「偏差値」と志望校の選択〜日本の受験界で絶大な影響力持つ偏差値・偏差値と学校ランキング・「一つの指標」である偏差値・「伸びない」よりも大事なこと・受験生本人の個性・適性と方向性〜|中学受験・高校受験・大学受験

前回は「「偏差値」に対する考え方〜「偏差値」に対する考え方:そもそも偏差値とは何か・一人歩きする偏差値という数値・「上がらない」よりも大事なこと・「偏差値上げること」と「合格する」こと〜」の話でした。

目次

日本の受験界で絶大な影響力持つ偏差値:偏差値と学校ランキング

武蔵中学・高校内のすすぎ川(新教育紀行)

日本の全ての受験業界で最も重視されている「偏差値」という数字。

その絶大な影響力は、受験業界を飛び越えて、教育業界にまで侵食しているのが実情です。

名前偏差値
C君55
Dさん65
Eさん50
受験生の偏差値の例

上記のように三人の方の偏差値が出ていると、

Dさんが
一番優秀!

となります。

本来は「試験の成績を全体から考えて数値化」して合格可能性を測定するための数字である偏差値。

その偏差値が一人歩きして、今度は学校のランキングへと変化します。

名前偏差値
P中学校65
Q中学校55
R中学校58
学校の偏差値の例

偏差値65のP中学校は、Q中学校・R中学校より「偏差値が上」=「学校のランキングも上」となります。

うちの子は、やっぱり
偏差値が高い学校の方に行かせたい・・・

あたかも

P中学校の方が、
Q中学校・R中学校よりも良い学校なのでは・・・

というような気がしてしまいます。

大学進学実績を大きく落とした武蔵中学・高校の偏差値もまた、大きく下落しました。

進学実績が好調であった1970年代〜1990年代中期までの武蔵中学の偏差値は、70程度だったでしょう。

それが一時は「60を下回る」状況にまで落ち込みました。

「合格基準を測る」ための「受験界の各学校の偏差値」。

その「数値」は、偏差値を決定する機関により多少異なります。

X中学の偏差値は
昨年67でした。

今年の
X中学の偏差値は1下がって、66です。

中学受験の場合、「中学受験において、合格するための必要な学力」と考えられます。

そして、それぞれの機関が、それまでのデータから「数値化している」のでしょう。

中学受験における「学力の一つの指標」である偏差値。

それは「大学受験の進学実績」とも大きく連動します。

それは「中学受験における学力」が「大学受験における進学実績」と強い相関関係を持つからでしょう。

「一つの指標」である偏差値:学力と統計学

公園の桜(新教育紀行)

偏差値を
あげよう!

という声がよく聞かれます。

偏差値というのは、少し歪な尺度で測定された「一つの指標・数字でしかない」とも言えます。

偏差値40から、
(偏差値の高い)A中学校に合格しました!

とか

偏差値30から、
(偏差値の高い)B大学に合格しました!

という話があります。

これを聞くと「偏差値=学力を大幅に増進する秘訣がある」と考える方がいらっしゃるかもしれません。

そもそも、この偏差値という数字は測る母体によって異なります。

同じ学力を持っている人でも、周囲の方々がどういう人かによって、大きく異なります。

例えば、中堅校志願者を対象とする模試で、

僕の偏差値は
60だった!

「偏差値60」を獲得した子を考えます。

同じ方が、同時期にトップ校志願者を対象とする模試を受けたら、

あれ?
僕の偏差値が45?

「偏差値45」となる可能性があります。

どちらが正しいのでしょうか。

これは、やはり自分が望むレベルの母集団に対して考えれば良いです。

「志望校が中堅校なのかトップ校なのか」で異なります。

様々な塾が発表している「偏差値」は、母体の違いを統計学的に補正しています。

そして、「正しい数値」に「補正している・直している」のは事実でしょう。

一方で、出題傾向や問題の方針が大きく異なり、学校のカラーが強く出ている試験もあります。

その場合、「学力を統計学的に処理」する過程での「補正」には様々な考え方があります。

その考え方は、偏差値を出している機関ごとによりますが、曖昧な面があるでしょう。

「伸びない」よりも大事なこと:受験生本人の個性・適性と方向性

屋久島の海(新教育紀行)

上記で例に挙げた

偏差値40から、
(偏差値の高い)A中学校に合格しました!

は「分かりやすい」のは現実です。

これが、

偏差値40から、
偏差値60のB中学校に合格しました!

となると、あたかも、

ということは、偏差値が40から60に
「20も上がった」ということ?

それはすごい!
どういう勉強の仕方をしたの?

「偏差値が40から60」ということは、
偏差値が1.5倍に増強したってこと?

とにかく、比較するためには、「数字は最も分かりやすい」存在です。

ところが、実は非常に曖昧な数字を対象とした曖昧なことなのです。

「どの母集団で測ったものなのか」によって、偏差値は大きく変動します。

非常に分かりやすい「偏差値」という数字は、「統計学的には正しい」です。

受験生の「学力の絶対的数値」と誤解しかねない「偏差値」という数字。

その数字は、実は「結構流動性のある数字」なのです。

志望校の偏差値より、
うちの子どもの偏差値が10以上低い・・・

場合は、統計学的に「合格しない可能性が高い」のは事実です。

ところが、「偏差値の5程度の違い」であれば、見方によって大きく変わります。

子どもの志望校への問題の出来や適性をよく考えた上で、最終判断をするのが良いでしょう。

最も重要なのは、受験生本人の志望校合格への強い思いでしょう。

校風やカラーの強い学校は、採点方法にもカラーがあるのは間違いないでしょう。

特色・カラーのある採点方法は「偏差値」では決して測ることができない要素です。

単なる数字に過ぎず、「流動性がある偏差値を元に志望校を決める」こと。

それは、大事な何かを見落としている可能性があると考えます。

うちの子の偏差値周辺の学校を
志望校としなければ・・・

ではなく、

うちの子には、こういう学校に
行って欲しいし、この子に合いそう・・・

学校の理念や子どもとの相性を元に、本人の志望校を決定するのが最善でしょう。

具体的に合格するためには、
「本人の偏差値」を「志望校の偏差値」に近づけるようにしよう!

その上で、偏差値を「合格するための参考程度の指標」として考えるのが良いと考えます。

新教育紀行

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