前回は「山口多聞 21〜二兎追うものへ〜」の話でした。

軍令部のメンツ
本来、日本海軍の作戦命令を下す役割の軍令部。
しかし、真珠湾奇襲攻撃以来、山本連合艦隊司令長官に振り回され続けます。


軍令部は、南方資源確保を
指令していたのだが・・・



またもや山本に
押し切られてしまった。



これでは、我らは「いなくても良い」存在
ではないか。





軍令部総長は、山本ではない。



ワシだ。
山本長官の4歳年上の永野軍令部総長は、憮然とします。
「二兎追うもの」から「三兎追うもの」へ



帝都空襲もあったし、
山本のミッドウェー攻撃は認めよう。



その代わりに、軍令部として、
北方の米領土「アリューシャン攻撃」を追加してもらおう!



それで、我らの「作戦指導する立場」としての
メンツが保てる。
なんと、「作戦上の考え」ではなく、単なる「メンツ保持」のために、新たな攻撃先を追加します。
元々、主目標が「米空母なのか、ミッドウェー島なのか曖昧」で「二兎追う」作戦だった計画。
さらに、ほとんど意味のない作戦が追加され、「三兎追うもの」となりました。
この永野総長の決定を聞いた、軍令部のある若手は
一体なんなんだ!
ちっくしょう!
「涙を流して、嘆いた」と伝わっています。
少ない空母
ミッドウェー島を攻撃する機動部隊は、空母:赤城・加賀・飛龍・蒼龍の四隻となります。





なんで、真珠湾より、
空母が少ないのだ!
真珠湾奇襲攻撃では、更に翔鶴・瑞鶴を加えた六隻でした。





さらに、目標は敵空母とミッドウェー島両方では、
空母の打撃力が全然足りない!



五航戦も参加させよ!


それは無理です。
五航戦の空母・翔鶴は、
珊瑚海海戦で大破し、修理が必要です。
その代わり、米空母ヨークタウンも
沈没か大破しています。
ヨークタウンが出てくる可能性は、
絶対ありません!





ならば、五航戦(第五航空戦隊)の
瑞鶴を参加させろ!
五航戦は瑞鶴・翔鶴セットなので、
難しいです・・・
しかも、軍令部の指令で、北方にも
空母を派遣する必要があります。



なんとか、
もう少し増やせないか!
この四隻が、
最大となります。



こんな馬鹿な・・・



主目標は、米空母だろう!



敵は出動空母二隻としても、ミッドウェー島があるから、
米軍は三〜四隻の空母となる。



こちらが、四隻では心もとない!





戦力は
集中するのが基本だろう!
しかし・・・
出せる空母が
ないのです・・・



なんたること・・・
唇噛む山口司令官でした。