前回は「勝って兜の緒を締めた山口多聞〜調子に乗りまくった日本海軍・山本長官の乾坤一擲の賭け・ミッドウェーへ・短期決戦による早期和平」の話でした。
資源なき日本：米国に完全依存していた軍需物資の未来
山本長官の「拙速なミッドウェー作戦」に対して、軍令部の事実上の最高意思決定者・伊藤次長は、
ミッドウェー島攻撃は、
絶対認めません！
資源確保を
最優先してください！
それは、当然の発想でした。
対米戦直前、日本の軍需物資は「ほとんど米国に頼っていた」のでした。
資源なき国・日本は、石油も鉄も何もかもが国内では、ほとんど生産できません。
物資・資源が豊富というより「有り余るほどある」米国とは全然違うのです。
対米戦直前まで「米国に完全に依存していた」軍需物資たち。
当然のことながら、
Japanへの
物資資源の輸出を止めよ！
すでに、真珠湾奇襲攻撃以前から、物資の米国からの輸入は途絶えていました。
この米国の国策が「真珠湾奇襲攻撃へとつながった」という説もあります。
いずれにしても、この「頼っていた米国と戦争を始めた」状況だったのでした。
日本の進むべき道：資源を南に求めた日本陸海軍
中でも、世界の2/3という莫大な原油産出量を誇る米国。
対して、日本は「ほとんど原油が取れない」国です。
南方の蘭印を占領すれば、年間約800万トンの原油（上記のグラフで7,939千トン）が確保できます。
これは、日本の年間必要量を優に上回っていました。
とにかく、原油・資源確保を
最優先していただきたい。
そして、南方の領土・島々には大量の資源が埋もれていました。
日本陸海軍が「資源を南に求めた」ことは、日本軍が最も資源を得やすい戦略でした。
そして、作戦を統括する軍令部の発想は「至極当然」だったのです。
軍令部の意見は、
もっともだ。
山本長官は、
気が早すぎる。
暴走する山本長官：禁じ手「長官辞任」をチラつかせた強行姿勢
かつて、真珠湾奇襲攻撃の際にも、伊藤軍令部次長に反対された山本長官。
その際は、
ならば、連合艦隊司令長官を
辞任する！
と、脅しをかけて、強行突破しました。
とにかく、米空母を、
早めに叩き潰さねば！
米空母よりも、
資源が先です。
そうか・・・
仕方ない・・・
また、
あの手を使うか・・・
また、同じ手を山本長官は使います。
ミッドウェー島攻撃を
認めて頂けないなら・・・
私は、連合艦隊司令長官を
辞任します！
また「辞任する」と脅す山本長官。
明らかに「禁じ手」であったこの「辞任攻撃」。
山本自身も、
禁じ手であることくらい、
分かっている・・・
だが、とにかく
米空母を早く叩かねば、我が日本海軍は負けるのだ！
米国駐在経験もあり、日本海軍の中でも切っての「知米派」であった山本長官。
今は日本海軍が連戦連勝だが、
日本と米国では格が違うのだ・・・
経済力・物資資源などの総合力において、日米の「格の違い」を痛感していた山本。
だからこそ、
「ミッドウェー」なのだ！
一歩も引く姿勢を見せない山本長官。
これは
流石に・・・
山口司令官には、どうにも納得がいきません。
山本さんは、
どうしてしまったのか？
元々、「日本海軍の顔」であった山本五十六 連合艦隊司令長官。
「顔」であるからこそ、対米戦において、
連合艦隊司令長官は
山本しかいない！
となり、連合艦隊司令長官に就任しました。
そもそも、山口司令間のように「戦いの前線」というよりも軍政側が長かった山本長官。
海軍次官・航空本部長（次官同等）を務めあげ、本来ならば「海軍大臣になるべき」存在だった山本。
それが、連合艦隊司令長官となり、連戦連勝の中、山本長官は「顔」から「軍神」へとなっていました。
その「軍神」が強行する戦略が、
ミッドウェーを
叩くのだ！
でした。
そして、山本長官一人に「海軍・軍令部・連合艦隊の日本海軍全体が振り回される」状況となっていたのです。
