山口多聞 40〜秘めたる決意・加来止男飛龍艦長の奮戦・小林道雄飛行中隊長〜|ミッドウェー

前回は「山口多聞 39〜悪夢から反撃へ〜」の話でした。

山口多聞 司令官(Wikipedia)
目次

絶体絶命

反撃を志す山口司令官。

一方で、状況は最悪であり、絶体絶命です。

敵空母は二隻いることが判明(実際は三隻)しました。

「不沈空母」であるミッドウェー島は、空母二隻以上の戦力です。

ミッドウェー作戦の米国空母(歴史街道 2022年8月号 PHP研究所)

この「空母四隻(実際は五隻)」相当に対する日本軍は、飛龍一隻のみ。

まだ飛龍が
健在だ!

加来 止男飛龍艦長(Wikipedia)

加来艦長!
仇をとるぞ!

お供します!

空母飛龍のみで、
敵空母二隻を撃沈してみせる!

米軍の猛攻撃と反撃準備

第二航空戦隊 空母飛龍(Wikipedia)

辛うじて、被弾を避けることができた空母飛龍。

三隻の空母が叩き潰され、米軍は「残り一隻」の飛龍へと次々と襲いかかってきます。

米空母エンタープライズ艦上の攻撃機(Wikipedia)

米空母エンタープライズ・ホーネット・ヨークタウンから、次々と攻撃隊が発艦します。

そして、飛龍上空には、他の味方三空母から飛び立った味方飛行隊が多数います。

彼らを収容しなければなりません。

Douglas TBD雷撃機(Wikipedia)

飛行甲板で整備員が収容準備を進める中も、米軍の戦闘機は機銃掃射を浴びせます。

ぐわっ!!

ううっ!

弾丸に対して、丸裸の状態の整備員。

整備員たちは、次々と倒れます。

その中、

必ず、必ず
敵を倒してみせる!

飛龍一艦で、
敵艦隊を撃滅してみせる!

「指揮官たるもの、目標を明確にして、それに一途邁進すべし!」という原則を貫く山口司令官。

周囲は、阿鼻叫喚の地獄絵図となっています。

秘めたる決意

小林道雄 飛行中隊長(歴史街道2007年8月号 PHP研究所)

ここで、山口司令官は、米軍機が去ってひと段落した時にチャンスを見出します。

今だ!

小林道雄 飛行中隊長を呼んだ山口司令官。

小林大尉!

はっ!

飛龍は何としても、
仇を討つ!

大変な中だが、
爆撃隊を率いて、米空母を叩き潰してくれ!

まだ30歳の友永大尉よりもさらに若い、27歳の小林飛行中隊長。

絶対絶命の中、大いなる闘志を持って、敵へ向かう決意をします。

全力を尽くします!

そして、
敵空母を撃滅します!

この圧倒的劣勢の中、出動を命じることは「死ね」と命令するに等しい状況。

まだ先のある
若い連中に・・・

こんな命令をすることに
なるとは・・・

49歳の山口司令官。

27歳の小林飛行中隊長は、自分の子どものような年齢です。

みんな、
すまない!

大変な中だが、
米空母を撃滅してこい!

そして、秘めたる決意を露にします。

司令官も必ず
後からゆく!!!

山口司令官が「必ず後からゆく」といった「行き先」。

この時、飛龍及び上空で戦っていた将兵たちにも、見えていたかも知れません。

その「行き先」を。

山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

そこは、平和な現代日本に暮らす私たちには「理屈では理解できる」が、「実感はできない」場所なのでしょう。

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