前回は「電気・電流・回路の問題 2〜並列・分かりやすい考え方〜」の話でした。
分からない電流から考えてゆく

分からない電流の大きさに対して、それぞれ未知数を設定しました。
これで、回路全体の電流を考えてゆきましょう。

まずは、最も分かりやすい「電流が別れる前」を考えます。
上の図の点で電流が分かれているので、エの電球を流れる電流が分かります。
電球一つの抵抗を「1」と考えます。


次は、上の図のC →Dの下がる電圧(電圧降下)を考えます。
まずは、青色の経路で考えると、エ→ウの順に電球の抵抗(1)を受けるので、「電圧=電流x抵抗」を計算します。

C →Dの下がる電圧(電圧降下)は、電球アを通る電流による電圧降下と同じなので、アを通る電流が分かります。
これで、だいぶ分かってきました。

次に、Dで電流が合流するので、合計すると「電球イに流れる電流」が計算できます。

これで、シンプルだけど少し複雑な回路に流れる電流が分かってきました。
最後に、「二つの未知数の関係」を求めましょう。
異なる経路の電圧が下がる大きさ(電圧降下)

EからFで、電圧が下がります。
まずは、上の図の青色の経路を考えて、下がる電圧の大きさを「電圧=電流x抵抗」で考えます。

次に、緑色の経路でEからFの下がる電圧の大きさを計算します。
これらが等しいので、関係式が求まります。

分からなかった電流の大きさの未知数の関係式が求まりました。

関係式を使って、それぞれの電流の大きさを描いてみましょう。

電流が別れる前、合流した後も、計算できます。

各電球に流れる電流の大きさが分かり、「電流の大きさ=明るさ」なので、答えが分かります。
(2)の答え・・・(ウ)です。
(3)の答え・・・(イ)です。
どのくらいの明るさなのか、計算しよう
回路の全容が分かりました。
ここで、最も明るいキの電流の大きさ・明るさを考えてみましょう。

上の基本回路の電流の大きさと比較します。

抵抗を受ける部分で、青色のルートで下がる電圧(電圧降下)を計算します。

これが、電池が持つ電圧と等しいです。

そして、キの電球を流れる電流の大きさが計算できます。

キの電球を流れる電流の大きさは、基本回路の電流の大きさの11/24で、明るさも11/24(電流と明るさが比例する時)です。
上のように、回路の電流が全て求まりました。
「点と点で下がる電圧が同じ」は、いろいろな点で確認してみましょう。
本当だ。
ちゃんと、下がる電圧が同じ。
確かに、
同じだわ。
なんだか
不思議な気持ち。
理科の物理の内容は、基本原理が分かれば、考え方が少し異なっても同じになります。
この「同じ結果になる」ことを色々と考えてみると、力学・電気などの理解が進むでしょう。
算数や理科で「異なる考え方」を学ぶことは、非常に大事なことです。
この回路の問題は、未知数として設置する「分からない電流」を違う電流にしても、同じ結果が得られます。
自分で考えてみても良いでしょう。
回路が複雑になっても、基本原理は変わりません。
基本的な原理をしっかりと理解して、イメージしてみましょう。
文章題で、様々な回路や電流計・コンデンサーなどが出ることがありますが、基本は全て同じです。
しっかりと「電圧の違い」などを考えてみましょう。
その「しっかり」の姿勢で、電気・電流の問題は出来るようになるでしょう。