開成中学高校の永遠に輝く星・山口多聞〜日本海軍の希望の星・日本人の理想像の一つ「楠木正成」・猛将の若き日々と超優等生の肖像:海軍兵学校と陸軍士官学校と帝大・質実剛健な開成の教育〜|山口多聞1・人物像・能力

前回は「西郷隆盛の個性と精神育んだ郷中教育〜圧倒的個性を持っていた西郷・才能とは何か・寺子屋との大きな違い・郷中教育と現代日本の教育の違い・ディスカッションの重要性〜」の話でした。

山口多聞(Wikipedia)
目次

日本海軍の希望の星・山口多聞:日本人の理想像の一つ「楠木正成」

武将 楠木正成(Wikipedia)

今回は第二次世界大戦における日本海軍軍人(将軍) 山口多聞をご紹介します。

山口多聞の珍しい「多聞」(たもん)という名前。

ピンときた方がいらっしゃるかもしれません。

この名前は楠木正成の幼名「多聞丸」にちなんだ名前です。

大楠公のように
優れた人物になって欲しい・・・

という親の気持ちが込められています。

よしっ!
大楠公のようになってみせる!

南北朝時代に智略のかぎりを尽くして、足利尊氏の大軍と戦い、最後は敗北・自刃した楠木正成。

木正成は神のように敬われており、現在もその雰囲気が残っています。

そこで、最初の字をとり、敬称であるをつけて「大楠公」と称することがあります。

極めて優れた武将であり、その高潔な精神は極めて高く評価されています。

そして、皇居にも大きな銅像が建っている楠木正成。

この「多聞丸にあやかれ」という名前の山口多聞。

実際に、その名前に恥じず、極めて優れた将軍となりました。

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

日本海軍といえば、山本五十六連合艦隊司令長官です。

歴史好きの間で「好きな・優れた海軍軍人」で投票を行えば、山口は「ベスト3」に入るでしょう。

陸海軍で投票しても、ベスト3に入る可能性が高い存在です。

僕も山口多聞(少将・中将)は、非常に高く評価しています。

「戦略・戦術的才能」は、山本五十六(大将・元帥)を上回った人物でしょう。

猛将の若き日々と超優等生の肖像:海軍兵学校と陸軍士官学校と帝大

海兵40期の同期:左上から時計回りに大西瀧治郎 航空本部総務部長、宇垣纏 連合艦隊参謀長、山口、福留繁 軍令部第一部長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社,Wikipedia)

小さな頃から頭脳明晰だった山口多聞。

海軍軍人養成学校=海軍兵学校に入学し、海兵40期を次席卒業します。

当時も東大などの帝国大学がありましたが、文字通り「お国に尽くす」陸軍・海軍の兵学校・士官学校。

設置年大学名
1868年陸軍士官学校(前身の兵学校)
1869年海軍兵学校(前身の海軍操練所)
1877年東京帝国大学
1897年京都帝国大学
1907年東北帝国大学
1911年九州帝国大学
1918年北海道帝国大学
1924年京城帝国大学(韓国、のちに廃止)
1928年台北帝国大学(台湾、のちに廃止)
1931年大阪帝国大学
1939年名古屋帝国大学
海軍兵学校・陸軍士官学校・帝国大学設置年(Wikipedia)

帝大よりも早い時期に設置された陸軍士官学校・海軍兵学校。

当時の発想では、「頭脳を磨いたエリート」よりも「優れた軍人」の方が遥かに優先順位が高かったのです。

日本全国からエリートが集まり、「入学するのは東大と同等」でした。

場合によっては、「東大よりも難しかった」とも言えるでしょう。

写真では優しそうな山口多聞ですが、非常な熱血漢でした。

勉強も運動も
頑張ってみせる!

さらに海軍大学校に進み、ここも次席卒業します。

とにかく、一生懸命
猛烈に勉強するのだ!

エリート街道まっしぐらの山口多聞は、早い時期に航空母艦による「航空戦」の将来を予期します。

これからは、
航空戦・空母が海軍の運命を決するのではないか・・・

そして、航空戦を強力に推進する山本五十六とは「同志」とも言える存在となりました。

米英との軍縮条約協議なども同行し、大活躍しました。

開成中学・高校の永遠に輝く星:質実剛健な開成の教育

山口多聞(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

実は、山口多聞は開成中学卒業です。

「開学以来の優れた頭脳」と開成で呼ばれた山口多聞。

開成→海軍兵学校→海軍大学校を、全て抜群の成績で通します。

「学校での成績が良い」ことは、必ずしも「能力が高い」ことではありません。

見方によっては、「言われた事・学んだ事を理解する能力に長けている」事を示すに過ぎないかもしれません。

山口は「理解力に非常に長けている」だけではなく、日本海軍で「山口独自の才能」を開花させます。

「山口多聞を、開成の方はご存知かな?」と思い、開成卒の親友に聞いてみました。

歴史に非常に詳しい彼は「山口多聞は知っているが、開成卒とは知らなかった」とのことでした。

「開成では優れた卒業生の一人として教えているのかも」と思いましたが、そうではありませんでした。

僕(武蔵卒)は開成が羨ましい。

麻布・武蔵などの出身者にも、優れた軍人はいるかもしれません。

山口多聞と比較しては、たいていの方は「遥かに見劣りがする存在」となります。

開成出身は、質実剛健で、良い意味で「真面目」な方が多いです。

僕はそういう開成出身者には、好感を持っています。

開成は、昔から運動会が有名です。

「棒倒し」で熾烈な争いをすることを、僕は中高生の頃に聞いていました。

普通の学校の体育祭・運動会はそこまで燃えませんから、

いやはや、
すごいな・・・

と思いました。

「頭脳だけではなく、身体がともなってこそ」という開成の幅広い教育理念が込められています。

「優しそうな表情」の山口は、大変な大食漢で行動力も際立っていました。

まさに「開成の良いところを全て集めた」かのような山口多聞。

「開成の教育理念の鏡」であり、「開成の永遠に輝く星」と言って良いでしょう。

開成卒の方には、ぜひこの機会に「開成卒の山口多聞」を知って頂き、誇りに思って欲しいです。

そして、開成中学志望の中学受験生の君。

君には、

僕には、
非常に優れた山口多聞がついている・・・

と考えましょう。

合格の可能性が大きく上がるでしょう。

次回は、山口の若き日々から考えてゆきます。

次回は上記リンクです。

新教育紀行

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