電気・回路の実戦的考え方 4〜対称性の性質・「折り返したら同じ」部分は「同じ状況」・回路・電線の形状と対称性・電池の役割と電圧・回路にかかる電圧・対称性から分かること・電球や抵抗の位置・数と対称性〜|中学受験・理科

前回は「電気・回路の実戦的考え方 3〜対称軸と中心・重心・モノの最も重要な性質・地道に計算して考える姿勢・電流から電圧を考える・点から点で下がる電圧・回路全体を考える・部分から全体へ・性質と計算〜」の話でした。

目次

対称性の性質:「折り返したら同じ」部分は「同じ状況」

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

比較的シンプルなタイプの回路のを考える時、対称性に注目して考えました。

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

回路の中心線(アの電球を通る直線)に対して、回路は「左右に折り返して同じ」対称性があります。

対称性がある時「折り返したら同じ部分」は「同じ状況」になります。

なんとなく、分かるけど、
そもそもなぜ「同じ」になるんだろう・・・

確かに「折り返したら同じ」だから、
「流れる電流も同じ」という性質は不思議だね。

この「対称性を持つ部分・箇所」が「同じ状況」になることは、本質的な事です。

理科・算数(数学)で、とても大事な対称性の性質は、厳密に考えると難しい面があります。

「直感的に理解」または「大体のイメージで理解」で良いでしょう。

対称性

・折り返したら、または回転させたら「全く同じ・重なる」性質

・対称性がある部分・箇所は、「同じ状況・性質」を持つ

回路・電線の形状と対称性

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

でもさ、確かに「対称」だけど、
電池の形は「対称ではない」よね。

確かに電池にはプラスとマイナスがあるから、
「中心線で折り返した同じ」にはならないけど・・・

この「電池・電圧は対称ではない」ことは、とても大事なポイントです。

問題を説明する際、「回路に対称性がある」と説明したのは「電圧は別」という意味です。

電池が対称ではなかったら、
「対称性がある」って違うんじゃないの?

回路1:複雑な形の電線(新教育紀行)

それでは、上の回路 1と問題文の回路は同じでしょうか、違うでしょうか。

ちょっと考えてみましょう。

ここでは、「電熱線の長さによる違い」は考えないようにします。

電線が変な形に
なっているけど・・・

これは、
「同じ」じゃないの?

回路 1:複雑な形の電線(新教育紀行)

上の赤枠で囲んだ回路に「電池が電圧をかけている」と考えれば、同じです。

確かに、電池の周りの電線の
形は、関係ない気がする・・・

回路 2:複雑な形の電線(新教育紀行)

それでは上の図の回路 2と、問題文の回路は同じでしょうか、違うでしょうか。

電線が
曲がったりしているけど・・・

この回路も問題文の回路と
同じだと思う。

回路 2:複雑な形の電線(新教育紀行)

電線が曲がっても折れても、問題文の回路と上の図の回路 1・回路 2は同じです。

もし、「電熱線の長さの影響」を考えると、問題文の回路・回路 1・回路 2は「異なる回路」になります。

電線・電熱線の長さで、
抵抗が変わるからだね。

回路の問題では、「電線・電熱線の抵抗は無視する」ことが多いです。

それは、「電線・電熱線の抵抗を考える」と問題が複雑になるからです。

「電熱線の長さの影響があり、回路の電熱線の長さが2倍になった時・・・」などの問題もあるでしょう。

特殊な問題以外では「電線・電熱線の抵抗は無視」ですが、問題文をよく読むようにしましょう。

ここでは、「電熱線の長さの影響を考慮しない」とします。

電池の役割と電圧:回路にかかる電圧

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)
電気・電流の考え方:電池の並列つなぎ(新教育紀行)

電池は「電圧をかけて、電流をグイッと持ち上げる」役割です。

電池は「回路に電圧をかける」立場です。

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

そこで、上の図の「基本回路」を考えてみましょう。

問題文の回路・回路 1・回路 2は、「同じ部分」があります。

回路の周りの電線の形が
変わっても、電池の役割は同じだね!

この「回路の電球・電線部分」に「両側から電圧がかかっている」ことになります。

電圧とは「電気を押し出す力」「電気に圧力を加える力」と考えると良いでしょう。

つまり、電池とは「電流を流すポンプのような役割」をしています。

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

回路だけを考えた時、やはり左右で対称となります。

回路だけ考えると、
もう一つ対照になるかな?

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

上下の軸と左右の軸の二つの軸で、この回路は対称性があります。

対称性から分かること

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

回路に「上下左右で対称性がある」ので、「四つの電球に流れる電流の大きさは同じ」になります。

計算して分かったことが、
一気に分かった!

これは、
すごいね!

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

すると、上図のように「ア以外の四つの電流の大きさは同じ」という事実が分かります。

電流が分かってきたから、
「主役は電圧」だから、電圧を考えるんだね!

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)

ここからは、電圧か電流を考えて「アに流れる電流は0」と分かります。

電球や抵抗の位置・数と対称性

回路を流れる電流:回路の対称性(新教育紀行)
正六角形の問題(新教育紀行)

このように、理科や算数では「対称性がある図形・回路」に出会ったら、対称となる軸を考えましょう。

そして、「対称となるから・・・」と考えると、色々と分かるでしょう。

回路に関しては、対称性に注意することがあります。

それは、「対称となる」とは「回路全体を見て、ある軸に対して対称である」ことです。

そのため、回路の電線の形が同じでも「電球や抵抗の位置や数が異なる」と「対称性はない」です。

回路の対称性

・回路の形状に対称性があるか、ないか

・対称となる部分の電球・抵抗などの位置・数が同じかどうか

上の回路は全て「電線の形」同じで「対称性がある」のです。

電気・電圧の考え方:電圧がかかり、流れる電流をイメージ(新教育紀行)

問題1の回路は、問題2の回路と「似ている回路」です。

ところが、電球の数や配置が「少し異なる」ために、流れる電流は全然異なります。

「電球・抵抗の位置・数が異なる」ので「対称性がない」時、全体的にバラバラな電流が流れます。

平面でも立体でも、「対称性がある」と「対称となる軸に対して同じ」になります。

色々と考えてみると、新しい発見があるでしょう。

新教育紀行

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