前回は「戦争と条約を理解する学び〜日清日露の戦いと日本の飛躍・日本経済の根幹作った渋沢栄一・超親日国台湾と日本〜」の話でした。
第一次世界大戦から第二次世界大戦へ:ナチス・ヒトラー台頭の原因
hs11_100ts
前回まで日清・日露戦争の話から、第一次世界大戦の問14に行きます。
ア:「オーストリア後継者(皇太子)がサラエボで暗殺」は正しいです。
イ:「イギリス・フランス・ロシアが連合国、ドイツ・オーストリアが同盟国」は正しいです。
ウ:日本が山東半島の青島(チンタオ)を占領したのは事実ですが、「ドイツ側」ではないので✖️です。
エ:「アメリカが連合国側、ドイツが降伏して第一次世界大戦は終了」は正しいです。
hs11_171ts
以上から、上記の通りで「答えはウ」です。

第一次世界大戦と
第二次世界大戦が混乱することがある・・・
二つの世界大戦において、様々な国が登場し、お互い同盟を結ぶので、少し難しい傾向があります。
第二次世界大戦では、「世界中を敵に回して、最後に敗北・降伏」した日本(大日本帝国)。
第一次世界大戦では、少し戦争に関与しただけで、「ドイツの領土を掠め取った」立場でした。
1914年に勃発した第一次世界大戦は、日本にとっては「日露戦争から9年」でした。



日清・日露では
当事者であったが・・・



今回は、遠い欧州の
戦いだから、あまり関わらなくても良いかな・・・
日英同盟があったため、英国(大英帝国)から参戦を要請された日本は、



小部隊を
派遣しておこうか・・・
少し派兵して「勝利者」になり、漁夫の利を得ました。
ここで、第一次世界大戦の「敗北した国」がドイツであることに注目しましょう。



第二次世界大戦でドイツは
敗北したけど・・・



第一次世界大戦でも
ドイツは敗北してるね・・・



つまり、ドイツは
二度の世界大戦で敗北したんだ・・・
第一次世界大戦で敗北したドイツに対し、フランス・英国などはドイツの領土を多数取りました。
さらに、ドイツに対し、多額の賠償金を課しました。



戦争に敗北して、
大変なことになってしまった・・・



領土は取られるは、
莫大な賠償金は課せられるわ・・・



フランスと英国は、我がドイツを
潰すつもりか・・・



おのれ・・・
絶対に許さん・・・
敗北した側のドイツに対し、あまりに苛烈な要求をしたフランスや英国などの欧州諸国。
ドイツ国内では、インフレを超えた「ハイパー・インフレ」にもなり、恐慌状態になりました。
「紙幣が紙屑同然となる」経験をしたドイツ国民は、



我がドイツを救う英雄に
登場して欲しい・・・
「ドイツを救う英雄待望の気持ち」が、ドイツ全土に広がりました。





私が、ドイツを
復活させましょう!
そこに登場したのが、「圧倒的な弁舌力を持っていた」ヒトラーでした。



私ならば、ドイツ帝国を
世界最強に出来る!



ヒトラー総統ならば、
我がドイツを救ってくれる!



ハイル・
ヒトラー!
このように、第一次世界大戦の結果が、そのまま「ヒトラー・ナチス台頭の原因」となりました。
「第一次世界大戦から第二次世界大戦勃発」の流れを理解しておきましょう。
国際連盟から国際連合へ:超巨大会社南満洲鉄道と松岡洋右
hs11_13ts
問15は、国際連盟本部はジュネーブです。
ここで、現代の国際連合本部とともに整理しておきましょう。
・国際連盟本部:ジュネーブ
・国際連合本部:ニューヨーク
国際連合支部:ジュネーブ・ウィーン・ナイロビ
国際連盟の名残が残っており、国際連合の支部で最大はジュネーブです。
ア:「アメリカ(米国)国際連盟の常任理事国ではない」ので✖️です。
イ:「国連軍が武力制裁」していたら、第二次世界大戦は起きなかったかもしれないので、✖️です。
ウ:「武士道で有名な新渡戸稲造が国際連盟事務総長」は◯で、知っておきましょう。
エ:「日本が国際連盟脱退」は正しいですが、「太平洋戦争が始まると」の時系列が✖️です。
hs11_172ts
以上から、上のようになります。
ここで、国際連盟と国際連合の常任理事国を確認しておきましょう。
・英国
・フランス
・日本(大日本帝国)
・イタリア
・米国
・英国
・フランス
・中国
・ロシア
アメリカ(米国)は、国際連盟の「影の常任理事国」でした。
国際連盟・国際連合共に常任理事国である国は、「英国とフランス」です。
欧州の歴史の中心であり続けた「英仏」は、時代の中心であり続けました。
国連に関する出題は多いので、国際連盟と国際連合の違いはまとめておきましょう。
国際連盟に関する問題を、上記リンクでご紹介しています。
新渡戸稲造に関して、「武士道」や国連事務総長の話を、上記リンクでご紹介しています。
hs11_14ts
最後の問16は、原題に筆者が(2)と(3)を追加しています。



満州事変は日本の関東軍が
鉄道の路線を爆破し・・・



これを中国の仕業としましたが、
その鉄道の名称は?
大日本帝国の関東軍が「自分で鉄道爆破しておいて、中国の仕業とした」という、悪逆極まりない歴史。
この問の答えは「南満洲(満州)鉄道」で、「大日本帝国の満洲政策の象徴」です。
hs11_174ts
ここで「満洲」の「洲」の字に注目です。
正式名称は「満洲」で「州」に氵が付くのが、正しい表記です。
受験では「満州でもOK」と思われます。


広大な土地を持っていた満洲(満州)国を横断する鉄道であった南満洲(満州)鉄道。
南満洲鉄道は「満鉄」と呼ばれ、戦前は日本最大・最強の国策会社でした。
hs11_175ts
(2)の戦前の日本の国名は「大日本帝国」で、ぜひ知っておきましょう。
(3)は問15とも関係ありますが、「重大な決断」とは「国際連盟脱退」です。
この時の全権は、松岡洋右(まつおか ようすけ)です。
洋右を「ようすけ」と呼ぶのは、知らないと難しいかもしれないので、ぜひ知っておきましょう。





おのれ、我が大日本帝国の
満洲における権益を承認しないとは・・・



我が大日本帝国は
国際連盟の常任理事国だぞ・・・



こんな連盟なぞ、
脱退してくれるわ!
そして、松岡洋右は、国際連盟で1時間20分に及ぶ「国際連盟脱退の長大演説」をしました。



諸君!日本はまさに
十字架にかけられようとしているのだ!



しかし、我々は信ずる!
かたくかたく信ずる!



我々もまた、
世界によって理解されるであろう!
苦学して、アメリカ(米国)の大学を卒業した松岡は、英語が達者で英語のスピーチが得意でした。
その傲岸な性格もあり、「英語で演説」というよりも「英語で捲し立てた」松岡。
後に、松岡は満鉄(南満洲鉄道)総裁、外務大臣を務めます。
国連脱退によって、日本は国際社会から孤立し、第二次世界大戦へ向かってゆくことになりました。



歴史には
色々な流れがあるんだね・・・



歴史って
色々な人間模様があるんだね・・・
今回で、社会11の話は完了です。
歴史は「暗記科目」と考えずに、「流れを理解して、知識も増強」という学びがベストです。
少しずつ知識も増やしながら、しっかりと流れを理解しましょう。
問1 (1)源義家 (2)和歌山 (3)高知 (4)川崎
(5)徳川吉宗 (6)参勤交代 (7)日露戦争 (8)徳川慶喜
問2 (1)源氏物語 (2)藤原道長
問3 (1)兵庫県 (2)北条政子
問4 (1)足利義満 (2)明
問5 水戸藩
問6 (1)三内丸山 (2)大森
問7 (1)福岡県 (2)佐賀県
問8 イ
問9 (1) 歌川広重 (2)ゴッホ
問10 (1)松下村塾 (2)出来事:萩の乱 中心人物:前原一誠
(3)多数の松下村塾の塾生たちが、萩の乱に参加したから
問11 (1)明治天皇 (2) ア
問12 (1)エ (2)エ
問13(1)下関条約 (2)イ
問14 ウ
問15 (1)ジュネーブ (2)ウ
問16 (1)南満洲鉄道 (2)大日本帝国 (3)松岡洋右