天体を苦手にならない勉強法〜地球から太陽と月の距離・大きな数の計算と単位・天体が得意になるコツ・地球・太陽・月・星などを描く〜|地球と太陽と月1・中学受験・理科

前回は「電気・回路の実戦的考え方 4〜対称性の性質・「折り返したら同じ」部分は「同じ状況」・回路・電線の形状と対称性・電池の役割と電圧・回路にかかる電圧・対称性から分かること・電球や抵抗の位置・数と対称性〜」の話でした。

目次

地球から太陽・月の距離の問題

新教育紀行
地球から太陽・月の距離(新教育紀行)
理科4 問題文(上記と同一)

地球から1.5億km離れたところにある太陽と、地球から38万km離れたところにある月は、地球から見るとほぼ同じ大きさに見えます。
太陽の大きさは直径140万km、光は1秒間あたり30万kmの速さで移動するとして以下の問いに答えなさい。途中経過の式なども書きなさい。

(1)太陽から出た光が地球にたどり着くまでに、何秒間かかりますか。

(2)この文章にある「地球から見ると太陽と月がほぼ同じ大きさに見える」ことを図で描いて下さい。地球、月、太陽を描き、長さや大きさの正確さは問いません。

(3)この文章から月の直径を計算し、最も近いものを下記から選びなさい。
 ア 2500km
 イ 3500km
 ウ 4500km

天体を苦手にならない勉強法:大きな数の計算と単位

新教育紀行
日の出:五島(新教育紀行)

今回は、天体を苦手にならない勉強法の話で基本的問題を考えてみます。

地球から太陽・月の距離を考える問題です。

この問題は
やったことあるよ!

これなら
出来る!

基本的問題で、こういう問題は「ただ計算する」ことが多いので「図に描く」を追加しました。

かっ車、電気などと同様に理科の物理分野は「基本を理解すれば全て解ける」問題です。

覚えなければならないこともありますが、他の分野に比べて暗記は非常に少ない特徴があります。

でもさ、ちょっと難しい応用問題は
解けないんだよな・・・

この間の模試で天体は
半分くらいしかできなかった・・・

応用問題はいろいろありますが、基本をしっかり理解しましょう。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

早速(1)から考えます。

この問題で登場する数字は、全て「およそ・だいたい」です。

身の回りの物理・化学現象と異なり、天体を考えるときは「およそ・だいたい」が大事です。

太陽から光が地球に向けて飛んでくるイメージを持ちましょう。

光の速さは「30万km/秒」であり、「1秒間に地球を7周半」します。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

ここで「億」が登場していて、光の速さの「万」とは桁が違うことに注意しましょう。

「億」というのは数字としては馴染みがありますが、実感がなかなかない数字です。

宝くじで、
7億円あたります!

という話が世の中にありますが、「1億円以上のお金」にはなかなか触れる機会がありません。

同様に「1億km」と言われても、普段接しない単位なので分かりにくいです。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

このように「桁が違う」時は「桁を揃えて考える」ようにしましょう。

物理の計算のコツ

・桁が違う時は、桁を揃えて考えて計算

・単位が異なる時は、単位を揃えて計算

小学校3年生くらいの時に、

コップに0.2Lの水が入っていて、
1dlの水と300mlの水を加えました・・・

という問題をやりましたが、この時は「L,dl,mlのどれかに単位を合わせる」のが基本です。

それと同様で「単位や桁が違うと比較するのが大変」なので、合わせて整理するようにしましょう。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

ここからは、「時間を求める」ので距離を早さで割りましょう。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

まずは大きな「0(10)」を約分して、割り算するようにしましょう。

答えは500秒で、約8分となります。

これは
出来たよ!

こういう問題だったら
出来るんだけど・・・

こういう計算をしたら、「ただ出来てOK」ではなくイメージしてみましょう。

太陽から発した光が地球に届くのに「約8分かかる」ということは、どういうことでしょうか。

光のスピードでも
8分かかるんだね・・・

宇宙って
本当に広いね!

「宇宙は広い」でも良いですが、「時間がかかる」ということは「前後関係」を考えましょう。

日常生活で太陽の光を見ていますが、その光は「太陽から約8分前に発された光」です。

確かに
そうだね!

理科の問題を得意になる姿勢

・計算結果などを少し考えてイメージする

・「時間がかかる」ということから、時間の前後関係を考える

日常生活では、照明などの光はスイッチをパチっとつければ瞬時に光は至るところに届きます。

ところが、宇宙では「光は多大な時間をかけて、星から星へ移動する」のです。

ということは、
月や星の光も「結構前の光」なんだね!

このように「ただ計算する」問題も「少し考える」とイメージが広がり、興味が広がります。

そして、その「ちょっとした興味」を持つと、問題が解けるようになるでしょう。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

ここで、単位の確認をしましょう。

中学以降の物理では、単位は極めて重要です。

小学校の理科では単位は、それほど気にしないかも知れませんが、意識するとより出来るようになります。

単位は、普通の割り算と一緒で掛けたり割ったりできます。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

割ってみたら確かに「秒」になっています。

そっか!
単位ってこうなっているんだね!

こういう計算でも「単位」を
気にするようにしよう!

物理の単位

・単位は全ての基本なので、出来るだけ意識して計算

・単位は普通の掛け算・割り算と同じように、掛けたり割ったり出来る

天体が得意になるコツ:地球・太陽・月・星などを描く

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

(2)に進んで地球・太陽・月を描きましょう。

「1.5億km=15000万km」という「とても大きな数字」であり、それらの比も大きいです。

これらの地球などを描くときは、アバウトで良いので「しっかり描く」ようにしましょう。

地球・太陽・月・星などを描く時

・惑星を表す円の中心を一直線上に揃える

・大きさや距離は「大体で良い」感じで、大きさは太陽>地球>月の順

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

算数の図形問題と同じで、「分かる長さ」をどんどん描いてゆきます。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

上の図が解答例になります。

中心を表す線は点線だったら、描いても良いでしょう。

そういう線って
余計な感じがするけど、描いてもいいの?

点線・破線は、「参考の線」なので描いて減点されることはないでしょう。

「中心を通る点線・破線」が描かれている方が、物理的思考としては望ましいです。

「必要なことは描く」という考え方で「不必要かも」という線は点線・破線にしましょう。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

(3)に進みますが、月の直径が分からないので、「◯万km」としましょう。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

地球から見て「月と太陽が同じ大きさに見える」なので、地球上の点から見ると上の図のようになります。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

この時、円をコンパス等で描くと上の水色の線から縁が少しはみ出ますが、気にしないようにしましょう。

本当は太陽はもっともっと遠いところにあるので、ここは「ほぼはみ出ない」です。

こういう図を描く時は、コンパスや定規は使わずに、フリーハンドで描くようにしましょう。

そして、細かいことは気にしすぎない姿勢が特に「天体の問題」では大事です。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

このように描くと、図形の特徴が見えてきます。

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地球から太陽・月の距離(新教育紀行)

上の二つの二等辺三角形は相似形なので、月の直径は分かりそうです。

ここからは相似比で計算することになりますが、次回の話にしましょう。

天体は「自転・公転」の話などもあり、複雑に見えます。

それらの内容も含めて、問題集や参考書を「眺めて理解」ではなく「自分で描く」ようにしましょう。

上の図のような絵を自分でどんどん描いてみると、天体は難問・応用問題も少しずつ出来るようになります。

新教育紀行

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