偏差値と小学生の教育〜低年齢化した中学受験の通塾開始時期・過熱化する中学受験界と小学生たち・小学校低学年の学びと本質的な学力・幅広い興味と好奇心〜|中学受験と子どもの教育

前回は「中学受験生が塾に通い始める時期〜「いつから」と受験・初期に成績が劣る場合・じっくり学んで挽回・志望校の選択と子どもの「行きたい!」と強く思う気持ち〜」の話でした。

目次

偏差値と小学生の教育:低年齢化した中学受験の通塾開始時期

五島ー長崎の船と海(新教育紀行)

日本の受験界・教育界では、偏差値が必ずついて回ります。

例えば、中学受験では「ある中学校を検索する」と、まず最初に偏差値が登場します。

本来、「一つの参考程度の数値」に過ぎない存在であるはずの偏差値という数字。

筆者は、この偏差値という数字は曖昧さを含んでおり、本来は「参考程度の数値」と考えます。

受験界では「参考程度の数値」どころか「王様のごとく」絶大な影響力を持っています。

友人の子どもが中学受験をしているのを聞いて、10年ほど前から、

だいぶ、
塾に行く年齢が下がっているな・・・

と思っていました。

筆者が中学受験生だった1980年代後半と比較すると、「塾の低年齢化」が強い勢いで進みました。

「志望校に合格するため」に塾に入りますが、最初は入塾試験があります。

入塾試験で上位に入る子たちが「低学年の時に何をやっているか」は、よく話題になります。

これは、中学受験を目指す小学校低学年の子を持つ親なら、

〜塾に入るに向けて、
うちの子はどのように学ばせたらよいのかしら・・・

大抵の方が気になることだと思います。

そして、

合格するには、
いつから塾に行かせるのが良いのかしら・・・

「いつから塾」もまた、大いに気になるところです。

ネットや書籍では、様々な方の意見がありますが、中には、

入塾は
新小学校4年からで十分です。

と書かれているのをみると、

そうか・・・・・
受験界はそういう状況なんだ・・・

と感じます。

「新4年生から十分」ということは、「もっと前から塾に行っている人が多い」のが現実ということになります。

過熱化する中学受験界と小学生たち

新教育紀行
公園の桜(新教育紀行)

僕が中学受験した頃は、4年生から塾に行っていると、

えっ、もう塾に行っているんだ・・・
早いなあ・・・

という感じでした。

僕は4年生の12月から、四谷大塚の日曜教室に通い始めました。

当時、他に学外活動として、ピアノやサッカーを習っていましたが、

いよいよ、
塾に行くんだ・・・

今も有名ですが、当時は猛烈な勢いを持っていた四谷大塚。

中学受験生は
まず四谷!

と言われるほどの盛況ぶりでした。

文字通り「毎週日曜日」に試験を受けて、その試験の復習をする授業が続きました。

「通っていました」というよりは「通わされていた」の方が正確な表現となります。

毎週試験を
受けたくないんだけど・・・

「行きたくないけど、行っていた」のが現実でした。

子どもや少年少女は
勉強するのが仕事!

であっても、流石に毎週試験となると、普通の神経では「苦痛すぎる環境」です。

そして、しばらくは「週に一回の日曜教室」に通っていた筆者。

小学校六年生になる直前の五年生の2月から、当時、

武蔵目指すなら、
学習指導会!

と言われるほど、武蔵中学の合格実績抜群だった学習指導会に通い始めました。

そして、週に一回土曜日の「武蔵特訓」(武蔵に特化したコース)に通い始めました。

ここにいる人たちが
武蔵中を目指すんだ・・・

「武蔵特訓」は学習指導会の高橋塾長(当時)が自ら指導していました。

さあ、みんな
今日も勉強しよう!

とても楽しくて、極めて有意義でした。

塾長自身、武蔵中高・東大理学部を出ていて、大変頭が良く、武蔵をよく知っている方でした。

そのため、非常に的確な授業でした。

僕が中学受験したのは、もう30年前ちょっと前ですから、今とはだいぶ状況が異なると思います。

この30年で、世界における日本の状況は大きく変わり、中学受験界も大きく変わったように思います。

特に首都圏などでは、「中学受験の過熱化」が話題となって久しいと感じます。

まだまだ幼い小学生にとって、中学受験・勉強へのプレッシャーは相当大きなものでしょう。

そして、模試や試験を受けるたびに

あなたの偏差値は
58です。

あれ・・・
前より偏差値下がっちゃった・・・

あるいは、

今回のあなたの偏差値は
54です。

第一志望校の偏差値には
5くらい足りてない・・・

と「偏差値のレッテル」を貼られる中学受験生たち。

その苦労は、並大抵のものではないでしょう。

小学校低学年の学びと本質的な学力:幅広い興味と好奇心

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

当時でも塾に通い始めるのが「ちょっと遅かった」僕。

極めてハイレベルな武蔵中志望の方達との「レベルの違い」に唖然としました。

まずい・・・
まずいぞ・・・

これは、相当
水を開けられている状況だ・・・

とにかく、
彼らに追いつかなければ!

一生懸命奮起したのが、懐かしく感じます。

困難なこと・絶望的なこともまた、「後になってみれば良い思い出」であることが多いです。

ところが、当事者にとっては、

これは、
一体どうやって打破してゆけば良いか・・・

実に大変なことでした。

頑張ったものの、武蔵中に合格するかは「微妙な成績」の僕でした。

小学校五年生の頃に、武蔵の記念祭(文化祭)に行った時、とても楽しかったです。

こういう
お兄さんになりたいな・・・

自由な雰囲気の中、頭の良さそうなお兄さんたちが沢山いて、

僕も武蔵生に
なりたいな・・・

「武蔵生に対するある種の憧れ」を当時の筆者は持っていたのでした。

そして、実際に中学受験で志望校に合格するためには「合格点の確保」が必要です。

そのため、

高い学力が
なければ・・・

とか、

合格するためには偏差値を
上げなければ!

というのは、「中学受験の一つの事実・現実」ではあります。

それも大事かもしれませんが、小学校低学年〜中学年で「試験ありき」の姿勢は将来伸び悩みそうです。

とにかく勉強させれば、

最近、算数の
偏差値が上がってきた!

ある程度のところまでは成績が上がることが多いです。

問題は「そこから先のレベル」となると、

早めに中学受験の
準備をする者が合格するのだ!

と考える方向になりがちです。

長時間勉強すれば、
成績が上がって志望校に合格する可能性が高まる!

という意見もあるでしょう。

場合によっては、

早めに受験対策することが
高い学力につながり、合格につながる!

と考える方もいらっしゃるかもしれません。

一方で、高校受験・大学受験を経験した後になると、大抵の方は、

勉強する時間と学力は、
必ずしも強い相関関係がない・・・

ことが分かります。

さらに、社会人になれば、

何かを成し遂げるのは、
そこに投入する時間・エネルギーも大事だけど・・・

もっと
大事な何かがあるでしょう・・・

という事実がだいたい分かってきます。

これらの事実は、小学生たちが「分かるはずがない」ことです。

それは「小学生たちの能力が劣っている」からではなく「経験が少ない」ことに起因するでしょう。

小学校低学年の学び方・姿勢は、その後一生に渡って影響するように考えます。

まずは勉強への幅広い興味・好奇心・学ぶ姿勢を身につけるのが最も良いと思います。

そして、ある時期からは試験での成績アップを目指して、具体的に、

A中学校へ
ぜひ進学したい!

X中学に
合格したい!

という熱い気持ちを持ちながら、受験勉強を続けてゆきましょう。

塾に通い始める時期によって、「ある時期までの試験の成績・合格判定」は差が出る可能性が高いです。

そして「ある時期以降」は、本人の頑張りや集中力によって、それらの指標は大きく変化する可能性があります。

様々な偏差値や合格判定に一喜一憂してしまう受験生たちですが、

なんとしても
A中学へ行きたいんだ!

私は
ぜひX中学に行きたい!

と強い気持ちを持って、試験当日まで学び続けるのが良いでしょう。

合格に向かう姿勢

・合格判定や合格可能性は一つの指標であり、「合格の可能性」には様々な考え方がある

・模試での経験を活かして、本試験で高得点を獲得する

次回は下記リンクです。

新教育紀行

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