山口多聞 46〜先輩・後輩への思い・加来艦長と〜|ミッドウェー・最後の言葉と評価

前回は「山口多聞 45〜思いを胸に・・・〜」の話でした。

山口多聞 司令官(Wikipedia)
目次

最後の思い

山口司令官・加来艦長・幕僚たちが沈痛な会話が続きます。

・・・・・

・・・・・

米軍機の攻撃により炎上する空母飛龍(Wikipedia)

この間も、飛龍は炎上を続けており、早々に総員退去しなければ非常に危険です。

一度は「仕方ない」と考えた加来艦長。

しかしながら、感情が許しても理性が許しません。

山口司令。

お気持ちは、
十分にわかります・・・

しかし、ここで山口司令が
運命を飛龍と共にするのは・・・

我が大日本帝国海軍に
とっては・・・

非常に優れた頭脳を持ち、確かなる戦略眼と優れた戦術指揮能力を持つ山口司令官。

長年、中国大陸で陸上の海軍航空隊を指揮し、現在は空母で海軍航空隊を指揮する歴戦の士 山口司令官。

明晰な頭脳、将兵に慕われる人柄、そして豊富な経験。

これほどの人物は世界各国の海軍を探しても、なかなかいないレベルの将軍です。

なんとか・・・

山口司令官に話しかける加来艦長。

キリッと周囲を睥睨する山口司令官。

これで良いのだ!

しかし、山口司令官は考えを一切変えません。

山口司令!
私からもお願いです。

なんとか、
大日本帝国海軍の将来のためにも・・・

決めたのだ!

分かってくれ!

山口司令官の瞳がきらりと光ります。

ここで、加来艦長・幕僚たちは最終的に断念します。

承知・・・
承知しました・・・

それでは、
私もお供します・・・

幕僚たちもまた、沈痛の極みながら、山口司令官の意思を尊重します。

山口司令!
おさらばです!

山口司令!
お世話になりました!

うむ。

言葉少なに応ずる山口司令官。

そして、山口司令官・加来艦長を残し、他の幕僚・将兵は無念の退艦となります。

先輩と後輩への思い・・・

将兵たちは飛龍から離れ、いよいよ 味方駆逐艦から飛龍に魚雷を打ち込む準備にかかります。

月でも
眺めようようじゃないか・・・

加来くん・・・

良い月ですね・・・

山口さん・・・

もはやお互い司令官でも艦長でもなく、「海軍兵学校の先輩と後輩」です。

長い・・・
長い戦いだったな・・・

皆本当に、
よくやってくれました・・・

ははは・・・

ははは・・・

これから沈んでゆく身の二人。

学生の頃に戻ったかのような気持ちで、お互いを見つめます。

左上から時計回りに永野修身 軍令部総長、山本五十六 連合艦隊司令長官、伊藤整一 軍令部次長、小沢治三郎 南遣艦隊司令長官
(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

重職につく山口の先輩たちに対し、想いを馳せます。

永野さん、山本さん、
小沢さん、伊藤さん・・・

あとは、
あとは頼みました・・・

左上から時計回りに友永丈一 第二航空戦隊飛龍飛行長、淵田美津雄 第一航空艦隊赤城飛行長、小林道雄 飛行中隊長、源田実 第一航空参謀
(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

そして、これまで、そしてミッドウェーの死闘を戦ってきた海兵の後輩たち。

友永、小林・・・

約束通り、これから
そちらへ行くぞ・・・

航空隊の両輪の要である、源田と淵田の生死も不明です。

源田と淵田は、
大丈夫だろうか・・・

あの赤城の大爆発から
逃れただろうか・・・

同期への思い

海兵40期の同期:左上から時計回りに大西瀧治郎 航空本部総務部長、宇垣纏 連合艦隊参謀長、山口、福留繁 軍令部第一部長
(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、Wikipedia)

最後は、なんと言ってもやはり海兵(海軍兵学校)同期に想いを馳せます。

山口の同期海兵40期は「花の40期」と言われ、非常に優れた人物たちを輩出しました。

山口と共に航空隊の指揮を務め、今は航空部隊の要である航空本部総務部長の「空母航空派」大西瀧治郎。

この瞬間も山本長官と共に戦艦大和に搭乗し、連合艦隊参謀長を務める「大艦巨砲派」宇垣纏。

軍令部第一部長として、伊藤次長に次ぐ権限を有する「中間派」福留繁。

大西、宇垣、
福留・・・

特に大西と山口とは、共に大酒飲みの「大の仲良し」でした。

「大親友だから」こそ、戦争の方針を巡って何度も大喧嘩しました。

大西とは、何度激しい
殴り合いの喧嘩をしたっけ・・・

様々な過去が、彗星のようにパーっと山口の頭の中を駆け巡ってゆきます。

・・・・・

みんな、
後は頼む・・・

山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

山口司令官の悲痛な叫び。

それは、海軍兵学校の先輩・同期・後輩に届いたのでしょうか。

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