前回は「ばね・てこのコツ・ポイント 3〜モーメント・「複雑」を「簡単」に・重心・中心・考え方も計算もシンプルに・公式の理解・逆比〜」の話でした。
てこ・バネのつり合い:全ての棒の点でのつり合い

上のような「バネとてこの基本」の問題
この問題に対しては「長さの逆比」を考えて、「それぞれのバネにかかる力」が計算できます。
公式である「逆比」は、ただ「丸暗記するのではなく、意味を理解する」のが大事です。
上のようなバネとてこは、「バネが伸びて、てこの棒とおもりを支えてつり合う」です。
今回は、棒の重さを考えませんでした。

バネAと棒の接点を中心に「モーメント(回転する力)のつり合い」を考えても、

バネBと棒の接点を中心に「モーメント(回転する力)のつり合い」を考えても、

棒の中央を中心に「モーメント(回転する力)のつり合い」を考えても、

おもりがつり下がる点を中心に「モーメント(回転する力)のつり合い」を考えても、
どこの点を中心に、「モーメント(回転する力)のつり合い」を考え、計算しても解けました。
「解けた」のは計算の結果に過ぎず、そもそも「棒のどの点でもつり合っている」ことが大事です。
上記の四つの場合において、「どの場合で考えても良い」です。
「良い」というよりも、「バネとてこ(棒)の状況を把握する」には、「どの点で考えても同じ」です。
「どの点でも同じ」ですが、最後の「おもりがつり下がる点」で考えると、最も簡単でした。

「棒にかかるおもりの重さ」があるから、バネが伸びてつり合う状況になります。
そこで、「おもりの重さ(重力)を発生させる点」に注目すると「逆比」が分かります。
2本のバネが支える「おもりの重さ100g」(棒の重さは0)よりも、「支える重さの比」が大事です。
・重さ(重力)を発生させる点(おもりと棒の接点)に注目
・回転する力(モーメント)を考えて、「長さの逆比」に「かかる力」を分配
このように考えると、問題が複雑になって、バネ・てこが沢山あっても「同じように解ける」はずです。
バネ・てこが沢山ある時も、「重さ(重力)を発生させる点(おもりと棒の接点)」に注目しましょう。
上記の四つの場合で、「全てのつり合いを考える」のは遠回りであったかも知れません。
「一つを考えれば出来る」のに、わざわざ「四つの場合のつり合い」を考えた理由がここにあります。
「どのように考えても、本来解けるはず」の理科・物理の問題。
一方で「解きやすい考え方・ポイント」は、どの分野にもあります。
・重さ(重力)を発生させる点(おもりと棒の接点)の回転する力(モーメント)
・「かかる力」=「長さの逆比」、または「長さ」=「かかる力の逆比」
この「逆比」をしっかり理解しましょう。
これまでの「棒のどこの点でもつり合う」ことをしっかり理解しましょう。
「つり合う」ことは「普通ではないこと」であり、非常に安定して静止しているイメージです。

この意味では、かっ車も似ている面があり、「つり合っている」のです。
・「つり合う」ことは、その関係する部分(棒など)の沢山の場所で「つり合っている」
・「つり合っている」のは、非常に安定して静止(止まっている)しているイメージ
太さが一様ではない棒・重さのある棒

これまでは、「一様で、重さのない棒」を考えました。
今回は、上記のような「一様でなく、重さのある棒」を考えます。
この棒の重さと、重心の位置を考えましょう。
これは、
知ってるよ。
「両方の重さの和」
だよね。
その通りですが、説明できますか。
これも、
「そういうものだ」と習ったわ。
釣り合う場所も
「逆比」と習ったのと同じ感じ・・・
そういえば、「逆比」の理由が
わかったね。
そうね。
同じように考えられないかな?
類似点を探す姿勢:理科への探究心
「同じように考える」という視点は、理科では非常に大事です。
「理科への探究心」は、中学生以上の勉強において、とても大事になってきます。
小学生の間に、この「理科への探究心」の基本を育てることができるととても良いです。
全く異なる現象は別として、「似ている現象の類似点を考える」ようにしましょう。
電気は「電圧を考えてから電流」という話をしました。
電気・電流は複雑な問題が沢山ありますが、「似たように考えてみる」と分かる問題も多いはずです。
うん。
そうしてみるね。
算数・理科の基本問題は、「それぞれの分野の考え方に応じて、学ぶ」必要があることが多いです。
そして、算数・理科の応用問題は、「基本問題の発展形」であり「類似性がある」のです。
・応用問題には類似性がある
・応用問題は基本問題の発展形・変化球、あるいは複数分野の複合形
・応用問題に対しては、「基本に振り返る」姿勢で考えると、ほぼ全て「同じ」か「似ている」
この問題の、「棒の重さ」は分かりますか?
まず、「重さが和」というのが、
なんとなく、そうかな?と思うよ。
そうね。
「本当かしら?」と思うけど・・・
重ね合わせること:二つの状況を足す

二つの状況を、足してみましょう。
上の片方ずつの重さを測った状況を「足し合わせて」みましょう。

すると、上のように両側で、つり合います。
上の「棒の重さがない」時に、四つの点で考えた「つり合う」状況をイメージしましょう。
ここで、
うん。
そうかも・・・
ちょっと、しっくりこない気が
するけど・・・
色々な反応があると思います。
上の「二つの現象・状況を足し合わせる」のは、少し難しいです。
この考え方は、物理的には「重ね合わせの原理」とも言われますが、中学生〜高校生で習います。
ちょっと
早いよね。
ここでは深追いせずに、「足し合わせたら、こんな感じになる気がする」くらいでも良いでしょう。
この「足し合わせる状況」をしっかりイメージできるのは、難しいです。
しっかりイメージ出来る方は、物理のセンスがあるかも知れません。
宇宙飛行士・山崎直子さんのようになれるかも知れないので、楽しんで理科を学びましょう。
矢印で重さを表現:重さと力

この「足し合わせた状況」を描いたら、「矢印で重さ・はかりが引っ張る力」を描いてみましょう。
図では、重心を示しています。
重心とは「モノの重さが一点に集まっていると考えられる」点です。
・モノ(棒など)の重さが一点に集まっていると考える点
・重心の位置は、モノ(棒など)の形によって変わる
・モノ(棒など)が、同じ太さ・密度(一様)であれば、重心は中心

上と下で釣り合っているので、棒の重さが分かります。
でもさ、
なぜ、「重心に重さが集中する」の?
確かに、
ちょっと不思議な感じ・・・
この「重心にモノの重さが集中」に関しては、しっかり理解するのは中学以降にしましょう。
小学生の間は、「モノの重さが集中する点が重心」という「決まり事」と考えましょう。
それでは、重心からの両端の距離を考えてみましょう。
長さが登場したので、「モーメント=回転する力」を考えてみましょう。
次回は、モーメントを計算して、詳しく考えてみましょう。