西郷隆盛 6〜知識と知恵と・郷中教育・ディスカッションの大きなメリット〜|幕末と明治の教育

前回は「西郷隆盛 5〜議論して実行・「議を言うな」・大久保利通・大山巌・東郷平八郎・黒木為楨〜」の話でした。

西郷 隆盛(国立国会図書館)
目次

郷中教育が重視した「十分議論し、実行」:ディスカッションの大きなメリット

現代、欧米の教育で盛んに行われている「ディスカッション」。

「日本の教育でも取り入れるべき」という声が、20年ほど前からありますが、進みません。

実は、200年前の郷中教育や、諸藩の藩校・私塾では「ディスカッションが盛んに行われていた」のです。

知識は、欧米に大きく遅れていた面はあります。

東郷 平八郎 連合艦隊司令長官(日露戦争)(Wikipedia)

小さな頃から「議論する姿勢」により、思考力を身につけてきた方々。

欧米よりも知識は劣っていたのは事実ですが、自ら考えて知識を知恵に飛翔させた方々。

樺山 資紀 海軍大臣(国立国会図書館)

その方々が、幕末・維新を引っ張ってゆきます。

明治維新期の世界と日本

実は、日本は一般庶民の識字率(読み書きできる方の割合)は、欧州よりも遥かに高レベルだったのです。

それは、当時の日本においては、誇るべき事実でした。

大久保 利通(国立国会図書館)

明治期、お隣の中国は「清」という国でしたが、事実上、欧米の植民地のような状況でした。

世界中が帝国主義で、「勝てば官軍」でした。

その中、

欧米文化を
吸収しなければ・・・

我が日本も
植民地にされてしまう・・・

という懸念が、大きく広がっていました。

「懸念」というよりも「恐怖」が、特に政府首脳にありました。

木戸 孝允(国立国会図書館)

実際に、幕末に米国やヨーロッパと次々と条約を結びました。

実態は、「恫喝されて、強引に結ばされた」のが実態です。

Townsend Harris駐日米国公使(Wikipedia)

早く
調印しろ!

分かりました・・・

大久保・木戸の思い

長州出身の木戸、薩摩出身の大久保らの脳裏には、あるイメージがありました。

長州・薩摩は「自分達が実際に欧米と戦い、痛い目にあった」事件・戦争があります。

下関戦争(Wikipedia)

長州・薩摩が、他の藩と大きく異なること。

それは、「実際に英国や連合軍と戦った経験がある」ことでした。

薩英戦争 歴史道vol.6(朝日新聞出版)

長州は、

攘夷だ!

と盛り上がって、外国船を砲撃したら、四カ国連合軍に攻め込まれました。

我が長州藩と
戦争か!

「善戦」したものの、長州は壊滅的被害を受け、敗北しました。

薩摩も薩英戦争を戦い、長州よりもさらに善戦した薩摩。

我が薩摩藩の
示現流、見せてやろう!

当時世界最強の大英帝国の東洋艦隊相手に、「戦死者は大英帝国の方が多い」善戦をしました。

だが、鹿児島の中心部を焼き尽くされた薩摩。

剣では勝てるが、
あの大砲や軍艦が相手では・・・

当時、日本最強の薩摩といえども、「苦汁を呑んだ」のでした。

そして、

海外を、
実際に見なければ!

海外から
積極的に学ばねば!

と考え、日本国内の全てが「欧米化へ」という方向に大きく舵を切るのです。

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