社会・歴史の勉強のコツ・ポイント〜イメージすることを楽しむ・「出来ない」から「出来る」へ・一次資料と歴史的事実・歴史の事実とイメージ・一次資料と二次資料・正しい歴史と資料・学習まんがとイメージ〜|中学受験・社会・歴史

前回は「来年の中学受験へ〜麻布中学の入試問題から〜」の話でした。

目次

イメージすることを楽しむ:「出来ない」から「出来る」へ

明治維新の立役者たち:左上から時計回りに木戸孝允、岩倉具視、大久保利通、西郷隆盛(Wikipedia)

算数でも理科でも社会でも、イメージすることが大切です。

イメージする、
って難しい・・・

何か
想像力が必要なのかしら?

歴史の話をご紹介する際、人物に吹き出しで説明しています。

様々な「考えていたこと」「言ったであろうこと」を想像して、ご紹介しています。

例えば、大久保や木戸が廃藩置県を考えていた頃、

お金の種類が多いと、分からなくなってしまう。
管理するのが大変すぎる。

徳川幕府は、
どうやって管理していたんだ?

というか、管理できないで、
「市場原理に任せていた」だけではないのか?

シンプルにしないと、
近代国家にならない!

政治・行政からお金などの
経済システムに至るまでシンプルに!

全て「新政府直轄の管理」に
しなければ!

藩は全て無くして、全ては政府直轄の中央集権化。
これを断行する!

という感じです。

これは「僕の解釈」であり、歴史的事実との整合性は「ある程度ある」でしょう。

一方で「誰が何を言ったのか?」「誰が何を考えていたのか?」は必ずしも確実ではありません。

「記録に残っている」こともありますが、その記録が「どこまで正しいか」は不透明な部分があります。

また、「誰が何を言ったのか?」はオフレコである場合も多く、記録に残りにくいケースもあります。

その中で、上記のように、「誰が何を言ったのか?」を想像して楽しんでみましょう。

歴史の事実とイメージ:一次資料と二次資料

戦国大名 織田信長(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

歴史は、「ある程度の事実」があります。

一方で、その背景・真実は「分からない」や「真相は闇」ということも多いです。

「誰が何を言ったか・考えていたのか」は、記録に残っていること・ないこと、様々です。

少し専門的な話になりますが、歴史家・歴史の専門家の方は、資料を信用性によって分類します。

例えば、ある出来事を資料から読み解く時に、「一次資料と二次資料」に分類します。

歴史の資料

一次資料:ある出来事と同時代、少し後に作成され、当事者・事情をよく知っている者が作成した文書・絵巻物等。

二次資料:ある出来事から大分後に作成され、事情をどこまで知っているか不明な人物が作成した文書・絵巻物等。

場合によっては、「二次資料よりも信頼性が劣る」三次資料もあるでしょう。

いずれにしても、「歴史的事実は一次資料による」のが学術会では基本姿勢となっています。

例えば、織田信長の人生を描いた「信長公記」(太田牛一・著)があります。

「信長公記」は、信長の家臣であった太田牛一が書いた資料です。

この内容は、「信長と同時代に近くにいた人物」しか知り得ない・書き得ないことが多数記載されています。

信長公記(Wikipedia)

そこで、「信長公記」は信用性が非常に高く、一次資料として扱われます。

織田信長を研究する際には、この「信長公記」が基礎になります。

織田信長の時代は450年ほど前なので、「貴重な資料が少ない」のは仕方ないことです。

先ほどの、廃藩置県は戦国時代よりも「遥かに近い過去」なので、良質な資料がたくさんあります。

実際に、大久保利通・木戸孝允は、詳細な日記を残しています。

それらの日記を、一次資料として読み解くことが出来ます。

こうした一次資料をもとに、歴史は構成されてゆきます。

資料から「正確な歴史・正しい歴史」を緻密に分析して、「日本の歴史」「世界の歴史」が作られます。

日本の歴史は、世界の歴史と密接につながりがあるので、

本来は、「日本史」と「世界史」を
分けるべきではない。

という意見もあり、僕も同感です。

小学校〜高校の教育・受験において「日本史」「世界史」は別なので、この分類を前提として考えます。

非常に信頼性の高い一次資料。

ところが、これら一次資料の中でも注意すべき点があります。

正しい歴史と資料:学習まんがとイメージ

内務卿 大久保利通(国立国会図書館)

例えば、大久保利通の日記があります。

大久保はこの日記の中で、かなり正直に「自らの考え・思い」を吐露しています。

ここに描かれていることは、「明治新政府の中心人物・大久保だから知り得ること」も多いでしょう。

一方で、それらの事実は「大久保の視点で描かれている」ことになります。

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参議 ・司法卿 江藤新平(国立国会図書館)

明治新政府は当初から「内輪揉め」が続きました。

いわゆる「征韓論争」で西郷隆盛・江藤新平・後藤象二郎が一斉に下野しました。

こんなに勝手な連中と
政治なんかやってられるか!

怒り心頭の江藤は、故郷の佐賀へ戻ります。

江藤さん!
ここは立ち上がるべきです!

我らが立ち上がれば、
西郷隆盛もきっと立ち上がります!

佐賀と薩摩が
一緒に蜂起すれば、勝ち目があるな・・・

ところが、思惑が思い切り外れて、西郷は立ち上がりませんでした。

江藤どん・・・
反乱は良くなか・・・

この「佐賀の乱」の鎮圧に全権を持って乗り込んだのが、大久保内務卿でした。

おいどんが最前線で全てを
指揮する!

賊 江藤を
叩き潰せ!

こんな
はずでは・・・

大久保が乗り込んで「佐賀の乱」は、即座に鎮圧されました。

江藤を形式的に裁判にかけ、
すぐ処刑せよ!

ちょ、ちょっと
待ってくれ!

もともと憎み合っていた大久保と江藤。

大久保は、ここぞとばかり江藤を一気に処刑しましたが、明らかに「やりすぎ」でした。

この後、大久保は日記にこう書いています。

江藤、
醜態笑止なり!

このように、大久保は「かなり極端な性格と思考性」の人物です。

「大久保の考え」あるいは「大久保の視点」によって、多少なりとも実像は歪められます。

つまり、「大久保利通の視点というフィルターを通して」考えた「事実」となります。

「本当の事実は何か?」に対しては、「一次資料に依拠している」場合でも「諸説ある」ことも多いのです。

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学習まんが「日本の歴史)(集英社)

学習まんがでは、これらを著者・編集者が「解釈して描いている」のです。

まんがで「誰が何を言ったか」を、楽しみながら読んでみましょう。

西郷隆盛が
〜と言っている・・・

勝海舟が
〜と言っているけど・・・

そうすると、それぞれの個性がなんとなく分かってきて、楽しくなるでしょう。

理科でも算数でも、「自分なりに」考えてみて、それを楽しみながら勉強してみましょう。

するとと、楽しくなって学力が上がるでしょう。

「自分なり」は自由です。

自分なりに考えるのは、
ちょっと大変だよ・・・

その時は、学習まんが・参考書でも「書いてあること」を参考にしましょう。

そして、イメージを膨らましてみながら、学んでみるをやってみましょう。

そういう姿勢ができることは、非常に良いことです。

楽しく学びながら、少しずつ・着実に学力上がるのを実感してみましょう。

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