国語「聞き取り試験」のポイント・考え方〜出題者の意図と国語能力・「聞き取り試験」の具体的対策・「聞き取り」の会話や文章の当事者のイメージ・「よく聞く」姿勢〜|中学受験・高校受験・国語

前回は「現代文の記述の書き方のコツ・考え方〜武蔵中の国語・特攻隊の話・文章の中に自分がワープ・実際に自分が会話している気持ち・読解力と想像力とイメージ・マンガやアニメと同じ〜」の話でした。

目次

国語「聞き取り試験」のポイント・考え方:出題者の意図と国語能力

新教育紀行
寺子屋(Wikipedia)

中学受験・高校受験などで「国語の聞き取り試験」が増加傾向にあります。

「聞き取り試験」というと大抵は「英語など外国語の聞き取り試験」であることが多いです。

対して、「聞き取れることが当然」である母国語・日本語を「聞き取って回答する」試験です。

例えば、英語の聞き取り試験では、

あれ?今の単語が
聞き取れなかった・・・

ちょっと
この発言の意味がつかめない・・・

単語が聞き取れなかったりして、「意味が分からない」可能性があります。

外国語の聞き取り試験は、「文章や会話の意味が適切に聞き取れるか」を試します。

対して、日本語である国語の聞き取り試験は「適切に聞き取れる」はずです。

それでは、なぜ出題者は、

母国語である日本語を聞き取る
試験で学力を測りたい・・・

と考えるのでしょうか。

新教育紀行
国語聞き取り試験に関する説明1(久留米大学附設中学校)

この「出題者の意図」に対して、久留米大学附設中学校がはっきりとした「回答」を挙げています。

ここでは、久留米大学附設中学校のウェブサイトにある「説明文」を参考にします。

生徒諸君の「聞く力」が、ひどく落ちており、
人の話がよく聞けず、一人合点をする諸君が増加している。

「音声言語の受容と表現」も、
国語教育から欠落させてはならないのは自明である。

本校の国語入試における
言語世界の拡大を意図する。

「生徒たちの聞く力の著しい低下」に対して、「試験対象とすること」で警鐘を鳴らしているのです。

新教育紀行
国語聞き取り試験に関する説明2(久留米大学附設中学校)

続いて「出題内容」に関しても、具体的に明記しています。

このように「出題意図と出題内容」を、はっきりと明記する姿勢は大変好ましいと考えます。

江戸時代から、子ども・青少年達の教育は「読み・書き・算盤」と言われてきました。

さあ、みんな
私に続いて読んでみて!

はい!
先生!

昔の教育は今の教育よりも「声に出して読む」ことが奨励されていました。

そもそも、「読み・書き」が出来ることは「話す・聞く」よりも難しいことです。

そのため、「文章の読み・書きが適切に出来る方の割合」=「識字率」が国家の運営上、大事です。

対して、「話す・聞く」は日常生活である程度出来るようになります。

ところが、久留米附設の先生方は、

生徒諸君の「聞く力」が、ひどく落ちており、
人の話がよく聞けてない方が増えている・・・

とはっきりとした懸念を強く感じています。

これは、中学高校の教育現場で強く感じていることなのでしょう。

そこで、「国語の聞き取り試験」を実施することで「国語入試における言語世界の拡大を意図」しています。

この「言語世界の拡大を意図」という少し難解な言葉が、「出題者が最も言いたいこと」と考えます。

久留米附設以外の学校の教員達も、似たような考えを持っていると考えます。

国語「聞き取り試験」出題の意図

・生徒諸君の「聞く力」が、ひどく落ちている。

・「音声言語の受容と表現」は極めて重要で、国語入試における言語世界の拡大したい。

「聞き取り試験」の具体的対策

新教育紀行
国語聞き取り試験に関する説明2(久留米大学附設中学校)

試験を受ける受験生の側からすると、一枚目の「目的」より二枚目の「具体的内容」の方が大事です。

結局、どういう問題が出て、
どういう対策をすれば良いのだろう・・・

私たちはどういう問題が
出来るようになれば良いかな・・・

という気持ちになります。

上の試験内容は久留米附設ですが、他校での出題も概ね同様と考えます。

国語「聞き取り試験」出題の内容

・朗読は千字、三分程度で一度のみ+メモOK

・多様な素材の一つとして「音声言語」

志望校が「明らかに国語聞き取り試験を出題」する受験生は、

よしっ!集中して
一言も聞き漏らさないで、メモするぞ!

精神集中して、
しっかり聞き取ろう!

と、様々な対策をしてきているでしょう。

この「集中して、しっかり聞き取る」ことは「聞き取り」が試験である以上、大事です。

ここで、「出題者の意図」をもう一度考えてみましょう。

そもそも、出題者側が「少し変わった出題をする」ことは、意図や理由が最も大事です。

生徒諸君の「聞く力」が、ひどく落ちており、
人の話がよく聞けてないのは大変困る・・・

が出題者の「最も大事な出題理由」です。

出題者側から考えれば、

国語の「聞き取り試験」を実施する
理由が大事で、1枚目のように考えている・・・

「どのような試験ですか」という質問が来るので、
一応、2枚目で答えておこうか・・・

という気持ちでしょう。

出題者側からの視点から考えれば、2枚目の「どういう試験ですか」は明らかに優先順位が下がります。

1枚目の「なぜ、聞き取り試験を行うか」の方が、はるかに大事です。

「出題者の意図・目的」と比較して、単なる「手法」に過ぎないので、

「どのような試験ですか」というのは、
こちらに任せて欲しいが・・・

というのが「本音」なのではないでしょうか。

それにも関わらず、「出題内容の方針を明記」する姿勢は、

受験生や塾は、とても気にするから、
正々堂々と試験方針は明らかにしよう。

という清々しさを感じさせる姿勢です。

この「出題者の意図」を考えるとき「適切に聞き取り、理解する」ことが大事です。

「しっかり聞き漏らさない」ことも大事ですが、出題者は、

生徒諸君の「聞く力」が、ひどく落ちており、
人の話がよく聞けてない・・・

つまり、どちらかというと「細かなこと」より「会話の大枠が合わない」に対する懸念を示しています。

この時、「一言一句を聞き漏らさない」より「会話や文章の大枠・方向性の理解」優先が良いでしょう。

「聞き取り」の会話や文章の当事者のイメージ:「よく聞く」姿勢

新教育紀行
記述問題への大事な姿勢:特攻隊員の気持ち(新教育紀行)

国語の問題で「特攻隊員と話す文章」の考え方をご紹介しました。

この時、回答者である「受験生=あなた」は、

新教育紀行
記述問題への大事な姿勢:特攻隊員の気持ち(新教育紀行)

と考えて、出題文の「ぼく」などの「心や考え」を推し測って、記述や選択肢で回答します。

新教育紀行
記述問題への大事な姿勢:特攻隊員の気持ち(新教育紀行)

この時、客観的に「ぼく」の気持ちを考えるよりも「ぼくになった気持ち」になるのが良いです。

新教育紀行
記述問題への大事な姿勢:特攻隊員の気持ち(新教育紀行)

文章の中で登場人物が複数出てきたら、「その方達と話している」イメージを持つと、

こう言われたら、
こう感じるかな・・・

と問題の「解答へのきっかけ」が見つかりやすいでしょう。

想像ですが、出題者は日常の中高生への教育をしている中で、

〜くん、こういう時は
〜のようにするようにすること!

と指導すると、

先生!分かりました!
〜ですね!

ちょっと待て!
そうではなく、〜だ!

この子達は私の話を
きちんと聞いていないのか?

こう感じることが多いのでしょう。

これは、おそらくはスマホやネットの急拡大も大きな理由の一つでしょう。

日常生活の中で、スマホなどで動画を観る機会が急速に拡大しました。

昔よりも「動画に触れる機会が急増した」ために、

これは、
こういうことだ!

内容を「ポンポンと理解する」姿勢が増えているように思います。

映像はあまりに情報量が多いので、本来は「観て理解することは大変」なはずです。

ところが、「あまりに動画に触れる機会が多い」ので、

うん、
大体分かった!

「中途半端な理解で進む」傾向が強まり、「分かっているつもり」が増えているかも知れません。

「国語聞き取り試験」の対策をしてきた方は、これまでの対策に自信を持って、

一言一句よりも、
しっかりと内容・ストーリーを理解しよう!

という姿勢を持つと、「出題者の意図」に適合しそうです。

「分かったつもり」ではなく、
「しっかり分かる」ように!

そして、「出題者の意図」の「しっかり理解する力」を示すようにすると良いでしょう。

様々な新潮流の試験が増えている中、これまでなかった「聞き取り試験出題」もあるかもしれません。

「聞き取り試験」は音声設備の設定等、学校側の負担が大きいですが「聞く力」は非常に大事です。

これまで「志望校で一度も国語聞き取り試験」がなかった受験生は、

一応、軽く準備しておいて、
出題されても大丈夫!

としておくと良いでしょう。

新教育紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次