前回は「山口多聞 42〜友永隊長の決意〜」の話でした。

連合艦隊司令部の動き

圧倒的優勢にあった日本海軍。
それは「米海軍が弱い」のではなく、「日本海軍が非常に強力だった」のです。
「勝つはず」あるいは「勝つしかない」と考えていた連合艦隊司令部。

米海軍に
反撃だ!
空母三隻を失い、今や飛龍も危ない状況の中、山本長官は反撃を目論みます。



アリューシャン方面の
空母に告ぐ!



大至急、
ミッドウェーに急行せよ!


北方のアリューシャンを攻撃に向かっている空母二隻に合流を命じます。
「合流」と言っても、ミッドウェーのはるか遠くにいる空母部隊。
元々は「作戦統括」の軍令部の「一貫性のない」作戦によって、「戦力を分散した」結果でした。
さらに、米海軍の潜水艦がいるなか、慎重に進軍する必要があり、合流には時間がかかります。



夜戦を
挑む!
空母を失いましたが、他の戦艦・巡洋艦・駆逐艦などは健在です。
夜戦での挽回を命ずる山本長官でした。
最後の攻撃へ


第一次攻撃隊・小林隊の爆撃隊。


第二次攻撃隊・友永隊の雷撃隊。
これで、敵空母二隻(実際は一隻)に致命的ダメージを与えられました。





よくやった!
まだ敵空母の損傷の程度は未確認であり、引き続き、



最後の攻撃だ!
と勇む山口司令官。


そして、第三次攻撃隊を編成します。
飛龍攻撃隊は米軍の猛反撃を受け、攻撃隊はわずか15機ほどです。



残りの攻撃隊は
これだけか・・・



・・・・・



最後まで攻撃だ!



しかし・・・
将兵たちは疲れ切っていて、「立つのもやっと」な状況です。
食事もままならず、疲労と空腹で、誰もがふらふらとしていました。



この状況で、
攻撃に向かわせるわけには・・・
部下思いの山口司令官。


また米軍機の攻撃隊が飛龍に向かってきました。
攻撃を、なんとかギリギリでかわす飛龍。



この疲労した状況で
攻撃に向かったところで・・・



・・・・・



大きな成果は、
挙げられないだろう。
ただでさえ極めて困難な状況にあり、この「疲労しきった状況」での出撃命令。
その命令は、「死んでこい」と命ずることと同じです。
山口司令官は考え続け、熟慮の結果、



第三次攻撃は、一休みして、
薄暮とする!
そして、一休みして、ほんのわずかな休憩をします。
少し休みましょう。
ああ。
疲れたな・・・
飛龍の奮戦
配食命令が出て、休もうとしたところで、
敵機です!


米軍の爆撃機二十数機が、零戦の護衛を抜け、飛龍に迫ってきました。





対空砲火!



取舵一杯!


加来艦長の操艦で、敵の爆弾・魚雷から逃げようとする飛龍。
ここで、至近弾・直撃弾を次々と受けます。
ドカ〜ン!!ドカ〜ン!!、飛龍を大きく揺れ、山口司令官・加来艦長も倒れ込みます。
そして、飛行甲板に飛行機があったため、誘爆して爆発してしまい、飛龍は火の海となります。
総員退去へ


なんとか
消火するんだ!
まだ飛龍は
戦える!
飛龍の将兵が総出、必死で消火活動を行います。
もはや、飛龍の炎上は止まりません。
薄暮攻撃を考えていた山口司令官。
山口司令官は、



もはや・・・
すでに攻撃隊を発艦させる状況にはありません。
時は薄暮で夕日が輝く中、飛龍は燃え続けます。
そして、海からの浸水が続き、飛龍の機関が午後11時頃に停止します。



終わりか・・・
もはや、飛龍は戦闘不能です。
飛龍は傾き、傾斜は15度ほどにもなり「立っているのが困難」な状況となりました。



総員退去かと。



うむ。
大破までであれば、内地(日本)へ駆逐艦などで曳航・修理できますが、それも絶望的状況です。
あとは、「一人でも生き残る」ことを考えるしかありません。



総員退去!!
加来艦長が命じて、将兵たちは飛龍から周囲の駆逐艦へ退避することが決まりました。



・・・・・


炎上する飛龍を見ながら、山口司令官は思いを胸にしていました。