前回は「志望校の校風とカラーをよく考えて、お子様の志望校を決めましょう!」の話でした。
今回は「偏差値に対する考え方」の話です。
今月は様々な模試があり、親御様は対応に追われ、お子様は立て続けに試験を受け、大変な時期です。
模試を受けると、全ての点数が「偏差値」に置き換えられて「合格判定」が出ます。
そもそも「偏差値」とはなんでしょうか。
下記の二つの例(算数 100点満点)を比較してみましょう。
1. Aくんは「平均85点、最高95点」のテストで90点を取りました。
2. Bさんは「平均40点、最高70点」のテストで65点を取りました。

この二つの例では、二人とも最高得点者の一歩手前で、学力は高そうです。
どちらが学力が高いでしょうか。
なんとなく、平均点の低い難しいテストで、最高得点の一歩手前まで点数を獲得したBさんの方が学力が高そうです。
ただ「なんとなく」という感覚では比較ができません。
そこで、「数値化すれば容易に比較できて分かりやすい」ということになります。
これらの得点を試験の難易度や点数の分布を考慮して「偏差値」という数字に置き換えます。

これは確かに「非常に分かりやすい」です。
言葉では分かりにくい曖昧なことでも、「数字」になるとなんでも比較できます。
世の中でもGDP、米国ダウ平均株価、日経平均株価、貿易統計・・・・・実に様々な数字が無数にあります。
数字によって国力も測られることもあります。
一方で、数字は「一人歩き」しやすい魔物でもあります。
数字が出た途端に、あたかもその数字が「全てを語っている」ように感じられてしまうこともあります。
仕事などにおいて、決算書などが「数字が全てを語る」ことはあります。
一方で、仕事においても「数字だけでいいのか?」という議論があります。
会社の製品のクオリティーや理念等も大事で、それは数値化できる場合とそうでない場合があります。

子供たちは模試の試験によって「偏差値」というレッテルを貼られます。
異なる試験を受けた時C君は偏差値55、Dさんは偏差値65、Eさんは偏差値50となると、
Dさんが最も優秀!
と「分かりやすい」のです。
このレッテルは優秀な子ならば「高い数字のレッテル」なので良いのですが、そうでもない子は可哀想です。
模試は結果を偏差値という数値に置き換えて「合格判定」が出されます。
実際の入試では、偏差値で合格が決まるのではありません。
「学校側の出した問題」に対する「解答能力」などによって合否が決まります。
これは当然のことなのですが、ともすると忘れてしまうことがあります
「偏差値=学力」というのは統計学的には正しいでしょう。
学力が「分かりやすい数字」に変換されている面もありますが、そうとも言えない面があります。
むしろ、偏差値というのは一つの参考値程度と考えるのが良いでしょう。
「偏差値を上げる」ことが目標ではありません、
子どもの「学力を上げ、志望する中学校に合格する」ことを目標とすることが、教育上最も望ましいです。
そして、中学受験突破力が身につき、合格する可能性が高まります。
親は、偏差値という「ただの数字」にあまりに振り回されないようにして欲しいと思います。
そして、お子様の適性と志望校の校風を優先して考えて頂ければと思います。
その上で、合格判定や偏差値も参考にして、志望校の最終決定と直前期を有意義に過ごすのが最善です。