木造建築の秘密が沢山ある「上の方〜建物にかかる様々な力とモーメント・自然光が柔らかく優しく室内を包み込む障子・畳のラインと遠近感〜|松代藩・文武学校4

前回は「木の個性が際立つ昔の木造建築〜きれいに整えられた現代木造建築・多様性に溢れていた江戸期日本・「大公儀」徳川幕府の曖昧な権限〜」の話でした。

目次

木造建築の秘密が沢山ある「上の方」:建物にかかる様々な力とモーメント

New Educaional Voyage
松代藩 文武学校(新教育紀行)

現代の木造建築とは大きく異なり、「木の形がそのまま」の昔の木造建築。

長野県松代市では、かつての松代藩の藩校・文武学校の貴重な木造建築が残っています。

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松代藩 文武学校(新教育紀行)

続いて、弓技場に向かいました。

弓技場は、開口(窓)が極めて限定されていて、内部は暗い空間です。

弓を放つ方向は思い切り開いている一方で、それ以外の方向の開口は、通風のための小さな開口です。

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松代藩 文武学校(新教育紀行)

そして、弓技場から、弓を放つ側を見ると、パッと開けるような空間構成となっています。

切妻屋根によって、開口が上からグッと下がっていて、求心性が高い空間です。

弓の稽古をするには、うってつけの場であり、ここで多くの藩士たちが弓を鍛えました。

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松代藩 文武学校(新教育紀行)

上部の方は、木材が複雑に組み合って、屋根を支えています。

住宅と異なり、弓技場などの広い空間では出来るだけ柱を減らして、自由な空間とすることが大事です。

現代の体育館などでは、鉄骨で支えることが多いですが、この弓技場は、木の梁で支えています。

広い空間を確保するために、柱を少なくし、柱と柱の距離が短い部分を「スパン」と呼びます。

弓技場のように、平面形状がシンプルな長方形の場合、スパンは「長方形の短い辺」となります。

新教育紀行
てことは何か?(新教育紀行)

中学受験の理科で、様々なてこやばねの問題がありますが、これらは全て「つり合いを考える」ことが大事です。

建物を支える梁には、上のてこと同じように様々な力・モーメントが働いています。

その結果、つり合いが取れた状態となりように、構造設計されています。

建物の構造は「構造力学」という大学生以上が学ぶ難しい学問によりますが、基礎は「てこと同じ」です。

てこのつり合いの考え方を、上記リンクでご紹介しています。

てんびん算の考え方
てんびん算の考え方(新教育紀行)

算数の食塩の問題などでは、「濃度・食塩の量」のバランスが大事です。

てんびん算は「テクニック」ではなく「本質的」であることから、筆者は、てんびん算を用いることを勧めます。

「3つのてんびん算」に関する話を、上記リンクでご紹介しています。

スパンを出来るだけ小さくして、合理的に設計することが、当時も現代も大事な発想です。

旅などで、昔ながらの木造建築を訪問した際には、上を見上げてみてください。

なかなか「上を見上げる」人は少ないですが、「上の方」には、木造建築の秘密が沢山あります。

そして、「上の方」には、「水平の方」とは違う木造建築の風景があります。

自然光が柔らかく優しく室内を包み込む障子:畳のラインと遠近感

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松代藩 文武学校(新教育紀行)

続いて、外に出てみると、いくつかの校舎があります。

信州の山々が美しい長野県。

文武学校では、中央付近に大きな広場のような空間があり、周囲を木造の校舎が囲んでいます。

そして、木造校舎の合間から、信州の山々が見える、とても雰囲気が良い学校でした。

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松代藩 文武学校(新教育紀行)

中心となる校舎では、文武学校の歴史や稽古が紹介されています。

この建築は、だいぶ手を入れていて、内部は全面的に改修されています。

畳のラインが綺麗につながっていて、とても奥行き感が感じられる、典雅な木造空間です。

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松代藩 文武学校(新教育紀行)

古典的で、ある意味で「普通の木造建築」ですが、丁寧にまとめられて、美しい内部空間です。

世界的にみても、日本の障子は、とても珍しく、貴重な存在です。

現代の住まいには、障子は極めて少なくなってしまいました。

障子を通す自然の光は、柔らかく、優しく室内を包み込みます。

かつての懐かしい日本の木造建築の空間が感じられる、松代藩・文武学校。

長野県を訪問する際には、ぜひ訪れてみて下さい。

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