ヘンリー・スティムソン 7〜天皇と陸軍・大元帥・大本営・昭和天皇・東條英機〜|陸軍長官

前回は「ヘンリー・スティムソン 6〜大統領と総理大臣・ルーズベルト・近衛文麿〜」の話でした。

ヘンリー・スティムソン陸軍長官(Wikipedia)
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大日本帝国の天皇

昭和天皇(Wikipedia)

第二次世界大戦で敗北し、米国・連合国に降伏した日本。

日本の憲法は、米国によって大きく塗り替えられました。

今も昔も存在する天皇(陛下)。

第二次世界大戦の昭和期に天皇であった昭和天皇。

戦前の第二次世界大戦までの天皇の立場は、現代とは全く異なる位置にいました。

天皇の下に政府があり、総理は「日本政府の運営者」に過ぎなかったのです。

現代でも天皇(陛下)の存在は、極めて大きいですが、天皇は「象徴」とされています。

現代では、外国に対する日本の最高意思決定者は、明確に内閣総理大臣です。

ところが、当時の大日本帝国を代表するのは、総理大臣ではなく天皇だったのです。

大元帥・天皇

大本営組織図(歴史人2019年9月号別冊 KKベストセラーズ)

上の図は「大本営」の組織図です。

大本営とは、戦時中に作られた「戦争に対応する組織」です。

大元帥って
書いてあるけど・・・

聞いたことないわ。

この「大元帥」こそが、日本軍の根幹でした。

政府の代表者である天皇は、「同時に大元帥でもある」存在でした。

そして、その大元帥に直属する組織に、大本営=日本陸海軍があったのです。

つまり、政府の上にいる天皇が同時に「大元帥」であり、大日本帝国の陸海軍を統帥・統括していたのでした。

日米開戦時の政府主要ポスト(図説 日米開戦への道 平塚敏克著 河出書房新社)

そのため、陸軍大臣と参謀総長は「どちらが立場が上か」に関しては、「答えがない」のです。

日米開戦時の陸軍主要ポスト(図説 日米開戦への道 平塚敏克著 河出書房新社)

「日本政府(内閣)の中にいる陸軍大臣」と「大本営の陸軍の中にいる参謀総長」は、「比較のしようがない」のです。

この組織図によると、「首相と参謀総長は同格」とも取れます。

東條総理の陸相兼任

東條 英機 内閣総理大臣(WIkipedia)

ここに、東條総理の陸相兼任の理由があります。

少なくとも、政府内の陸軍は、
ワシが押さえねば!

前陸軍大臣として、「陸軍の大物」だった東條総理。

しかし、どこでも「派閥」があるため、「反東條」の一派もいました。

ワシには、
陸軍内に敵が沢山いる・・・

「陸相不在」で近衛内閣倒閣した張本人の東條総理。

近衛 文麿 前内閣総理大臣(Wikipedia)

私が陸相を兼任すれば、
「陸相不在」はない!

これこそが、「東條陸相兼務」の最大の理由であり、日本特有の事情でした。

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