どんどん書いてみましょう。

新教育紀行

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