部活に入るメリットとデメリット〜塾や勉強時間と人生経験・郷中教育・青少年が切磋琢磨・大きなお兄さんや小さな弟と触れる機会〜|中学高校での成長1・中学高校の学校生活

前回は「中学・高校での学び 4」の話でした。

目次

郷中教育:青少年が切磋琢磨

薩摩藩出身の幕末〜明治の威人(偉人)たち: 左上から時計回りに、西郷隆盛、大久保利通、大山巌、東郷平八郎(Wikipedia)

西郷隆盛はじめとする、薩摩藩出身の維新の元勲たちの原動力となった郷中教育。

上の四名だけでも、強烈なパワーがあります。

しかも、上の四名は同じ下加治屋町という「同一町内」出身者です。

明治維新の最大の推進者であった西郷・大久保。

さらに、日露戦争での陸軍総司令官:大山巌、海軍総司令官:東郷平八郎が「同一町内出身」です。

「日清・日露戦争」と一括りにされることが多いですが、日清戦争と日露戦争では、全く異なります。

当時の日本(大日本帝国)における意味合いが、対清(中国)と対ロシアでは、次元が違いました。

「日本・日本人の運命が、かかった戦い」であった日露戦争。

作家 司馬 遼太郎(司馬遼太郎の戦国 朝日新聞出版)

明治維新から日露戦争まで、
この町出身者が主導したと言っても過言ではない・・・

少し極端な表現ですが、司馬遼太郎がこのように概括する気持ちも分かります。

この郷中教育が、「理想の教育像の一つ」であると思います。

郷中教育には、様々な良い面がありますが、特に以下の二つが大きな特徴です。

郷中教育の大きな特徴

・6~14歳頃までの稚児と14~20歳頃までの二才が、一緒に切磋琢磨

・青少年たちが自治の体制で、学ぶ体制

なんと、6~20歳くらいまでの間の青少年が「一緒になって」過ごす環境だったのです。

郷中教育と現代教育:大きなお兄さんや小さな弟と触れる機会

左上から時計回りに木戸孝允、坂本龍馬、西郷隆盛、中岡慎太郎(Wikipedia)

これは、薩摩人にとっては「当然のこと」だったでしょうが、現代人には「考えられない」環境です。

当時と、現代では「年齢に対する概念」が異なるので、一概には比較できません。

平均寿命の違いも大きく、江戸時代と現代では、江戸時代の方が「年齢の進行が早い」でしょう。

同じ年齢で比較すると、「小学校一年生〜大学二年生までが一緒に学ぶ」環境です。

江戸時代の方が「年齢の進行が早い」ことを考慮すると、もう少し広がるかもしれません。

薩摩藩の風土の影響が大きいですが、薩摩藩出身者は「ドッシリ構えた」大将肌の人物が多いです。

対して、長州藩は、書生的人物が多く、「大将肌の人物」は高杉晋作等限られます。

木戸孝允も、西郷・大久保と比較すると、少し迫力不足であります。

これは、小さな頃から「大きな兄」と付き合い、「小さな弟」の面倒を見た経験が大きいでしょう。

対して、義務教育として小学校6年間・中学校3年間があります。

そして、それから高校3年間・・・と、分割されている現代の教育。

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

郷中教育のように、様々な学年の生徒が「触れ合う」機会は、学校という組織で可能です。

一方で、現実として「郷中教育のような教育」は不可能です。

小学校において、小学校4年生くらいから部活動で、お兄さん・お姉さんと触れる機会があります。

お互い気にしてしまい、あまり接しません。

更に、中学受験をする生徒にとっては、「小学校で他の学年の方との接点」は無理でしょう。

「そんな余裕がない」のが現実です。

そこで、中高一貫校です。

中学・高校での6年間の間に、「様々な学年の生徒と触れ合う機会」を持つのが最良です。

そして、その機会は「部活動」となります。

部活に入るメリットとデメリット:塾や勉強時間と人生経験

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

高校の後に、「様々な学年の方と触れ合う機会」は、大学のサークル・部活動があります。

大学になると、思春期で個性が固まってしまった後になります。

「上の学年の方から影響を受ける」度合いは小さくなります。

サークル・部活動以外には、特に理科系の研究室があります。

この研究室の上下関係も閉塞的な面もあり、良し悪しが分かれる面があります。

大学以降に「上の学年の方に私淑する」ことが起こり得ます。

一方で、それは「専門領域の考え方」などがメインで、個性に与える影響は限定的でしょう。

そして、大学以降は「個性等において、多大な影響を受ける環境にはない」と言えます。

武蔵中学・高校のかつての校舎・物理実験室(新教育紀行)

最近の部活動は、「少し下向き傾向にある」と聞くことがあります。

それは、

大学受験を考えると、
部活動に入るより塾に行っていた方が良い。

と考える方もいらっしゃるようです。

中学・高校の先生方にとっても、授業においては学習指導要領等があります。

そして、「ある程度は定められたルール」の枠組があるでしょう。

対して、「部活動」こそは、「かなりの裁量権がある」と考えられます。

郷中教育のような「自治教育」とまで行かなくても、ある程度「生徒同士の自主活動」に委ねられます。

そのような機会のある、部活動には、是非とも入って欲しい。

すでに入部している方は、上のお兄さん・お姉さん、下の弟・妹との触れ合いをより楽しみましょう。

そして、今後の人生に活かして欲しい。

入部していない方は、僕が中高生の頃、中高では「帰宅部」と呼ばれていました。

その呼び方の是非はともかく、ぜひ、短い間でも入って欲しいと思います。

思春期の一年は、その後の数年に匹敵する可能性もあるからです。

新教育紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次