前回は「記述問題に「楽しく取り組む」ポイント〜私立中学のカラーとボーダーラインの合否判断・エッセーや記述が「当たり前」の欧米の受験制度〜」 の話でした。
記述式問題の対策とコツ:出来るだけ「考えていること」を簡潔に書く
![新教育紀行](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_04m-1024x683.jpg)
算数実践71で、「斜辺の長さと6cmを比較」しました。
小学生・中学受験生の方で、「ピタゴラスの定理」を知っている方もいらっしゃるでしょう。
基本的には「三角形の斜辺の長さ」は小学校の算数の範囲外ですが、面積の視点から考えてみました。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_307m-1024x724.jpg)
こういう問題は、記述式で出題される可能性があると考えます。
同じ問題の「前の小問」で、上のように「斜辺の長さを2回掛けた数」を考えました。
この直角二等辺三角形を「4倍にした時、どうなるか」を考えるのが、本問です。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_406m-1024x724.jpg)
ここでは、「分からない数を2回掛ける」のがポイントです。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_409m-1024x724.jpg)
すると「分からない数」が比較できるようになります。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_411m-1024x724.jpg)
「2回掛けて」→「大小比較して」→「答え」でも良いですが、出来るだけ理由を書きましょう。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_412m-1024x724.jpg)
上の解答例では「長さを2回掛けた大小と長さの大小は同じだから」と書いています。
当たり前だから、
書かなくてもいいんじゃない・・・
時間が
もったいないけど・・・
「時間が大事」ですが、記述式ではこういう「理由を明記・表現する」と採点者は、
よく
分かっているね!
と好感を持ちます。
小学校の算数の範囲では「2回かけた大小」と「その数の大小」は同じです。
実は中学以降の数学では、「2回かけた大小とその数の大小は必ずしも一致しない」のです。
え?
なぜ?
これは、算数の範囲を逸脱するので、中学以降の数学でのお楽しみとしてください。
「思考力を判断したい」という記述問題出題者の考え
![新教育紀行](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_316m-1024x724.jpg)
採点しているのは、中学・高校の数学教師です。
「数学のプロ」から見て、「当たり前ではないこと」には敏感になる傾向があります。
そこで、解答例では「長さを2回かけた」と具体的に書いています。
ここで「長さ」に触れずに「2回かけた・・・」と表現すると、数学的にはバツになってしまいます。
算数としては、この部分は表現しなくてもバツにはならないと考えます。
この意味では、「書かなくてもよいこと」ですが、「書いた方が、論理的」です。
時間が惜しいようでしたら「もっと短く、端的に」でも良いでしょう。
「記述式」の形式にする理由は様々ありますが、
志望者の
思考力を見たい・・・
最も大事なことは「思考力を判断したい」ことです。
記述式を課す学校にとって「丸暗記」ではなく、「考える思考性を持つ」子どもの方が望ましいでしょう。
この「ほんの少し」の配慮で、採点者は、
しっかり
理解している子だ・・・
きちんと
考えているね!
と考えるでしょう。
記述問題で思考力を増強
![新教育紀行](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_115m-1024x724.jpg)
受験生の立場からすると、
一点でも多く
点数を上げたい・・・
とにかく、あと少し
成績を上げたい・・・
という気持ちになります。
実際に、「一点差」で当落が起こるのが試験・受験です。
「答えのみ」の問題であれば、「答えがあっているかどうか」のみで採点が判断されます。
そして、記述式問題の出題が多い学校でも「記述のみ」ということは、ありません。
必ず「選択肢を選ぶ」問題や「答えのみ」の問題があるので、
記述も大事だけど、
時間制限があるから・・・
と焦ってしまう気持ちになります。
一方で、こうしたことを「きちんと表現する」ことは、採点上有利になると考えます。
「時間制限がある」ので、文字が少し雑でも良いでしょう。
「走り書き」でも良いので、どんどん「考える姿勢」を表現しましょう。
![新教育紀行](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/s11_307m-1024x724.jpg)
このように「記述問題だから書く・描く対策」と同時に、記述問題は思考力の増強につながります。
参考書や問題集の解答を写してみると、
これって、
こういうことかな・・・
と様々な気づきが生まれることがあります。
こうして思考の流れを記述してみることは、考え方の整理につながります。
「記述対策」だけではなく、「記述してみる」学びは本質的な学力を高めるでしょう。
そして、この「記述してみる」ことは思考力の整理につながり、学力がアップするでしょう。
次回は下記リンクです。