歴史の知識・記述対策〜徳川幕府から新政府へ 1:幕藩体制の実態・独立国家・藩札・島津久光・大久保利通・木戸孝允〜|中学受験・社会

前回は「暗記が得意になる勉強法〜効率的に暗記・「暗記は苦手」から「暗記は得意」に・「歴史の時間」を実感・人間模様をイメージ・人物像を思い浮かべる姿勢・歴史は個性的人物たちが織りなす物語〜」の話でした。

目次

歴史の流れを知る大事さ

大蔵卿 大久保利通(国立国会図書館)

今回は歴史の流れを知って、知識を深めて暗記・記述問題の対策とする話です。

「徳川幕府と幕藩体制」に関する話です。

明治維新を成し遂げた新政府。

藩を無くさなければ、
近代日本はつくれない・・・

諸藩の持つ権限が強すぎて、
新政府の権力が小さすぎる・・・

特に政治を主導していた薩摩・大久保利通と長州・木戸孝允の「廃藩への思い」は強かったのです。

徳川時代の各藩は、徳川幕府の支配下にありました。

徳川幕府末期以前、幕府の勢力が強い時は「幕府の命令を聞かなければならない」立場でした。

ところが、各藩における政治・経済に関しては、各藩ごとの藩主に裁量権がありました。

参勤交代のために各藩が設置していた江戸藩邸(上・中・下屋敷)。

藩邸は「幕府といえども簡単には侵入できない領域」でした。

土佐脱藩藩士 坂本龍馬(Wikipedia)

龍馬・中岡が土佐藩邸にいれば
暗殺されずに済んだのでは・・・

という声もあります。

坂本龍馬・中岡慎太郎が暗殺された際は、彼らは土佐藩邸から目と鼻の先でした。

むしろ、「土佐藩邸の目の前」の一軒家にいたのです。

土佐藩邸には多くの土佐藩士・武士がいるため強力な防衛力を持ちます。

そして、権限上も「侵入すること」は極めて困難です。

坂本龍馬と「たまたま同席した」と言われる中岡慎太郎。(真相は不明です)

彼ら二人が土佐藩邸にいたならば、犯人が誰であっても「坂本龍馬を暗殺」することは不可能です。

ただ一つの例外は、「土佐藩内部の人物が暗殺者」であることでしょう。

独自の通貨「藩札」と独立国家

参議 木戸孝允(国立国会図書館)

いわば、各藩の藩邸は徳川幕府に対して治外法権を持っていた状況でもあり、各藩は独立国家のような形でもありました。

この政治・行政システムも重要ですが、同様に重要な存在が各藩発行の「藩札」です。

「藩札」は「ある藩が発行した紙幣」で、その時々で価値が変わりますが取引上有効なお金です。

徳川時代は幕府が正式に認める金・銀・銭以外に藩札があり、藩札の種類は非常に多かったのです。

色々なお金があっては、管理するのは非常に大変です。

維新新政府の政治家たちは考えます。

お金の種類が多いと、分からなくなってしまう。
管理するのが大変すぎる。

徳川幕府はどうやって管理していたんだ?
管理できないで「市場原理に任せていた」だけではないのか?

シンプルにしないと、
近代国家にならない!

政治・行政からお金などの経済システムに至るまでシンプルに!
全て「新政府直轄の管理」にしなければ。

藩は全て無くして、全ては政府直轄の中央集権化。
これを断行する!

廃藩への猛烈な反対者:島津久光

島津国父 島津久光(斉彬の異母弟)(Wikipedia)

「時代の流れ」を感じていた藩主の多くは、

それは、
分かっているのだが・・・

という立場でした。

特に「廃藩」の新政府の方針に当初から猛烈に反対している、非常に厄介な人物がいました。

廃藩なんて、
あり得ない!

おい、
一蔵!

「利通」なんて勿体ぶった 名前に変えたが、
お前は大久保「一蔵」だろう!

この人物の怒りは、全く収まる気配がありません。

一蔵!

一蔵よ、
お前一体何考えているんだ!

お前は、
私の家臣だろう!

その方は、西郷隆盛や大久保利通にとって「かつての主人」であった島津久光だったのです。

新教育紀行

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