電気・電流のわかりやすい考え方・コツ 7〜電熱線の抵抗を実感・電線・電柱・日本と欧米の街・現象が「逆」の時〜|中学受験の理科

前回は「電気・電流のわかりやすい考え方・コツ 6〜電熱線の抵抗(断面積)・顕微鏡・身体全体で学ぶ姿勢〜」の話でした。

目次

電熱線の長さ・断面積と抵抗

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

とても細い実験に使う電熱線。

その電熱線を「顕微鏡で覗く」イメージで拡大して考えました。

髪の毛のように細い電熱線を「目に見えない電流」が流れるのを描きました。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)
電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

すると、電熱線の長さ・断面積と抵抗のイメージがハッキリわかりました。

理科実験で考える小さな回路では、電熱線による抵抗は「小さい」です。

電球の抵抗の方が、だいぶ大きいので、電熱線の抵抗が「ない」ものとして「無視する」考え方もあります。

電熱線の抵抗に関しては、単独で「長さ・断面積」による影響を問う問題があります。

応用問題・文章題で、「電熱線の抵抗の変化」を考慮する問題もあるでしょう。

電熱線の「長さを2倍にした」、あるいは「断面積を2倍にした」などで状況の変化が出ます。

それらの状況変化と問題のグラフなどとの関係から「考える問題」にも、しっかり対応できるようにましょう。

身の回りの電熱線

この、理科実験の電熱線の長さ・断面積と「抵抗の大きさ」のイメージ。

これで、「電熱線が長くなると抵抗が大きくなる」イメージができたと思います。

うん。
よく分かったよ!

電熱線は身近にあり、電線がそうです。

東京の街(新教育紀行)

日本は、どこの街も電柱・電線だらけの街です。

熊本の街(新教育紀行)

新たに再開発された場所は「電線地中化」がされていますが、多く街で電柱・電線があります。

Paris郊外(新教育紀行)

対して、欧米の都市は中心となる場所以外の、少し郊外であっても電線・電柱はほとんどありません。

なぜ、
日本は電柱が多いの?

欧米のように
最初から「地中化」すれば良かったのに・・・

日本の街の電線・電柱が多い理由

このことは、理科と社会の両方に関わりますが、社会的要素が強いのが理由です。

現在の電柱・電線が整備されたのは、多くは戦後です。

第二次世界大戦中、世界有数の大国であった大日本帝国(日本)。

大日本帝国の進出(第二次世界大戦全史 洋泉社MOOK)

街・都市に電気は、ある程度しっかり配電されている部分もありました。

戦前にも電線・電柱が、「ある程度はあった」のが現実です。

ところが、東京などの大都市・軍需都市は、米軍によって焦土となりました。

1945年敗戦時の東京(Wikipedia)

「鉄筋コンクリートの建物」以外、ほとんど建物がなくなった東京などの都市。

電柱・電線もまた、爆撃で吹き飛ばされてしまいました。

では、
戦後復興の際に、新しく電柱・電線をつくったんでしょ。

焦土となったのは、悲しい事実だけど、
復興の時に、地中化すれば良かったのでは・・・

欧米の街・都市が「電柱・電線地中化している」事実は、当時の日本政府・電力会社も知っていたでしょう。

しかし、「電柱・電線を設置」を選びました。

なぜ?
無い方がスッキリするのに・・・

地震のことも考えると、
電柱と電線は危険だと思う・・・

なぜ、「醜く・危険な」電柱・電線の設置に「決定した」のでしょうか。

神戸の街(新教育紀行)

最も大きな理由は「設置費用」でした。

電柱・電線を「地中化する場合」と「地上に設置する場合」では、「地中化」の方が遥かに費用がかかります。

それで、
「地上」にしたんだね。

現在のように、「比較的豊か」ではなく「貧しかった」日本。

そして、「復興を急がなければならなかった」日本。

「景観などへの配慮」は二の次で、とにかく電柱・電線を全国的に建てることになりました。

発電所からの配電

電気・電流の考え方:電線・鉄塔・配電のイメージ(新教育紀行)

この結果、日本の街は欧米の街に比べると、非常に景観が悪いのです。

今回は、身の回りに「当然のようにある」電気を考えましょう。

発電所で発電した電気は、高圧線・送電線で鉄塔などを経由して、高電圧の電気が送電されます。

鉄塔の太い電線で送られてくる電気は、電柱の電線を通って、さらに配電されます。

そして、最後に「電圧を低くして」皆さんの家に電気が届きます。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

「電熱線が長くなる→抵抗が上がる→電流が小さくなる」をイメージしました。

ここでイメージしましたが、この配電・送電の電気を考えてみましょう。

電気・電流の考え方:電線・鉄塔・配電のイメージ(新教育紀行)

もし、逆の「電熱線が長くなる→抵抗が下がる→電流が大きくなる」だったら、どうなるでしょうか?

電気・電流の考え方:電線・鉄塔・配電のイメージ(新教育紀行)

すると、「送電線が長い方が抵抗が小さくなる→電流が大きくなる」となります。

電気・電流の考え方:電線・鉄塔・配電のイメージ(新教育紀行)

すると、「送電先が遠い方が、電流が大きくなる」ことになります。

なんか
変だね。

電気・電流の考え方:電線・鉄塔・配電のイメージ(新教育紀行)

そうですね。これは明らかに、おかしいことです。

「送電先が遠いと電流が大きくなる→遠い方が電流が大きくなる」ことになってしまいます。

これは絶対に、おかしい・不合理な現象です。

なんでもモノを運ぶ先が遠いと、「効率が下がる」はずです。

このことからも、最初の「電熱線が長くなる→抵抗が下がる→電流が大きくなる」は間違いです。

そこで、「電熱線が長くなる→抵抗が大きくなる→電流が小さくなる」が正しいとわかります。

現象が「逆」だったら、どうなるか?

このように、理科の現象などを考えるとき、

逆だったら、
どうなるかな?

をイメージしてみましょう。

逆だとどうなるか、を
考えると、面白い。

ただ暗記していると、間違えて覚えてしまったり、試験で間違える可能性があります。

このように、自分で「こうだったら」「逆だったら」と考えて、

あっ、そうか。
だから、こうなるんだ。

と気づくと、自然に覚えるでしょう。

そして、試験で間違わないでしょう。

参考書・問題集にこういう「逆の場合」という例があるかもしれません。

あるならば、それでも良いですし、自分で考えた「逆の例」でも良いでしょう。

これらは、自分のイメージで良いと思います。

この現象が、
このように逆だったら・・・

あっ、おかしい!
だから、ここはこうなんだ!

と「自分なり」であって、「自分だけ」の考え方で良いでしょう。

「逆だったら」のイメージが「実際と違う可能性」があります。

実際と違ったら、
困るかも・・・

それは、今後学んでゆく上で気付けば良いと思います。

自分なりに考えてみましょう。

新教育紀行

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