前回は「机や地面から受ける力〜太さが一様でない棒・つり合いのイメージ・「自分に合う」考え方・少し曖昧にイメージ〜」の話でした。
足し合わせる・重ね合わせる:静的イメージ
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring202m-1024x724.jpg)
太さが一様ではない棒の左端・右端を、それぞれ引き上げてます。
その状況を、「足し合わせる」「重ね合わせる」イメージの話をご紹介しました。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring203m-1024x724.jpg)
この「足し合わせる」「重ね合わせる」イメージは、物理的発想です。
そこで、中学受験の小学生は、「なんとなく分かる」くらいで良いでしょう。
中学生〜高校生の理科系志望の方は、ぜひ「しっかり分かる」ようになりましょう。
このように「足し合わせる」「重ね合わせる」イメージは、力学に限りません。
物理現象(一部化学現象)を対象とする場合、同様に考えることができます。
・物理現象に限らず、様々な現象にも応用がきく考え方
・人や物の影が足し合わされるイメージ
この「足し合わせる」「重ね合わせる」イメージは、少し静的かもしれません。
上の状況をパパッと「足し合わせる」「重ね合わせる」のは、二つの写真を合成する感じでもあります。
確かに、左端を持ち上げている
写真と、右端を持ち上げている写真を合成すると・・・
なんか、合成写真みたいな
感じで、分かるような気がする・・・
「分かる感じがする」くらいでも良いでしょう。
バネ・てこが動いてつり合うイメージ:動的イメージ
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring152m-1024x724.jpg)
上のようなてこの場合は、モーメント(回転する力)がつり合います。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring155m-1024x724.jpg)
つり合って、てこは水平のままです。
水平のままですが、実際には両側にモーメント(回転する力)がかかり、少し揺れることが多いです。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/577f3c012b5fed7a89418edf01b4f24f.jpg)
理科実験で、上皿てんびんを使った時を思い出してみましょう。
上皿てんびんは、「少しずつおもりを追加」することが多いので、「揺れてつり合う」状況です。
仮に「一気にピッタリ同じ重さの分銅を置いた」場合、やはり「揺れてつり合う」状況に至ります。
確かに、
そうだね。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring156m-1024x724.jpg)
上のようなてこの場合、支点に対して「左まわりのモーメント」の方が大きいので、つり合いません。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring163m-1024x724.jpg)
この場合、てこは「やや左側に傾いて」揺れながら、つり合い=静止する状態に至ります。
実際、バネ・てこや「モノが動く場合」は、このように「動いている」のです。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring112ma.jpg)
バネも「伸びてつり合う」ため、動きがあります。
問題集・試験などでは、印刷なので、これらの「動き」は表現されないことが多いです。
印刷された「一つの状況」に対して、考えると「全て止まっている=静止している」ように見えます。
それは、実際には違っていて、「動いている」ことを改めて考えてみましょう。
言われてみれば、
確かにそうだよね・・・
てこ・バネは、
動いたり、伸びたりしているんだね。
こういう風に「動いて・伸びてつり合いが取れる」ことをイメージすると、理解が進むでしょう。
・てこやモノは、つり合いが取れるまで動いて、つり合う・静止する
・バネは伸びて、かかる重さを引っ張り上げて、つり合う・静止する
棒をゆっくり引き上げるイメージ:動的イメージ
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring217m-1024x724.jpg)
棒全体の「つり合い」をイメージして、かかっている重さ(力)を描きました。
この時、棒は「はかりに引っ張られて、机から力を受けて」止まって(静止して)います。
はかりは、内部のバネが少し伸びてつり合いが取れている状況です。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring218m-1024x724.jpg)
今、この状況で、棒の反対側に「はかり」をつけます。
そして「重ね合わせる」ではなく、「ゆっくり持ち上げる」ことを想像してみましょう。
えっ?
「持ち上げる」の?
問題では、
「持ち上げる」話はないよ。
問題文にはありませんが、実験みたいに考えてみましょう。
ここで、大事なことは「一気にグイッと引き上げる」ではなく、「ゆっくり引き上げる」です。
棒をゆっくり、ゆっくり引き上げるイメージを描いてみましょう。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring219m-1024x724.jpg)
「引き上げた直後」を考えましょう。
「直後」というのは、「どのくらい後」
なのかしら。
引き上げ始めて、「一瞬後」を考えましょう。
「一瞬後」って、
一秒後くらい?
ほんの「一瞬後」をイメージしてみてください。
「一瞬後」って、
難しいよ。
難しいかもしれませんが、大体のイメージでも良いでしょう。
実際に「持ち上げて一瞬後」をするのは非常に困難ですが、イメージしてみましょう。
「引き上げた直後」は、棒の端にかかっていた重さが「はかり」の重さに出ます。
そうだね。
机から、受けていた力で
釣り合っていたんだね。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring220m-1024x724.jpg)
続けて、もう少し「ゆっくり引き上げて」みましょう。
どのような状況になりますか?
つり合う状況をイメージしてみましょう。
ゆっくり引き上げている途中:頭の中は自由にイメージ
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring221m-1024x724.jpg)
ゆっくり引き上げている途中は、「ずっとつり合っている」のです。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring222m-1024x724.jpg)
ここで「ゆっくり引き上げる」のが大事です。
「ゆっくり、非常にゆっくり引き上げる」ので、「つり合っている」状況が変わらないのです。
棒の左の端をA、右の端をBとします。
Aは全く動かさずに、Bを少しずつ、ゆっくり引き上げてみましょう。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring223m-1024x724.jpg)
Aを動かさないで、Bを引き上げるのって、
難しそう。
実際に実験でやるのは、難しいですが、イメージとして「Aは止めておく」と考えてみましょう。
イメージの世界は、
自分の思い通りになるからいいね。
「実際には難しいこと」でも、頭の中では自由です。
・実際には、難しいこと(〜の重さがない、など)はイメージして、描く
・最初は、状況・問題の設定に応じて、描いて、しっかりイメージ
・頭の中でイメージを思い描けるようになり、頭の中では自由にイメージ可能
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring224m-1024x724.jpg)
そして、Bを持ち上げて、ABが水平になりました。
![](https://www.e-voyage.net/wp-content/uploads/Spring225m-1024x724.jpg)
この「Bを引き上げている間は、ずっとつり合っている」ことを考えてみましょう。
この「状況をしっかりイメージして」みましょう。
最後の状況も「つり合っている」状況です。
A、Bの「はかり」の重さはどうなっているでしょうか?
ずっと、
最初から、つり合っているんだよね。
ということは、
つり合い続けているから・・・
あっ、ひょっとして
「つり合っている」状況が続くのがポイントかな?
今回は、左端=Aを引き上げてみましたが、同様に右端=Bを引き上げることも考えてみましょう。
続きの話は次回ご紹介しますので、考えてみましょう。
次回は下記リンクです。