前回は「40年前と今の各高校東大合格者ランキングの変化〜1985年の各高校東大合格実績・主要大学合格者の実名掲載の時代〜」の話でした。
1985年各高校東大進学実績の傾向:有用な「昨年比」データ

1985年3月発売の週刊朝日の大学進学実績特集号を、古書店で手に入れました。

昔は合格者の実名が、
雑誌に掲載された時代でした。
昭和から平成の半ばに入る頃は、主要大学の合格者が実名で雑誌に掲載された時代でした。
合格者の実名は、合格発表の掲示板に名前が掲載、あるいは各大学が公表していました。
合格者発表の掲示板には、合格者の受験番号と「カタカナの名前」だったようにも思います。
昔は東京大学は、東京大学新聞などで「合格者の名前」を公表していましたが、



どうやって、全合格者を各高校の在学生に
結びつけたのだろう・・・
おそらく、各雑誌社は各高校の在校生の名簿を手に入れて、データベースを持っていたと思われます。
個人情報保護法や社会の変化から、現在では見受けられなくなった合格者実名公表。
2000年=平成12年頃まで行われていましたが、どことなく昭和感が感じられます。
当時は、サンデー毎日や週刊朝日などが3月末頃に競って「大学進学実績特集号」を発刊しました。


順位 | 高校名 | 東大合格者数(1985年) |
1 | 開成 | 157 |
2 | 灘 | 121 |
3 | ラ・サール | 117 |
4 | 東学大付 | 100 |
5 | 麻布 | 82 |
6 | 武蔵 | 73 |
7 | 筑波大付駒場 | 72 |
8 | 栄光学園 | 62 |
9 | 県立浦和 | 61 |
10 | 筑波大付 | 59 |
トップ10のうち、開成、灘、麻布、栄光、筑駒などは、現在も健在です。
現在も上位校である県立浦和は、1985年当時も県立トップの位置にいました。
この1985年の週刊朝日のランキングで面白い点は、「昨年との比較」が掲載されている点です。
最近は、ネットで掲載されることが多い大学進学実績ですが、「本年のみ」が多いです。
上記のランキングでは右端に「昨年比」が掲載されており、「浮き沈み」が見て取れます。
トップ10の学校では、麻布、武蔵、筑駒が大きく昨年(前年=1984年)から下げています。
一方で、トップの開成は昨年(前年=1984年)から大きく上げています。
このように「昨年比」があるのは、データとして非常に分かりやすいと考えます。
40年間で大躍進した女子校の東大合格者数:時代の変化と学び


この特集号では、旧七帝大をはじめとする国公立大学を中心として、幅広く集計されています。
帝大に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
上記の1985年の東大合格者実績を見て、一つ大きな傾向があります。
それは、「女子校の合格者数が極めて少ない」事実です。
順位(1985年) | 高校名 | 東大合格者数(1985年) | 東大合格者数(2025年) |
28 | お茶女大付 | 21 | 5(2024年) |
28 | 桜蔭 | 21 | 52 |
1985年時点では、東大合格者数トップ50に女子校は、お茶女大付と桜蔭のみ入っています。
現在は上位常連校である女子御三家の女子学院、雙葉などはトップ50に入っていません。
現在でも、東大生の女子率は20%程度であり、極めて少ない状況となっています。
東大の女子率に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
この「東大に女子が異常に少ない」状況は、極めて不自然です。
この大きな理由は、日本社会における通念が大きく影響していると考えます。
現在は、進学実績を大きく落としてしまったお茶女大付は、桜蔭とタイで女子校を引っ張っていました。
ただし、「昨年比」のデータから、前年1984年は「お茶女大付6名、桜蔭32名」が分かります。
この前後の合格者データにもよりますが、



1985年の頃は、お茶女大付と
桜蔭が女子校トップである傾向が分かります。
ちょうどこの頃にお茶女大付高校に通っていたのが、山崎宇宙飛行士です。(上記リンク)
女子校の合格者数がこれだけ少ない事から、当時の東大の女子率はかなり少なかったことが分かります。
県立浦和、県立千葉、戸山、西などの共学校からも女子が合格していたと思われます。
全体の傾向から、これらの共学校でも「男子が多くの割合を占めていた」と思われます。
1985年から現在の「40年の歴史」の間に、東大合格者数で女子校が大躍進したことが分かります。
この「大躍進」は大変歓迎すべきことであり、女子校にはさらに頑張って欲しいと筆者は考えます。



物理が好きだから、
東大理一目指してみようかな!
東大や京大などの最難関大学に進学することは、「中高生の勉強の目的」ではないと考えます。
一方で、中高生は成績を上げるために一生懸命学ぶことが最も大事です。
日本の大学受験がペーパー試験に偏っているのは事実ですが、中高生は積極的に学んで、



英語をもっともっと頑張って、
成績を上げよう!



次の数学の試験で、
良い成績を取るぞ!
幅広く高い学力をつけるように頑張って欲しいです。
目先の成績や偏差値も気になりますが、「自己の未来」のためにも一生懸命勉強してみましょう。
次回は上記リンクです。