前回は「ばね・てこのコツ・ポイント 2〜モーメント・棒の重さ・「ある」と「ない」・仮定・「つり合っている」イメージ・異なる点でのつり合い・仲間・似たようなもの〜」の話でした。
「複雑」を「簡単」に:理科の姿勢

「棒の重さがない」仮定・前提で、上のバネA、Bに「かかる力=引っ張り上げる力」を考えました。
「ある」はずの「棒の重さ」を「ないもの」として考えると、簡単です。
・「ある」ものを「ない」と仮定する、決定して考える
←「状況を簡単にして、解けるようにする」ため
考える対象を簡単にして、「分かりやすくする」のが、理科・物理の大事な考え方です。
「複雑なままでも分かる」のが良いですが、それでは「全然わからない」ことが多いです。
そこで、「複雑な状況を簡単にする」ことで、「大事な性質を理解する」ことも大事です。
そして、「複雑」を「簡単」にすることで、「全く分からないこと」の概要がわかるようになります。
算数でも理科でも、バシッと「ピッタリとした答え」が分かれば良いですが、難しい面もあります。
「複雑なモノ・コトを簡単にする」姿勢は、算数・理科では大事です。
・状況を少し簡単にして、大事なことを知る
・複雑な状況に対して、簡単なモデルを想定して、本質的・大事なことを探す
棒の重心・中心
「棒の太さが同じで、密度も同じ(一様)」であれば、「棒の重さ」を考えるのは難しくありません。
「棒の重さ」が「ある」場合は、「棒の重さが重心に全て集中している」と考えます。
重心って、
難しそう・・・
「重心」と言う言葉は、中学〜高校の数学で習いますから、まずは「モノの中心」と考えましょう。
・モノの中心
・モノの重さが集中してかかる場所
例えば、円の重心は中心です。
正三角形、正方形(正四角形)、正六角形などの重心も中心にあります。

重心・中心は、「モノの中心」なので、非常に大事です。
そして、「重心・中心を考えると、何か大事なことが分かる」可能性が高いです。
図形問題では、中心・重心に注目するようにしましょう。
中心・重心を通る補助線は、「何か大事なことが分かる補助線」であることが多いです。
・中心=重心から大事なことが分かることが沢山ある
・中心=重心を通る補助線は大事
つり合っている=安定している

バネAと棒の接点を中心に「モーメント(回転する力)のつり合い」を考えました。

バネBと棒の接点を中心に「モーメント(回転する力)のつり合い」を考えました。
いずれの場合でも、バネA、Bにかかる力を計算することが出来ました。
「棒とバネ全体がつり合っている=安定している」ことは、「棒のどの点でもつり合っている」のです。
・安定(静止)している状態
・棒のどの点でもつり合っている=安定している状態
じゃあ、
棒の他の点でも「つり合っている」んだね!
他の点でのつり合いを
考えても出来るのかな?
実際に「他の点でのつり合い」を考えましょう。
棒の中点でのつり合い

今回は、棒の中点で「回転する力」を考えてみましょう。
今回は、棒の中心は
関係ないけど・・・
そうだわ。
勝手に考えていいのかな?
棒の中心は、問題では触れられてなく、「関係ない」です。
棒が釣り合って止まっているので、どの点を考えても「釣り合っている」はずです。
確かに、
そうだね。

まずは、棒を「2:3」と「1:1(中点)」に分けるので、長さの比を揃えましょう。
「2 : 3」の比の合計5と「1 : 1」の比の合計2の最小公倍数である10で、比を分けます(按分)。

左から、「4 :1 : 5の比」に分かれた部分に、おもり、中点、バネBと棒のつながる点があります。
棒の中心で考えて、「回転する力」を描いてみましょう。
これまでは、2つだった「回転する力」は、3つになりました。
難しそう・・・
食塩水が3つになっても、「2つの場合と同じように考える」で解けます。
対象が増えても「考えることが同じ」であれば、「出来るはず」なのでやってみましょう。

「難しい」と考えずに、時計回りと反時計回りの「回転する力」を考えましょう。

時計回りの「回転する力」は、バネAが引っ張る力だけです。

反時計回りの「回転する力」は、バネBが引っ張る力と、おもりの重さ(重力)がつくります。

これらが等しいので、等式が出来ました。

全部5の倍数なので、5で割って整理しておきましょう。
これで、「回転する力」を考えた結果の、条件式が求まりました。
後は、
これまでと一緒だね。

バネBの引っ張る力が求まり、同じ結果になりました。
どこで考えても、
「つり合っている」から・・・
同じ答え(結果)が
出るんだね!
なんだか不思議で、
面白い・・・
どこのつり合いを考えるか?:考え方も計算もシンプルに

公式の「逆比」は、「おもりと棒のつながる点」を考えると求まりました。
この考え方をしっかり理解していれば、「逆比」と暗記しなくても、分かります。
うん。
よく分かったよ。
よく分かったし、
公式の暗記も「間違えない」よ!
算数・理科の公式は「理解して習得する」と、「丸暗記」よりも学力がグンと上がります。
「分かっている」から
間違えないのも良い!
ただ公式を丸暗記していても、「使えなければ仕方ない」のです。
こうして「公式を理解する」姿勢は、「公式の意味をしっかり理解する」ことにつながります。
今回、4つの点で考えてみました。

「棒が釣り合った状態」なので、他の点でも、考えてみましょう。
どの点で考えても同じ結果になりますが、計算過程が少し違いました。
そうだわ。
最後の「棒の中点」が少し、
考えることが多かった・・・
どの点を考えても、「回転する力」は釣り合っているイメージを大事にしてください。

ここで、大事なことは、「力のかかっている点を中心(支点」に考える」と、どうなるか、です。

「その力と支点(中心)の長さ=0」なので、「回転する力」が出てこないです。

すると、「考え方も計算も楽」なのです。
そして、考え方がシンプルになります。
なんでも「シンプルにする」ことは、非常に大事です。
本質的には、「どの点でも回転する力が釣り合っている」ことが大事です。
楽な方が、
テストではいいね。
様々な考え方を身につけると、
こう考えたら
良さそう!
という勘が磨かれます。
色々考えて、しっかり理解して学力を上げましょう。