山口多聞の大いなる熱意〜未来見据えたミッドウェー攻撃の提言・論理的に検証する米海軍・徹底検証の発想・うやむやの日本海軍・日米の意識の差〜|山口多聞8・真珠湾奇襲攻撃・人物像

前回は「山口多聞の偉大な先見性〜優れた頭脳を活かさぬ日本の組織・「宣戦布告前」の奇襲攻撃・リメンバーパールハーバー・米海軍指揮官の見解・奇襲攻撃後の日本海軍〜」の話でした。

山口多聞(Wikipedia)
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山口多聞の大いなる熱意:未来見据えたミッドウェー攻撃の提言

南雲忠一 第一航空艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

中途半端な状況で、内地(日本本土)への帰投を指示した南雲長官。

もう、
内地(日本)に帰ろう。

まだだ!
まだなのだ!

帰るぞ!

・・・・

ここで、へこたれる山口司令官ではありません。

まだ余力がある!

日本へ帰る途中に、
他の米軍基地を攻撃すべき!

ミッドウェー島
などがある!

もう
いいんだ!

もう
終わり!

もう帰ろって
将兵を休ませるのだ!

そんな、
そんな馬鹿な!

山口司令官から見たら「消化不良のまま」で、真珠湾奇襲攻撃は終わってしまったのです。

後のミッドウェー海戦での致命的大敗戦を考える時、この時にミッドウェーを攻撃していたら歴史は変わったでしょう。

半年後のミッドウェー海戦を見通すのは、神ならぬ南雲長官、山口司令官には無理な話です。

山口司令官の大いなる熱意は空振りに終わってしまい、日本海軍の運命を決定づけたのでした。

論理的に検証する米海軍:徹底検証の発想

真珠湾攻撃で損傷を受けた米国艦船(歴史街道2021年12月号 PHP研究所)

日本軍による真珠湾奇襲攻撃で、甚大な被害を受けた米海軍。

日本軍に対する反撃体制を整えることも大事ですが、米軍はこの「敗戦」をしっかり検証します。

「どのような被害を受けたか」「なぜ敗北したのか」などを実地で検証・調査しました。

大爆発する米駆逐艦ショー(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

この奇襲攻撃によって、キンメル米太平洋艦隊司令長官は責任を取らされて更迭されます。

Chester Nimitz米太平洋艦隊司令長官(Wikipedia)

そして、新たに就任したニミッツ米太平洋艦隊司令長官。

しっかりと
被害を調査せよ!

ははっ!

思ったより、
大した損害ではないが・・・

どのように
被害を受けているのか?

経緯も出来る限り、
明らかにせよ!

徹底的に調査して、しっかりとした報告書にまとめ上げます。

それは、「一つ一つの結果を次に活かす」ためでした。

我がUS(米国)海軍は、
次に活かす姿勢なのだ!

うやむやの日本海軍:日米の意識の差

新教育紀行
戦艦大和(Wikipedida)

対して日本軍は、この先各地で戦いを続けますが、「敗北した戦い」の調査・検証する姿勢は皆無でした。

終わってしまったことは、
仕方ない・・・

で、終わってしまうことも多かったのです。

まあ、
いいではないか・・・

そして、軍内部でも「敗北した理由」等を隠す傾向がありました。

さらには、「大本営発表」で知られる通り、戦争中盤以降は国民に「虚偽の発表」を続けたのです。

日本陸軍・海軍で、それぞれのカラーがありましたが、この「結果を検証する姿勢の完全な欠如」は同一でした。

こんなことで
いいのか?

論理的な山口司令官から見たら、信じられない姿だったでしょう。

しっかり一つ一つ検証する姿勢が、
次に活かされるのではないか?

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

このあたりの日本海軍(陸軍も)の問題点は、山本長官が認識していたかどうかは、不明です。

「前の戦いでの経験を、次の教訓として活かす」という非常に大事な姿勢。

この姿勢を、山口司令官は持っていた一人でした。

そして、そういう将官は旧日本陸海軍には極めて少なかったのです。

新教育紀行

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