前回は「選択問題・記述問題を具体的にイメージして解くコツ〜全否定する選択肢は✖️・国家と国土を管理する国交省〜」の話でした。
現在の日本を考える:「他の国の人々からどのように見られている」か
hs09MSS1990_01ts
今回は、1990年の武蔵中学の社会の問題を考えてみましょう。
筆者が、原題に問4〜問6を追加しています。
原題は、問1〜3及び問7〜10の合計7問であり、この問題は筆者が受験した時の問題です。
久しぶりにこの問題を見ましたが、まさに「武蔵中ど真ん中」の問題です。
記述のみで、選択肢はなしです。
問1のように「単語・言葉を答える」問題はありますが、基本的に全て「自分で答案を作る」形式です。
武蔵中・麻布中などの記述が多い学校を志望校とする方には、大いに参考になるでしょう。
選択肢が多い中学校志望の方には、あまり参考にならないかもしれません。
一方で、「海外の著名人が日本の近現代史をどう見ているか」を考えること。
それは、極めて重要なことであると考えます。
この問題は、「インドのネルー首相から見た本音の日本像」が描かれています。
インドを英国(大英帝国)から独立に導いた政治指導者およびインド初代首相のネルー。
ガンディーの方が有名かもしれませんが、ネルーもガンディーと共に独立を戦い抜きました。
この問題で、最も面白いのは問10(原題では問7)です。
現在の日本は、他の国の人々からどのように見られていると
あなたは思いますか。
と、入試問題で受験生たちに尋ねています。
この「日本がどう見られているか」の問題は、時期的な背景が非常に強いです。
出題された1990年は、日本の勢いが猛烈でした。
バブル絶頂期の日本を、世界中が驚愕の目で見ていた時代。
おいおい・・・
Japanの勢いは、いつまで続くんだ?
さあな。しかし、
いくら何でも、凄すぎるな・・・
上記リンクでは、この頃にちょうど大学生だった山崎直子と共に時代背景をご紹介しています。
後世の目から見れば「バブル崩壊直前」でしたが、当時は「バブル進行中」でした。
この問10は「この時代だからこそ問い」ですが、現代においても考えることは良いでしょう。
インド首相・ネルーの日本史への視点:大事件だった朝鮮侵攻
hs09MSS1990_21ts
この文章を読むと、日本人として嬉しいような、何とも言えない気持ちになります。
日本史を考えるとき、どうしても「日本人から見た日本」になってしまいます。
この時、「他国の人びとから見た日本」を考えることは、歴史への好奇心が湧くでしょう。
まず、問題文は二度読むようにしましょう。
一度だけだと「気づかなかった」や「読み飛ばしてしまった」ということがあります。
問題文を読みながら、自分が気になるところにアンダーラインや「丸で囲う」と良いでしょう。
・出題文は二度読んで、しっかり理解
・気になるところ・単語はアンダーラインや「丸で囲う」
ここで、大事なことはネルーが「刑務所から娘に書いた手紙」という点です。
なぜ、「刑務所の中から」が
大事なんだろう?
この「刑務所の中から娘へ」がなぜ大事なのか?を考えるのも良いでしょう。
この「なぜ大事なのか?」もまた、社会か国語の問題として出題されても良さそうです。
やっぱり娘さんが
相手だからかな・・・
なかなか「刑務所に入る」経験は持てませんが、少し想像してみましょう。
バリバリの高級官僚から「牢獄入り」を経験した後藤新平の話を上記リンクでご紹介しています。
刑務所に入ったら、誰しも寂しいし、苦しいでしょう。
この中、実の娘への手紙の中では「ネルーの本音が吐露されている」と考えられます。
hs09MSS1990_22ts
早速、「ネルーの日本に対する本音」を聞いてみましょう。
鎌倉幕府のことを知っているネルーは、さすがに勉強家です。
そして、「日本は中国のよく出来る弟子」に対しては、???という気持ちもあります。
「3人の人物」と唐突に、グループ化された人物たちが出てきます。
「3人の人物」って
誰だろう?
これは、ネルーが勝手に「3人の人物」と考えたのですが、ヒントがあるはずです。
「16世紀が終わるまでに」なので、「1500年代後半の話」で、話題は日本の戦国時代です。
ここで、
「3人の人物」って
信長、秀吉、家康だ!
と思いながら、問題文を読むと良いでしょう。
そして、秀吉による朝鮮侵略も記載している点も興味深いです。
「日本側の視点」では「文禄・慶長の役」と言われる、この戦い。
日本史上それほど大きく扱われず、「ちょっと秀吉が大陸・朝鮮へ侵攻して失敗」という感じです。
ところが、中国・朝鮮やインドからの視点からは、「極めて甚大な大事件」であったことが分かります。
こういう「様々な視点」を知ることは、歴史のみならず社会全体において非常に大事です。
次回からは、具体的に問1から考えてゆきましょう。
次回は上記リンクです。