算数・理科の記述問題の採点者の姿勢2〜武蔵中学の記述問題やレポートへの教員の姿勢・武蔵カラーと採点基準・答えが違う記述問題の採点結果・「計算ミスで全滅」のゆくえ・中学入試の記述問題の採点基準・教員たちの日常と受験生たちの非日常〜|中学受験

前回は「算数・理科の記述問題の採点者の姿勢1〜記述式問題の採点方法・武蔵中学の理科の実話・紙の上での適正試験であるペーパーテスト・中学生高校生にとっての定期試験・正しい立式と計算ミス〜」の話でした。

目次

武蔵中学の記述問題やレポートへの教員の姿勢:武蔵カラーと採点基準

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

理科好きの青少年にとって、真剣勝負である化学の定期試験。

僕が高校一年の時に化学の熱力学の試験を受けました。

1問目も
2問目もバッチリ答えた!

自信満々で試験を終えました。

下校の時、友人と化学の試験の話をしていると、

あれ?
答えが違うな?

考え方は、
ちゃんと合っているのに・・・

悩んだ僕は、もう一度計算して「衝撃の事実」を知りました。

しまった!
計算ミスした!

なんと、考え方は合っていたのに「計算ミスで(1)の答えが間違っていた」事実に気づきました。

理科の問題では「(1)の結果を利用して、(2)へ」「(2)の結果を利用して、(3)へ」という形式がよくあります。

つまり、「(1)で計算ミスしたので、(1)〜(3)の全てで答えが違った」ことが判明したのです。

ここで「計算ミスで大問1題の結果が全部X(バツ)」がという「致命的失敗」が判明した僕。

化学の試験は、大問2題でした。

M先生の化学の試験

1問目:熱化学方程式を立式して、熱量などを計算する記述問題:小問(1)〜(3)

2問目:熱化学方程式に関する性質等を文章で答える記述問題

2題でしたが、明らかに1問目の比重が大きく、100点満点だと、

M先生の化学の試験の想定配点

1問目:小問(1)〜(3)で60点

2問目:文章を答えて40点

という感じであることは、高校生には分かります。

この「60点の1問目」で、考え方は合っていても「計算ミスで全部答え・結果が違う」ことが判明しました。

これは
参った・・・

人生最大の
ミスだ・・・

「人生最大のミス」というの「いかにも大袈裟」ですが、まだ子どもの本人にとってはそう感じるものです。

「落ち込む」というレベルを超えて、絶望的になりました。

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

中学受験の時から、記述式をバッチリやってきました。

そして、武蔵中学入学後は記述式の試験ばかりで大量のレポートも書きました。

いわば「武蔵カラー」にどっぷり浸かってきた僕は、

武蔵の
記述問題の採点は「考え方」に比重を置く・・・

だから、「答えが違う」からと言って、
X(バツ)には絶対ならないだろう・・・

「考え方は合っていても、答えが全部違う」1問目が、「全部X(バツ)」ではなくても、

と言っても、
部分点だな・・・・

60点の配点のうち、
半分は入るだろう・・・

「考え方が合っている」から
40点くらいはくれるかも・・・

自信満々で100点満点の予定だった僕。

ところが、計算ミスで「全ての答えを間違えた」のです。

もちろんこれが「答えのみ」の試験であれば「60点が0点」になります。

まあ、バッチリ記述で
熱化学反応式は全部合っているから・・・

ある程度は
考慮してくれるだろう・・・

60点の配点の1問目で、「答えが違っても、考え方が合っている」から40点を部分点で貰えても、

それでも、2問目が◯で、
40+40=80点・・・

80点、
80点かあ・・・

はあ〜
・・・・・

100点と80点では、全然違います。

理科が好きな人間にとっては、「100点と80点の違い」は「天と地ほど違う」のでした。

しかも「答えが違うのに、60点中40点入る」のは、かなり高い希望的観測のように思います。

ひょっとしたら、1問目で半分の30点以下なら
70点以下になるかも・・・

もはや「完全にやる気をなくしてしまう」レベルの衝撃を受けました。

まあ、
仕方ないか・・・

終わったことを悔いても仕方ないです。

まさに「覆水盆に返らず」です。

答えが違う記述問題の採点結果:「計算ミスで全滅」のゆくえ

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

そして、その化学の試験の返却の日が来ました。

それでは
皆さん・・・

この間の
試験の答案を返します。

年配で非常に落ち着いた雰囲気のM先生。

中高生にとっては、「おじいちゃん」みたいなM先生。

後になってみれば「たかが試験」ですが、当事者の中学生・高校生にとっては非常に大事です。

それは、高校球児にとっての「他校との対抗戦」と同等かもしれません。

場合によっては、本人の得意科目ならば「甲子園に臨む」くらいの気持ちで頑張っています。

数学・物理・化学が得意だった学生にとっては、これらの科目の試験は非常に大事です。

ついに、答案を受け取りにゆきます。

はい・・・

・・・・・

試験の答案用紙をもらったら、黙って自分の点数を見る人が多いです。

中には、

おっ、80点だから、
まあまあだな!

と独り言というか大声を出して「自分の点数を皆に告知する」タイプの人もいます。

中には、

おっしゃっ!
90点っ!

とか声を張り上げる方もいますが、こういう人はおそらく「高い点数を自慢したい」のでしょう。

答案を受け取る順番は五十音順で、すぐに僕の番となりました。

ついに
運命の時だ・・・

どんな
結果なのだろう・・・

はい・・・

M先生が僕に答案を返却する際、チラっと苦笑いしました。

ニヤリ・・・

物理部に所属していた僕は、理科棟(当時)の2階の物理実験室・講義室が本拠地です。

武蔵中学・高校のかつての校舎・物理実験室(新教育紀行)

そして、同じ理科棟(当時)の1階が拠点の化学部。

部員同士も、先生も含めて「なんとなく同志」で顔見知りです。

「こんなミスして、なにやってんだ!」
ということかな・・・

M先生の気持ちを、勝手に憶測して答案を開いて点数を見ます。

見たくないけど・・・
どうだろうか・・・

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

96点・・・?

96点でした。(実際は、50点満点の48点)

あれ?
計算ミスで全部X(バツ)では?

と思って、答案をよくみると、M先生の筆跡で

計算ミス・・・

と書いてあり、次いで

考え方は
合っている・・・

と記載され、1問目全体で「60点満点中、4点減点」となっていました。(実際は、30点満点で2点減点)

そして、2問目は◯で「40点中40点満点」でした。(実際は、50点満点のうちの20点)

合計して、56+40=96という結果でした。(実際は、50点満点の48点)

96点なら、
良かった・・・

多少減点されたとはいえ、成績評価においては96点ならば100点とそれほど変わりません。

ああ・・・
良かった・・・

こう感じた高校1年生の時の僕でした。

中学入試の記述問題の採点基準:教員たちの日常と受験生たちの非日常

新教育紀行
武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

この話は入試ではなく、武蔵中学・高校の定期試験における実話です。

受験生にとっては「非日常の大勝負」の入試。

僕の人生で、
最も非日常だよ・・・

これまで、こんな
試練は受けたことない・・・

という方もいらっしゃるでしょう。

一方、中学・高校の教員にとっては入試は「大事な日」であっても「学校の行事の一つ」の「日常」でしょう。

すると、入試の採点の仕方は、各教師の「日頃の指導・採点方法に準じる」と考えます。

このように武蔵中学においては、算数や理科の計算ミスは、ほとんど減点対象とならないでしょう。

考え方はバッチリなのに、
なぜ答えが違うんだ・・・

なんだ、ここで
計算ミスしているのか・・・

まあ・・・
2点減点かな・・・

他の学校に関しては不明ですが、記述問題出題校の教師は似た考え方を持っていると考えます。

記述は「正解」か「不正解」か、あるいは「部分的に正解」の基準が、採点者当事者しか分かりません。

計算ミスは「単なるミス」であり、人間がミスをするのは仕方ない面があります。

そして、記述は「ハッキリと自分の分かること・考え」を書くことが大事です。

算数の記述問題への姿勢

・簡単で良いので、問題文の状況・設定や図やグラフを積極的に描く

・「図やグラフを描く」だけでも点数につながる可能性が高い

武蔵中などの記述の算数においては、

ひっ算などは
消さないで、残しておくように!

と塾などで教わるでしょう。

この「筆算などを消さない」のは「計算ミスの際、どこでミスをしたか発覚しやすくする」ためです。

新教育紀行
入れ替えの問題(新教育紀行)

同様に非常に稀ですが、武蔵中のように解答欄が広い試験の場合があります。

その際は、上記のようなメモも消さなくて良いでしょう。

上の例は「自分の実験」であり、答案用紙に上記を書いたとします。

これは本題ではありませんので、

余計なことを書いたら、
減点されるのでは・・・

採点者の判断によりますが、記述式の問題では「減点はしない」と考えます。

不安でしたら、下記のように[ ]で閉じたり「草案ですよ」というマークをしても良いでしょう。

新教育紀行
入れ替えの問題(新教育紀行)

算数の採点者は、数学のプロで高い能力を持っているので、

ああ、何かこういうことを
考えているな・・・

受験生の答案を一目見れば、「何を考えているのか」が分かります。

こういうメモを書きすぎて「本題を書くスペースがなくなる」のはマズイですが、多少は良いでしょう。

また、試験用紙の端などに、こうしたメモを書くと理解が深まって、

ひょっとしたら、
こういうことかな?

と「問題を解く鍵」が分かるようになるでしょう。

矢印やメモ書きする学び

・「考えていること」が明確になり、理解が深くなる

・簡潔に書く姿勢が養われ、記述問題へ対応できるようになる

「思考のプロセス」を走り書きでも拙い字でも、ハッキリと書くようにすると良いでしょう。

新教育紀行

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