第一志望校の最終決定と模試の合格判定〜第一志望校合格の期待値「未来期待値」・合格判定が厳しい時・期待値の概念と宝くじ〜|中学受験・高校受験・大学受験

前回は「模試の合格判定と合格可能性への考え方〜厳しい判定の時・合格可能性の信憑性と確率の考え方・合格へ向かう大事な気持ち・合格判定は一つの指標〜」の話でした。

目次

第一志望校の最終決定と模試の合格判定

新教育紀行
公園の桜(新教育紀行)

今回は「第一志望校の最終決定と模試の合格判定」に関する話です。

中学受験・高校受験・大学受験のいずれにしても「受験校が一つ」という方は少ないと思います。

そのため、「ある学校のみを対象とした模試」以外では、複数の学校の合格判定が出るでしょう。

志望校は第二志望校・第三志望校も大事ですが、なんといっても大事なのは第一志望校です。

そして、基本的には「第一志望校が最もレベルが(偏差値が)高い」学校となるでしょう。

そこで、模試の合格判定によって「第一志望校決定に迷っている」方向けの話です。

中学受験の話を軸にしますが、内容は高校受験・大学受験も同一です。

第一志望校はA中学で
一生懸命頑張ってきたけど・・・

11月の模試では、合格判定が
今ひとつで、B判定(60〜80%)だった・・・

A判定(80%以上)欲しかったけど、
B判定だと合格できるのかな・・・

「A判定」だと「合格確実」という感じで、とても嬉しくなります。

合格判定の方向性

・A判定:合格可能性80%以上

・B判定:合格可能性60〜80%程度

・C判定:合格可能性40〜60%程度

・D判定:合格可能性20〜40%程度

・E判定:合格可能性20%以下

「A判定=80%以上」の解釈は文字通り「以上」ですが、成績で「大体の可能性」が分かります。

対して「B判定以下」だと、誰しも多少はテンションが下がるでしょう。

「もう少しでA判定」のB判定もあれば、「もう少しでC判定」のB判定もあります。

いずれにしても、模試と本試験の「違い」を考慮しても、「合格可能性が低い」と、

合格できるのかどうか、
不安・・・

誰しも不安になるのが当然です。

ここで、「B判定は大丈夫」と考えるのが一つの基準になると考えます。

この考え方は、僕自身が大学受験を控えた高校生の時には「思っていなかった」ことです。

その後、家庭教師や塾での仕事、あるいは様々な人生経験を経て感じたことをご紹介しています。

僕が家庭教師をしたYくんは「A判定が一度も出なかった」のに、20年以上前に武蔵中に合格しました。

他にも様々な経験がある中、「合格判定と本試験の結果」には「ある考え」があります。

「試験を受ける側」の受験生は、「受ける側」の思考になります。

これは仕方ないことですが、「試験を課す側=塾・予備校側」のスタンスで考えてみましょう。

勉強で忙しすぎる受験生は、

「試験を課す側=塾・予備校側」のスタンスなんて
考えている余裕ないけど・・・

でしょうから、その場合は本記事を親の方がお読みなら、親の方にイメージして頂きたいと思います。

「試験を課す側=塾・予備校側」のスタンスとしては、どうしても「判定を厳しめ」にする必要があります。

安易に「高い判定」を出してしまうと、

なんで、A判定ばかりだったのに、
うちの子は本試験で落ちたのだろう・・・

あの模試の合格判定は
当てにならないんじゃないか?

という声が上がってしまいます。

「合格判定を出す」ことは、その「受験生の未来を左右する」可能性があります。

そこで、「試験を課す側=塾・予備校側」としては、

判定は「やや厳しめ」くらいが
ちょうどいいだろう・・・

合格しそうな子に対しても、
少し低い判定を出せば、油断しないだろう・・・

試験に限らず、何事も「本番で油断したら終わり」の傾向があります。

このような「試験を課す側=塾・予備校側」のスタンスを考えるとき、

ま、B判定なら「合格する」ってこと
だな・・・

と強い意志を持つのが良さそうです。

「B判定より下」の方は「よく考える」必要がありますが、ぜひ続きを読んで下さい。

期待値の概念と宝くじ

新教育紀行
武蔵中学・高校のかつての校舎:物理教室付近(新教育紀行)

ここで、少し横道にそれて「期待値」の話をします。

合格判定とは「関係ない話」ですが、後で「関係ある話」になります。

期待値

確率変数が取る様々な値を、確率によって重み付けした平均値

意味
わからないけど・・・

「期待値」は理系の高校生が学ぶ内容ですが、身近な例の「宝くじ」で考えます。

当選金額当選確率
10億円1/1000万
5000万円1/100万
300円1/10
架空の宝くじの当選金額と当選確率

上のような「300円で購入する架空の宝くじ」を考えます。

ここでは簡易的に「3つの当選金額」と考えます。

300円で「10億円、5000万円、300円」が当選するかもしれない宝くじです。

この宝くじを「購入するかどうか」は個々人の判断ですが、数学的に考えるのが「期待値」です。

ここでは、「当選金額と当選確率を掛けて、当選する期待金額(期待値)」を考えましょう。

当選金額当選確率期待値
10億円x1/1000万=100円
5000万円x1/100万=50円
300円x1/10=30円
架空の宝くじの当選金額と当選確率

宝くじを購入した際の「当選するかもしれない期待金額=100+50+30=180円」となります。

宝くじと期待値

・購入金額 300円> 期待値 180円で、購入金額の方が高い

・「300円投入すると、おおむね180円戻ってくる」であろうという結果

つまり、「300円で購入したら、数学的には180円戻ってくるのが期待される」ことになります。

ただし、上の例は「10億円」が含まれていて、「期待値を釣り上げている」のがポイントです。

「1等10億円」が当選することは「ほとんどない」です。

そのため、現実的には「戻ってくるお金」はだいぶ少なくなります。

現実は「300円の宝くじ10個=3000円買ったら、当選金額は300円だった」ということが多いです。

ということは、
「損する」ってこと?

「損する可能性が高い」のですが、「10億円当たるかもしれない」のが宝くじです。

上の例は簡易な例ですが、「期待値が購入金額より高い」宝くじはありません。

それは、「宝くじを運営する側が損する」ことになるからです。

このように、実社会のことを「数学的に考えられる」のも数学・算数の楽しいところです。

でもさ、結局「買うか買わないか」は
本人の判断だよね・・・

最終的に「判断を下す」のは人間であり、算数や数学は「補佐役」です。

でも、こうして考えるのは
面白いね!

宝くじのことが
少し分かった気がする!

第一志望校合格の期待値「未来期待値」:合格判定が厳しい時の考え方

新教育紀行
武蔵中学・高校内のすすぎ川(新教育紀行)

今度は「第一志望校合格の未来期待値」を考えてみましょう。

この「第一志望校合格の未来期待値」という言葉は、僕が勝手に作った造語です。

似たような言葉は、あるかもしれません。

第一志望校合格の未来期待値:数学的定義

受験生の未来に対する期待値(こと)を、合格判定によって重み付けした平均値

少し数学的に「第一志望校合格の未来期待値」を定義すると上のようになります。

もう少し簡単にすると、

第一志望校合格の未来期待値:簡単な定義

受験生の未来に対する期待値と合格判定(可能性)の掛け算

となります。

ここで「未来期待値」として「何を数値化するか」が非常に大事なポイントです。

算数・数学的に考えるためには、「何かのことを数値化する」必要があります。

その「こと」に対して「宝くじの購入金額」に「相当するものは何か」によって話は変わります。

宝くじ同様に考えると、受験生にとっては「受験に対して投入すること」となります。

例えば、中学受験生の場合は「投入する(した)こと」には下記が含まれるでしょう。

中学受験生が投入する(した)こと

・自分の時間(受験しなかったら、色々行ったり遊べたり出来た時間)

・自分の様々な精神的影響(模試とかが大変)

・親の時間(子どもを迎えに行ったり、様々調べたりする時間)

・親が塾などに支払ったお金

上のように、中学受験は「受験生当人だけでなく、親も大変」なのが実態です。

「家庭の経済力と教育格差」に関して、武蔵中が出題したことがあります。

この「家庭の経済力と教育格差」は極めて大事な問題です。

ところが、特に小学生は「親のこと」までは、なかなか考えは及ばないでしょう。

親も大変だけどさ、
僕が一番大変だよ・・・

でも、お母さんが心配してくれて、
大変そう・・・

ここで、考え方は「それぞれの方次第」ですが、仮に「自分のこと」を中心に考えましょう。

「親の時間的・金銭的負担」も大事ですが、まずはシンプルに考えましょう。

中学受験生が投入する(した)こと

自分の時間(受験しなかったら、色々行ったり遊べたり出来た時間)

・自分の様々な精神的影響(模試とかが大変)

・親の時間(子どもを迎えに行ったり、様々調べたりする時間)

・親が塾などに支払ったお金

「自分の精神的負担」もありますが、なんといっても大事なのは「時間」です。

時間は「決して戻らない、最も大事なこと(財産)」です。

中学受験に対して、投入した時間を大まかに考えてみましょう。

「いつから中学受験の準備を始めたか」によりますが、最近は小三くらいから塾へ行くかたが多いです。

小学校六年生は受験生にとって、「かなりの時間とエネルギーを投入」するでしょう。

学校へ通う時間も多いですが、小六の受験生は「半分以上の時間が受験へ」という感じでしょう。

小学校六年間365日x6年間=2190日のうち、「どの程度を中学受験に投入したか」です。

それらをトータルして、仮に「400日分の時間・エネルギーを投入した」と考えます。

もっと多い人、少ない人、様々いらっしゃると思います。

考え方によっては、ここに「親の負担」を含めて20〜30%増加しても良いでしょう。

この「小学校の400日」は大変貴重で、他に色々何かが出来たかも知れません。

対して、第一志望校に合格する「未来期待値」は、どのようになるでしょうか。

中高一貫校だと、六年間:365日x6年間=2190日を過ごすことになります。

「小学生の時間」と「中高生の時間」を比較することは、大変困難な側面があります。

また、「どの学校へ通っても同じ時間を過ごす」ことになるので「時間は不変」となります。

ここで、「第一志望校へかける自分の思い」を考えてみましょう。

自分が第一志望校に合格したら「6年間=2190日の時間」が「自分にとってどの位アップするか」です。

そうだね・・・
20%くらいは楽しくなりそう!

こう考えると「2190日 x 20%=438日」分、第一志望校に合格すると「アップする人生・時間」となります。

この時、合格判定が60%だと考えましょう。

アップする人生・時間合格可能性未来期待値
438日x60%=262.8日
未来期待値の考え方(新教育紀行)

こう考えると、「未来期待値(時間) 262.8日 < 投入した時間 400日」となってしまいます。

う〜ん、
じゃ、「割に合わない」のかな・・・

第一志望校変えた方が
良いってこと?

ここからは考え方次第ですが、「第一志望校に合格したら、もっと楽しい人生になる」と考えましょう。

自分が第一志望校に合格したら「6年間=2190日の時間」が「40%アップ」すると考えます。

こう考えると「2190日 x 40%=876日」分、第一志望校に合格すると「アップする人生・時間」となります。

アップする人生・時間合格可能性未来期待値
876日x60%=525.6日
未来期待値の考え方(新教育紀行)

こう考えると、「未来期待値(時間)525.6日 > 投入した時間 400日」となります。

これなら、合格可能性60%でも、
思い切り未来が楽しそうだから、やってみる価値あるね!

私もX中学合格したら、とっても
楽しい中高生になるから、同じ感じで考えられそう!

これは「一例」であり、現実としては「未来期待値(時間)」という概念自体が曖昧です。

合格判定の「確らしさ」には様々な意見があります、考え方も様々です。

対して、受験生の未来が変わる「第一志望校決定」は、このように「本人の未来」を考えると良いでしょう。

合格判定・合格可能性が「少し厳しい」方も、

少し厳しいけど、絶対Y中学行きたいから、
未来を考えてぜひ!

と思うなら、最後まで一生懸命やってみましょう。

このように「計算」する必要はないかも知れませんが、感覚的に「合格したら未来が楽しい!」と思うこと。

そのような前向きな姿勢は、受験突破において大変重要な姿勢だと考えます。

新教育紀行

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