「暗記はどこまで?」という不安〜問題解きながら知識アップ・覚えるべき暗記の範囲・「性質」などグループ分けのイメージ・「ここまでは出来ている」という暗記に前向きな姿勢〜|中学受験・高校受験・大学受験

前回は「記述の書き方とコツ〜模範解答例に対する姿勢・模範解答例を作成するプロと小学生・「正しい一つの解答」より大事な「考える姿勢」〜」の話でした。

目次

覚えるべき暗記の範囲:「性質」などグループ分けのイメージ

新教育紀行
水溶液の性質(新教育紀行)

男子難関校志望の小学校6年生Nさんの親から、ご質問を頂きました。

質問

息子が東京都内難関校を志望しています。

理科や社会で、様々な暗記問題があって、「どこまで覚えるべきか」を悩んでいます。

塾のテキストに記載されていることは全て覚える位でないと、合格は難しいのでしょうか。

ご質問頂き、有難う御座います。

「暗記の範囲」に関しては、誰しも非常に悩ましいです。

「暗記」に関しては、資格試験も含めて全ての受験が対象ですが、具体的に中学受験で考えます。

時々、非常に細かい知識を問う問題があることもあり、「どこまで覚えれば・・・」と不安になります。

上のような水溶液の性質では「酸性・アルカリ性・中性」をある程度覚える必要があります。

上の水溶液たちは「中学受験の基本」であり、まずは「しっかり覚える」ことが大事です。

うん!これは全部、
語呂合わせで丸暗記した!

「語呂合わせ」等で丸暗記も良いかもしれませんが、性質を丸暗記しても解けない問題があります。

例えば、

下記の水溶液から、
酸性の水溶液を答えなさい。

という単純な問題は「丸暗記」で解けるでしょう。

一方で、これらの性質は理科実験を元に考える問題なども出題される傾向があります。

A,B,Dの水溶液を青色リトマス紙に付けると
リトマス紙は赤くなりました・・・

など、いくつかの実験をする場合も「丸暗記」である程度対応できます。

この時、それぞれの「性質のイメージ」を自分なりに理解しておくと解きやすいでしょう。

新教育紀行
水溶液の性質(新教育紀行)

「アンモニア水」と聞くと「臭う」イメージがありますが、あまり強い液体のイメージはなさそうです。

化ナトリウムはという言葉が入っていますが、硫や塩のように強いイメージではないです。

「性質が同じ」ということは、文字通り「似た性質がある」ことで「お友達」です。

新教育紀行
水溶液の性質(新教育紀行)

何かのグループ分けがある時は、「グループ分けされる理由がある」と考えると良いでしょう。

でもさ、結局覚えなければ
ならないんでしょ・・・

覚えるべき範囲は
参考書全部なのかな?

こうした性質などの問題では「燃えるか、燃えないか」や「水に溶ける、溶けない」などもあります。

たくさんありすぎて、
参考書の表を全部覚えるの無理!

何種類も性質があって、
混乱する時がある・・・

様々な性質に対して、自分なりに「グループ分け」のイメージを持って理解しましょう。

そして、「一気に全部覚える」ではなく、少しずつ覚えてゆくと良いでしょう。

「暗記はどこまで?」という不安:問題解きながら知識アップ

平城京:1/1000模型(Wikipedia)

暗記の問題は、かなり難易度が高いと思われる出題が見受けられます。

開成中などでは、非常に細かな知識が選択肢にあることがあります。

f:id:Yoshitaka77:20211210160015j:plain
開成中2020年社会

この問4だけでも、租庸調・国司・平城京・朱雀大路と専門用語が並びます。

国司・平城京は「基本知識」として良いでしょう。

一方で、「租庸調の具体的内容」や「朱雀大路」をしっかり知っているのは、難易度が高いです。

こういう時は、合理的に「絞ってゆく」考え方をご紹介しました。

f:id:Yoshitaka77:20211210160309j:plain
開成中2020年社会

こういう過去問を解いていて、

調ではなく、
租だったんだ・・・

租庸調の知識が
中途半端だった・・・

と考えない方が良いでしょう。

租庸調を知っていても、「租・庸・調それぞれ何か?」を知っている方は非常に少ないでしょう。

さらに、「それらの税率は?」という問いは大学受験レベル〜ではないでしょうか。

このような時、

問題を解いたら、知識が足りないから
参考書を丸暗記しよう!

と「考えない」ことが大事です。

これらの細かな知識は「問題を解きながら知識アップ」という姿勢が良いでしょう。

細かな知識アップの学び

・基本事項を押さえて上で、問題を解きながら細かな知識アップ

・「参考書に戻って丸ごと覚える」ではなく、少しずつ覚える姿勢

答えを読んで、「稲の約3%は租」とあったら、

あっ、
そうなんだ。

位が良いでしょう。

出来れば、

折角だから、
「稲の約3%は租」と覚えておこう!

と「少しずつ難しいことも理解」する姿勢が良いでしょう。

「ここまでは出来ている」という暗記に前向きな姿勢

平城京(奈良県)

この問題の正しい答えウの朱雀大路

大極殿から羅城門へ通じる、平城京のメインストリートである朱雀大路は、有名です。

有名ですが、この細かい知識を「小学生に問うべき問題か」は議論があるでしょう。

こういう暗記問題に取り組む時は、「全て覚えよう」と考えないことです。

時々、細かな知識が出てきたら、

出来れば
覚えておこう!

と考えて、単語だけ丸暗記ではなく、テキスト・参考書などで、上のような地図を見ると良いでしょう。

朱雀路は、名前の通り「きな通り(路)」で、平城京を南北にズバッと貫きていました。

羅城門から朱雀門まで、非常に太く広い大通りがありました。

こういう広い通りが
平城京の中心だったんだね!

こういうことを知りながら問題を振り返ると、暗記がはかどる傾向があります。

地図や写真があると、

朱雀大路って、
こんな感じなんだ・・・

イメージが湧いて、頭に入りやすいです。

テキストでなかったらネット等で探せば見つかることもあるので、自分で探すか、親に頼みましょう。

ただ、「時間がない」受験生なので、

ねえ、ちょっと
朱雀大路の地図とか探しといて。

じゃ、ママが
ちょっと探してみるね。

親の方もぜひ、子どもと一緒に探してみると良いでしょう。

「全部覚えよう!」と考えると、無理が出てきます。

実際には、試験では全部できる必要がなく「70%ほど出来れば合格」です。

その「合格者が70%ほど出来る対象の問題」は、まずは「多くの方ができる問題」です。

それらの基本的問題は「覚える必要がある」ですが、難易度が高い問題は「少しずつ」にしましょう。

ここで、「合格目指す」時は「75%ほどを獲得できるように」と狙うのが良いでしょう。

志望校のレベルによりますが、「暗記の75%出来る」のは困難な場合があります。

この問題の75%が
出来るようにならなければならないの・・・

実際には「75%出来る=3/4出来る」なので、「1/4=4問に1問は出来なくても合格!」と考えましょう。

合格目指す暗記問題

・「とにかく参考書や問題集を全部覚える」ではなく、基本から少しずつ

・志望校レベルの出題の3/4の確保=4問に1問は出来なくてもOK

子どもたちの得意・不得意もあり、それもまた個性でしょう。

「得意科目・分野」であれば、出来るだけ覚えるようにしましょう。

そして、「不得意科目・分野」は、

ここまでは
覚えるようにしよう!

と考えて、

ここまで覚えれば
大丈夫!

と前向きな姿勢の方が良いでしょう。

新教育紀行

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