歴史・地理の記述問題で高得点をあげるポイント・解答例とコツ〜大まかな特徴をつかむ・じっくりグラフを読み解く姿勢・「大きな特徴」の理由と原因・「何が違うのか」を考える・グラフに線を描く・問題文全体のテーマとキーワード〜|各国の学校制度7・武蔵中・過去問・中学受験・社会

前回は「歴史・地理の記述問題の記述式答案の書き方・例とポイント〜米国・ドイツ・日本の学校制度・簡単にまとめて比較・異なる点に気づく・特徴をつかむ・模範解答例と自分の解答の比較・模範解答に対する採点者の視点とカラー〜」の話でした。

目次

大まかな特徴をつかむ:じっくりグラフを読み解く姿勢

2022年武蔵中学 社会

単線型・複線型の学校制度に関して考えました。

単線型と複線型

単線型 = 進路が幅広い中から選べる

複線型 = 専門性が高く、選べる進路が限定される

問6に進み、日本国内、とりわけ関東地方一都六県の話です。

2022年武蔵中学 社会(四谷大塚ドットコム 中学入試過去問データベース)
2022年武蔵中学 社会

「都・県内の進学率」と「都・県外の進学率」の男女別の状況をまとめたグラフです。

社会のグラフにしては、かなり細かいグラフです。

こういう問題は、理科のように「じっくりグラフを読む」ようにしましょう。

社会のグラフって、
難しそう・・・

社会でも理科でも算数でも、「グラフはグラフ」です。

「社会だから」と考えずに、「グラフを理解すれば良いんだ」と考えましょう。

グラフを読み解く際に、最も大事なことは、「大まかな傾向をつかむこと」です。

「大まかな傾向」って、
大きな特徴っていうこと?

そして、その「大まかな傾向」や「大きな特徴」の理由は何か?を考えましょう。

グラフを読み解く姿勢

・「大まかな傾向」「大きな特徴」をつかむ

・「大まかな傾向」や「大きな特徴」の理由は何か?を考える

「大きな特徴」の理由と原因:「何が違うのか」を考える

新教育紀行
東京(新教育紀行)

一眼見て、左側の「東京以外」と右側の「東京」で大きく異なることが分かります。

そう、「東京以外」と「東京」が
全然違うね・・

実際に都市・街の雰囲気も、東京と東京以外では大きく異なります。

この時、左右でグループ分けをして、「丸で囲む」などグラフに気づいたことを描くのも良いでしょう。

図と異なり、明確な数値のあるグラフは「大きな傾向」を読み取りましょう。

単に「大きく違う」よりも「何が違うのか」を考えるのが良いでしょう。

何が違うのかな、
って考えるの?

あまり難しく考えずに、「グラフの大きな特徴」となる線を自分で引けると良いでしょう。

「グラフの問題」というと、理科の実験問題です。

理科の実験問題では、直線や曲線のグラフがあって、その線から「傾向」を読み取ります。

うん。
そうだよ。

グラフの線から、
傾向を読むのは出来るけど・・・

自分で「線を引く」のは、
難しそう・・・

左右の大きく傾向が異なるグループの間には、明確な違いがあります。

そこに境界が見えてこないでしょうか。

境界となる
線を引けばいいのかな・・・

少し「線を引く」を考えてみましょう。

グラフに線を描く:問題文全体のテーマとキーワード

2022年武蔵中学 社会

その線を描いてみましょう。

「都・県内の進学率=都・県外の進学率」となる直線を描いてみましょう。

この線は
分かりやすいね。

大きな傾向が、
よく分かるわ。

この線は、
どうやって引くの?

「縦軸と横軸が比例=同じ」となる直線ですから、同じとなる「20%同士」などの点と原点を結びましょう。

この直線が
二つのグループの大きな境界になるのね。

このように「大きな傾向を掴む」とグラフは良く分かります。

最近は、「情報」や「プログラミング」などの科目で「X軸とY軸」を勉強しているかもしれません。

すると、この直線は「X軸とY軸が同じ」あるいは「Y=X(X=Y)」ですね。

新たに引いた、この直線をもとに考えましょう。

直線の上は、なんでしょうか。

「都・県外の進学率>都・県内の進学率」
だね。

直線の下側は、
「都・県外の進学率<都・県内の進学率」だわ。

そして、直線の下側は、
男女ともに東京だね。

すると、一番大きな傾向は、

1.東京は男女ともに、都内の大学へ進学する割合が多い

2.他の6県は、県外への進学率が県内の進学率より高い

そして、「全国平均」のマークにも気をつけると、

3.他の6県は、全国平均よりも県外への進学率が県内の進学率より高い

です。

そして、この問題文のテーマになっている、「男女の違い」にも注目してみましょう。

全部、男子より女子の
進学率が低い!

4.関東全ての地域で、男子より女子の進学率が低い

これらを、自分なりにまとめてみましょう。

問6の解答例

A.関東全ての地域で、男子より女子の進学率が低い

B.東京は男女ともに、都内の大学へ進学する割合が多い

C.他の6県は、県外への進学率が県内の進学率より高い

D.他の6県は、全国平均よりも県外への進学率が県内の進学率より高い

このA〜Dがポイントだってことは、
分かったよ・・・

これって、全部書かないと、
満点にならないのかな・・・

採点基準は、採点者にしかわからないのが実情です。

「採点者にしかわからない」のですが、「書いた方が良いポイント」はあります。

この場合は、
最も大事なポイントは何かしら?

こういう時は、「問題文全体のテーマ・キーワード」を考えましょう。

「問題文全体のテーマ・キーワード」
かあ・・・

「単線型」と
「複線型」!

あとは、やっぱり、
「男女の違い」もある!

問題部のキーワード

・「単線型」「複線型」

・男性と女性

「単線型」と「複線型」は、言葉自体はそれほど難しくありませんが、一般的に使う言葉ではありません。

むしろ、「この問題特有の考え方」です。

そして、「男性と女性」は誰でも分かることですが、この文章で非常に強調されています。

そこで、問6の答えとしては、上記の「A.関東全ての地域で、男子より女子の進学率が低い」は是非書いて欲しいです。

そして、「関東地方の男女別進学率」で「東京」と「東京以外」で大きく差があります。

こういう「項目で明確な差がある」場合は、それぞれの項目に対して特徴を書くと良いでしょう。

具体的には、「B.東京は男女ともに、都内の大学へ進学する割合が多い」です。

そして、Bに対応する「C.他の6県は、県外への進学率が県内の進学率より高い」も「対比」として書きましょう。

「D.他の6県は、全国平均よりも県外への進学率が県内の進学率より高い」は、「全国平均との対比」です。

これは、「書ければなお良い」ですが、A〜Cで満点と考えます。

記述の答え:問題・グラフの特徴

・文章のキーワード・テーマに沿った内容が最も重要

・読み取れる「対比的な特徴」を、対比するそれぞれの対象に対して書く

・2〜3つ程度のポイントを書く

では、例えば、
A,B,Dを書いたら、どうなるの?

採点者次第ですが、「A,B,Cの方がベター」と考えますが、「A,B,D」に対しても「ほぼ満点」と考えます。

新教育紀行

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