前回は「男子御三家の肖像・開成中学〜開成卒の岸田首相の誕生・バブル景気後の混乱する日本・麻布の底力と多士済々の政治家たち・これからの日本の「御三家」とは・江戸から令和へ〜」の話でした。
1985年の各高校東大合格実績:主要大学合格者の実名掲載の時代

今回は、40年前の1985年の大学進学実績に関する話です。
先日、古書店を巡っていたら、

あっ、昔の大学合格者
速報号の雑誌だ・・・



懐かしいな・・・
昔は、こうして、大学合格ランキングが出て・・・



合格者の実名が
雑誌に掲載された時代だった・・・
偶然、1985年3月発売の週刊朝日「大学進学実績特集号」を発見しました。
懐かしさを感じて、価格も高くなかったこともあり、



懐かしいし、
昔の雑誌を見てみるのも面白いかも・・・
早速、この雑誌を購入しました。
筆者は1977年生まれですが、同年代の方なら、



そうそう・・・
昔は3月末に特集号出たね・・・



東大や京大の合格者の
実名が全て掲載された時代だね・・・
筆者同様に、ある種の懐かしさを感じると思います。
現代は、大学入試が終わった直後にネットで「各中学校の大学進学実績」が速報されます。
様々なサイトで、これらの情報が公開されていますが、主に「聞き取り調査」をしているようです。
当時も同様に「聞き取り調査」を行なっていたかもしれませんが、現代とだいぶ雰囲気が異なります。
それは、合格者数のみならず、主要大学の専攻別に合格者全員の実名・高校名が掲載されていたことです。



合格者全員の実名って
どうやって調べたの?



合格者数なら
分かるけど、実名掲載したの?
現代の小学生〜高校生にとっては、「前時代的」に感じるかもしれません。
現代ならば、個人情報保護法などに抵触する可能性もある実名掲載ですが、当時は「大らかな時代」でした。
この実名掲載は、2000年頃まで続いたように思います。



自分の名前が
掲載されたら嬉しい人もいるけど・・・



困る人も
いるかも・・・
法律の話は別として、「実名掲載」の是非に関しては様々な議論がありそうです。
いずれにしても、昔は実際に「合格者の実名掲載」が複数の週刊誌で行われ、サンデー毎日も有名でした。
40年前と今の各高校東大合格者ランキングの変化


この特集号の「大学進学実績コーナー」のページをめくると「胴上げ」の写真が掲載されています。



昔は、こうして
胴上げしたんだね・・・



合格した人が
嬉しそうだね・・・
コロナの影響もあり、例えば、2020年から東京大学では合格者発表の掲示を中止しています。
現在では、中学受験〜大学受験で「ネットのみの合格発表」も多くなりました。
ネットが全く一般的でなかった1990年代中頃までは、全ての受験で合格者掲示が行われていました。
この「胴上げ」も、今の小学生〜高校生から見れば、



ちょっと
昔っぽいね・・・



「前時代的」な感じが
するけど、活気があるね・・・



でも、私は「胴上げ」は
ちょっと困るかも・・・
いかにも「昭和的」で「前時代的」に感じる人も大勢いらっしゃるでしょう。
この雑誌が発刊された1985年は、まさに昭和のバブル経済真っ只中であり、日本中が活気に沸いていました。
この頃、筆者は小学生でしたが、この写真を見ると当時の「バブルの日本」を彷彿とさせます。


そして、ページをめくると、東京大学の各高校の合格実績が掲載されています。
この「各高校合格者ランキング」は、現在と似ている面も異なる面もあります。


具体的に、東京大学の各高校合格者ランキングを見てみましょう。
まずは、トップ10の高校を見てみましょう。
パッとみて、1位開成・2位灘・3位ラ・サール・・・と続きます。
2025年現在と似ている雰囲気もありますが、大きく異なる点があります。
ラ・サール、東学大付、武蔵の3校が、現在では合格実績を大きく落としています。
それに代わって、合格実績を大きく伸ばしている高校が聖光学院などです。
筆者が卒業した武蔵高校は、この頃はバリバリだった時代で「トップ10常連校」でした。
武蔵が、まさに「男子御三家の一角」としての存在感を発揮していた時代です。
武蔵の東大合格実績は、1985年には73名いたのが、2025年では23名です。
一学年の人数が10名ほど減少しましたが、東大合格者数は「1/3以下」となってしまった武蔵高校。
1990年代末から、武蔵は合格実績を大きく落とし、現在は20位を下回る状況が続いています。



武蔵は、大学進学実績が
だいぶ落ち込んだよね・・・
こんな声が2000年頃から聞こえるようになり、



武蔵は
凋落したな・・・
さらに「武蔵凋落」の声も聞こえ始めて20年以上。
凋落してから、ずいぶん時間が経過してしまったので、もはや「武蔵凋落」すら言われなくなりました。
「武蔵凋落」に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
3位ラ・サールは、1985年には117名だったのが、2025年では42名です。
他に目立つのが、東学大付で1985年には100名いたのが、2025年では21名です。
4位の東学大付は、筆者の時代にも多数の人が東大に在学していました。
「ガクツキ=学付」と略称される東学大付は、筑波大学附属と似た校風で、きちんとした人が多いです。
40年で、かなり大きく変わった高校もある大学進学実績。
今から40年後も、またこの「大学進学実績の風景」は変化するのでしょう。
次回も、各高校の大学進学実績の今昔を考えてみます。