前回は「斜めの正方形と補助線のコツ・ポイント〜相似形を見つけるポイント・「似た図形」を探す・難しい形は分割・「良い補助線」を描くコツ・他の補助線と比較・問題 13解法(2)〜」の話でした。
問題 13
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms13_101m-1024x683.jpg)
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms13_102ms-1024x683.jpg)
図形の基本性質に着目:2つの正方形は同じ性質
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms13_206m-1024x683.jpg)
(2)のブルーの面積を考える時、上の補助線を引いて考えました。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms13_207m-1024x683.jpg)
面積は「2本目の補助線」を入れれば、出来そうです。
2本も補助線を引くのは
難しそう・・・
・難しい図形・考える対象は、分ける・分割する
・「分ける・分割する」とき、「分けすぎる」と大変なので、出来るだけシンプルに
難しそうな図形を
分けて、簡単にしたけど・・・
ひょっとして
「分けすぎ」なのかな?
実は「分けすぎ」なので、今回はその理由を考えてみましょう。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms13_211m-1024x683.jpg)
複雑な形状の五角形の面積を求めるにあたり、
補助線を
引いて、図形を分けて・・・
と考えることが基本になります。
三角形や四角形(正方形・長方形・台形・平行四辺形など)の面積は、比較的容易に求められます。
対して、今回の図形のように五角形、あるいは「不整形な図形」は困ります。
これらの「不整形な図形」は、基本的に一度に面積を求めることが出来ません。
「図形を分ける」ことを思いついた後、図形問題では、
次は、
どこの辺の長さが分かるだろう・・・
と考えることが多いでしょう。
このような考え方をすると、「問題のパターン化」につながります。
「次は・・・」という考え方で、パターン・類型化しても良いかもしれません。
図形問題が得意になるためには、基本性質に着目するようにしましょう。
今回の問題では「2つの正方形」という「非常に特殊な図形」が2つも出てきている状況です。
・全ての辺が同じ長さ
・全ての角が同じで直角
確かに二つの正方形は
「同じ性質」だよね・・・
二つあって、片方が斜めだから
難しそうだけど、元は一緒だよね!
「正方形とは何か」を考える・描く
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/64ce8ea3047c993d34ae5ed60f1e952e.jpg)
小学校低学年頃に教わる「正方形」は、非常に基本的で簡単な図形です。
方眼紙は全て正方形です。
もし、方眼紙のマスが「長方形や三角形だった時」は、どうなるか考えてみましょう。
それはさ・・・
工作するのが大変になるよ・・・
方眼紙のマスは
「正方形だから、とても役立つ」のね!
「基本的で簡単」な図形ですが、正方形の奥は深く非常に大事な図形です。
正方形とは、どういう図形でしょうか。
四角形で、辺の長さが
全部同じで、角が全て直角。
では、「正方形を描く」を考えてみましょう。
簡単だよ。
真四角を描けばいいよ。
正方形には慣れている方が多いので、パッと描ける方が多いでしょう。
正方形は四つの辺があり、「四つ等辺と直角」を一気にイメージして描くことができると思います。
辺も角も対象が4つありますが、「全部同じ」だからイメージしやすいでしょう。
確かに
そうね!
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms14_301m-1024x683.jpg)
上の辺BCから正方形ABCDを作ってみましょう。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms14_302m-1024x683.jpg)
一辺を「その辺と同じ長さ」平行移動すれば、正方形を作ることができます。
別の方法で正方形ABCDを作ってみましょう。
別の方法?
一つ出来たら、良いんじゃない?
あることに対して「複数の方法」を理解しておくと、応用力が広まります。
もう一つの方法は、
直角を使うのかな?
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms14_304m-1024x683.jpg)
辺BCを90度、反対側に90度回転すると正方形が見えてきます。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms14_305m-1024x683.jpg)
こうして、しっかり
正方形を描くと面白いね!
これで正方形の作り方・描き方が二つ分かりました。
このように、あることの考え方を複数理解すること、別解を考えることは大きな応用力向上になります。
・あることやある図形を複数の視点から考える
・問題の別解を理解する
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/electricity137m-1024x724.jpg)
対象が2つまでは比較的簡単ですが、対象が3つ以上になると、非常に難しくなります。
多くの中学受験生、中学生以上の方が「苦手」と感じることが多い電気の問題。
なぜ「難しい」と感じる方が多いのかは「電流・電圧・抵抗の3つが登場する」からです。
もし、電気で登場するのが「電圧と電流だけ」だったら、どうでしょうか。
それなら
簡単だよ!
どれか2つだったら比較的簡単ですが、3つになると難しくなってしまいます。
そこで、電気の問題では「電圧を主役に考える」話をご紹介しました。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms14_301m-1024x683.jpg)
正方形は「辺も角も対象が4つもある図形」です。
「4つもある図形」ですが、「対象の辺も角も4つ全部同じ図形」なので簡単です。
「全部同じ」であれば、対象が多くなってもイメージしやすいです。
そして、「とても簡単だけど、奥が深い」のが正方形です。
「固定された点や線」に着目
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms13_212m-1024x683.jpg)
正方形の基本性質・骨格を考えてみましょう。
「4つの辺を一気に描ける」ですが、「辺BCを一辺(底辺)とする正方形を描く」ことを考えましょう。
どのように描くか考えてみましょう。
他の3つの
辺の長さはBCと同じで・・・
全部直角だから、
さっきと同じように考えれば描ける!
「一気に他の3つの辺を描く」のは難しいですから、「一辺ずつ描いて」みましょう。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms14_302m-1024x683.jpg)
辺BCを同じ長さだけ
平行移動してもいいね!
それでも描けるけど、
「平行移動」はちょっと唐突な感じ・・・
平行移動することは図形的発想ですが、「グッと辺が向こうに行ってしまう」感じがあります。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms14_304m-1024x683.jpg)
まずは「辺BCと同じ長さで、辺BCに直行する(直角の)辺BAを描く」やり方にしましょう。
これだと、辺が一気に向こうに
行ってしまわないね・・・
新しい辺が、
近くにあるから考えやすそう・・・
ここで大事なポイントは、「どちらででも良い」ですが「考えやすいのはどちらか」です。
「辺を90度回転」だと、「回転する点は固定」なので考えやすそうです。
・複数の考え方があるときは、対象に対して「考えやすい」考え方を選ぶ
・図形問題では「固定された点や線」があると「考えやすい」ことが多い
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms13_213m-1024x683.jpg)
この時、「辺BCを90°回転すれば辺BAになる」と考えることもできます。
確かに
そう考えることができるね!
残りの2つの辺は「それぞれの辺を90°回転する」や「辺BCと辺BAを折り返す」で作れます。
少し考えてみる大事さ:「急がば回れ」で学力向上
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/2022/04/20220324064424-1024x727.jpg)
ここで、「矢印の話」で考えてみましょう。
算数実践問題10では、「矢印の辺1つ」を「矢印の辺2つに分けて」考えてみました。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/2022/04/20220324064759-1024x724.jpg)
上の図形で「辺CFの矢印=辺CBの矢印+辺BFの矢印」と分けて、60°回転させます。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/2022/04/20220327071340-1024x724.jpg)
このようにして「正三角形FCHをつくる」ことを考えて、様々なことがわかりました。
今回も同じ考え方で、考えてみましょう。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/ms13_241ma-1024x683.jpg)
問題10では「正三角形を考える」でしたが、本問では「正方形を考える」です。
辺BCを矢印BCと考えて「正方形ABCDをつくる」を考えてみましょう。
考え方は次回ご紹介します。
次回の話を見たら、
なんだ。
そういうことか・・・
思ったより
簡単!
と感じる方が多いでしょう。
算数・数学は「考えて出来る」が良いのですが、「出来るなら勉強しなくても良い」ことになります。
「出来ないことがある」から勉強するので、「出来る、出来ない」は別として少し考えるをやってみましょう。
そこで、何か
あれ、
ひょっとして・・・
と気づくことが少しでもあれば、とっても良いです。
そうして「自分で気づいたこと」は忘れないです。
教わることは、聞いたとき、
よし!
わかったぞ!
となりますが、少し時間が経つと、
あれ・・・
どう考えるんだっけ・・・
となることが多いです。
問題をたくさん解いて、数多くの考え方を学ぶのも良いです。
「少し考えて、しっかり身につける」姿勢も大事です。
科目も多く、たくさんやることがある受験生は「時間が気になる」方が多いでしょう。
「急がば回れ」という諺もありますが、「少し考えて(遠回りして)学力を上げる」も大切な姿勢です。
・急がば回れ=遠回りして、色々と考えてみる
・「自分で気づいたこと」は忘れないので、大事に
次回は下記リンクです。